25)エクササイズ−5(JDR NEWS 1991/08月)

注意:


(A面)

OBOE&BASSOONの音程と音色について


オーボエ、バスーンの最大の魅力は個性的な音色と操作性にあります。リードに喜びを感じる方も希にいます。
一時期のオーボエ、バスーンは音色を重視する余り音程がある程度犠牲になっていました。ところが、ここ数年の間にダブルリード楽器は著しく進歩しました。最近の楽器は音程がとりやすくなっています。原因はメーカーの大きな進歩が一番に上げられますが、他にも調整方法によってユーザーの希望の音程に近づけることができるようになったことも考えられます。

音について

音は基本的に3つの要素からできています。

音程=波形の基本周期で決まります。
   *緩やかだと音程は低く
    なります。

音量=波形の振幅で決まります。
   *幅が広くなるほど音量は
    大きくなります。

音色=波形そのものの形で決まります
   *複雑な形ほど明るくなります。
   *波の曲がりが鋭角ほど
    シャープになります。


3つをグラフ(波形)に表してみると右のようになります。


音を出す要素は大きく3つに分類できます。

吹き手(演奏者)
リード(チューブを含む)
楽器(ボーカルを含む)

各要素の状態や性能、そして3つの組み合わせによって音色や音程が決まります。





音程について

オーボエ、バスーンは吹き手が音程を作らないと演奏には耐えられない楽器として知られていますが、言い換えれば吹き手が自由にコントロールすることができますのでうまくなればなるほど音程も良くなります。ただし、吹き手とリード、楽器の組み合わせが悪いと無駄な努力になってしまうこともあります。そこで吹き手、リード、楽器別に表してみました。

吹き手

音程を良くするこつは、実際に音を出す前に頭の中でその音程をイメージすることが大切です。なにも考えないで吹いた音はけっして良い音程にはなりません。
(ブレスコントロールやアンブシュアで直せる方法例)=
1991年6月、7月号のJDR技術編を参照してください。
本橋注:上記JDR技術編は、それぞれ本ページのエクササイズ−3エクササイズ−4になります。
*全体のピッチが高い又は低い。高音域が低い又は高い=
リードを締め付け過ぎるか深くくわえ過ぎているケースが多く、低い場合は息をしっかりと吸っていないことが原因の一つです。
*特定の音が高い又は低い=
楽器の特性や各メーカーのくせによるものなので充分慣れるまで練習が必要です。
*単独でその音だけ出すには良いが曲の中では高い又は低い=
次に出す音が頭の中でイメージされていない時や唇が疲れていてコントロールできない場合が多い。

リード

リードのピッチはケーンの内側の体積で決まります。(全長が長い、幅が広い、先端の開きが大きい等のリードは低い。)
リードのピッチは、楽器のピッチと同じでなければなりません。また、製造メーカーが試奏に使っているリードの形やピッチが基本でもあります。最初はいろいろなリードを試して自分に合ったものを選ぶようにします。けっして音色だけで選ばないように気を付けましょう。
(リードの調整直せる方法例)=
1990年12月号、1991年1,2,3月号のJDR技術編を参照してください。
本橋注:上記JDR技術編は、それぞれ本ページの
リードの作り方−1リードの作り方−2リードの作り方−3リードの作り方−4になります。
*全体のピッチが高い又は低い=
リードのサイズが合っていないか先端の開きの大きさが合っていない(ワイヤーや指で調節します)
*高音域が低い又は高い=
リードが楽器に合っていない。リードの抵抗感(張り)が吹き手にあっていないか等が考えられる。リードの抵抗感を重くするには先端をカットし、軽くするには全体を削ります。
*特定の音が高い又は低い=
リードで直すには経験と高度な技術を必要とするのでプロ奏者や専門家に相談してください。
*単独でその音だけ出すには良いが曲の中では高い又は低い=
リードをコントロールしきれていないのが原因で、自分のレベルに合ったリードを見つけてください。

楽器

JDRで調整された楽器は、全体のピッチを日本の演奏者に合わせ、個々の音程を取りやすくしてありますので、ここでは一般的に考えられる問題です。
*全体のピッチが高い又は低い=
一般にアメリカの楽器はピッチが低く、ドイツの楽器は高く設計されています。また、他の国々でも日本では使い辛いメーカーもあります。
*高音域が低い又は高い。低音域が低い。=
古い楽器は特にこのような傾向が強く、楽器自体の音程を直すと音色やバランスが悪くなってしまいます。
*特定の音が高い又は低い=
オーボエでは中音のG、H、C。バスーンではA、D、F等、どのメーカーもある程度は同じくせを持っていますので、プロ奏者や修理者に見てもらうことをお勧めします。

(B面)

OBOE&BASSOONの音程と音色について


音色について

音は倍音の構造で決まるといっても過言ではありません。A面の図のように一つの音の中に含まれている倍音数や波形の形によって音色が決まります。倍音が多いほど音色は明るく、柔らかくなります。また倍音が多いほどアンサンブルに適しています。一般に音色が暗い方(倍音が少ない)が音が合いやすいと思われがちですが、実際はお互いの倍音の内、一つが合えば共鳴します。したがって沢山倍音を持つほうが合わせやすくなります。

音色の作り方(吹き手)
音色作りは楽器やリードよりも、吹き手の体格や体得した技術、そしてなによりも吹き手の音色に対するイメージが何よりも大切です。好みの音色を得るためにイメージ作りから始めましょう。

あなたの持つ音色か理想の音色を頭の中に
思い浮かべてください。


色は何色ですか?落ち着いた色ですか?
それとも派手な色ですか?
濃い色ですか?それとも淡い色ですか?
透明感がありますか?それとも
スクリーントーンの感じですか?


たとえば、暖かいオレンジ色で透明感をイメージした音色はいかがでしょうか。
好みが決まったらさっそく吹く時にはいつも忘れないでイメージしましょう。
すぐに思い通りの音色になります。

色が決まったら次に「音の形状」と「音の硬度と音の輪郭」をイメージします。
ただし、体重40kgたらずの人が重厚で太い音色を目指しても無理があり、からだを壊すだけですので自分の体格に合った形を見つけてください。

出した音の形を頭の中に思い浮かべて
ください。


太い重厚な音ですか?それとも
繊細で中庸な音ですか?
指向性(直線的)の音ですか?
それとも周りを包むような音ですか?


たとえばオーボエの持つ、繊細で中庸な指向性の音をイメージしてはいかがですか?


音の硬さと輪郭について考えてみましょう。

しっかりした音とやさしい音とどちらが好み
ですか?
はっきりとした音と少しぼやけた音とどちらが
好みですか?


たとえば、やさしくてはっきりとした音はいかがですか?音は、はっきりしたほうがソリスティックですし、いろいろな表現も可能だからです。

(ブレスコントロールやアンブシュアで直せる方法例)=
1991年6月、7月号のJDR技術編を参照してください。
本橋注:上記JDR技術編は、それぞれ本ページのエクササイズ−3エクササイズ−4になります。
*音色が明るすぎる又は暗すぎる=
リードの削ってある表面の起伏が少ないと音色は明るくなり、起伏が大きいと暗くなる。
*音色が硬すぎる又は柔らかすぎる=
リードのサイドを薄くすると振動が鈍くなって柔らかい音色になる。硬くする場合は先端をカットする。
*息が入り過ぎる又は息が入らない=
リードの先端を薄くするとハートの部分との差が大きくなり息が入りにくくなる。息が入らない場合は、ハートを薄くする。
*音が細すぎる又は太すぎる=
リードのピッチが高くなっているためでリードの開きを全体に大きくする。太すぎる場合は、リードを潰すように開きを小さくして体積を少なくする。

楽器

楽器の持つ音色はベルの部分が主導権をもっています。主にベルの内径の形状が音色に大きく作用します。ベルの形状はメーカーより国民性(民族性)の方が強く反映されています。

アメリカ

ドイツ・チェコスロバキア

フランス

イギリス・イタリア

日本
      OBOE
・ベルの内径がEHのように少し丸みがあり、
 ダーク(暗い)トーンが特徴です。
・ベルの内径は直線的ですが広がり方が
 緩やかで硬い響きが特徴です。
・アメリカのようにわずかに丸みがあり、
 中庸な響きをもっています。
・ベルの内径は直線的で、広がり方も急な
 ために明るく派手な音色がします。
・各国の特徴を生かした音色を持っています。
BASSOON


省略します。
(本橋)






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