オーボエ調整法:その2

ドライバーと一枚の紙でオーボエが調整できる


調節ネジの調整 各調節ネジに1〜17まで番号を付けてみました(図3参照)。さらに、17個の調節ネジをA、B、C、Dと「その他」の5つのセクションに分けましたので、そのセクション別に調整方法を説明してみましょう。
(本橋注:図3は別のページに掲載してあります。)

セクションA
調節ネジ4,5,7
セクションB
調節ネジ9,10,12
セクションC
調節ネジ13,14
セクションD
調節ネジ16,17
その他の調節ネジ
このページです 調整法:その3 調整法:その4 調整法:その5 調整法:その6
本橋注:全部を1ページに記載すると大変重くなるので、上記の様にページを分割する事にしました。

セクションA(調節ネジ4,5,7)
 このセクションは、オーボエにとっていちばん大事な部分といえます。この三個の調節ネジのうち、ひとつでも正しく調整されていなければ、オーボエのすべての音域に悪影響が出ると考えてよいでしょう。特に、4番と7番のネジは、非常に複雑で、かつ重要です。


 5番調節ネジ 

 このネジは、B♭キイとCキイの閉じ方のバランスを調節します。この二つのキイは、使われていない時、しっかりと閉じていなければなりません。どちらか一方が強く閉じると、もう一方のパッドが浮いてしまうので、両方が常に同じ圧力で閉じている必要があります。

 オーボエを組み立て、左の手の平で上管と下管のジョイント部分を持って、左手親指でF♯キイを押さえます。その時B♭キイとCキイが開きますので、まず、B♭キイにテスト・ペーパーを差し込み、F♯キイの親指を離します。テスト・ペーパーを通して感じるB♭キイの圧力を記憶します。次に、同じことをCキイにも行います。B♭キイとCキイの圧力を比べ、圧力が同じであれば、この部分に関して正しい状態である、ということになります。

 もし、同じでなければ、5番の調節ネジを使って、バランスを調整します。(表1参照
調整の順序をもう一度整理してみましょう。

  1. F♯キイを左親指で押さえる
  2. B♭キイにテスト・ペーパーを差し入れる
  3. F♯キイの指を離す
  4. テスト・ペーパーをゆっくり引き抜き、B♭キイの圧力を記憶する
  5. F♯キイを再び左親指で押さえる
  6. Cキイにテスト・ペーパーを差し入れる
  7. 3,4と同じ要領で、Cキイの圧力をチェックする
  8. B♭キイとCキイの圧力を比べる
  9. 表1のとおり5番ネジで調整する
 調節ネジを回す際、一度に大きく回しすぎないよう注意してください。一度に1/8回転ぐらいずつ回し、そのつど、テスト・ペーパーでチェックしてください。(図4参照

表1
図4
Cが強くB♭が弱い
  C>B♭
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5番ネジを時計方向の
逆に回す。
   
    ←5
B♭が強くCが弱い
  C<B♭
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5番ネジを時計方向に
回す。

    5→
Fig-4
注:以後略号A>B(例)と 2→だけで表記
本橋注:
原文のネジを回す方向の図とは異なった表記をしていますが、お判りですよね。
左回し=「←5」、右回し=「5→」と表記しています。以後、同様です。

4番調節ネジ  このネジは、AキイとCキイの連結を調整します。F♯よりも低い音域を奏する際、Aキイは、Cキイを閉じさせる働きをします。(F♯キイはCキイを開ける働きがあります)。Aキイを押さえた時、Cキイが完全に閉じるよう4番調節ネジで調整します。

 それでは、テストしてみましょう。まず、Aキイにテスト・ペーパーを差し入れ、普段、楽器を吹く時と同じ力でAキイを押さえ、ゆっくりテスト・ペーパーを引き抜きます。2〜3回、これを繰り返し、Aキイの圧力を記憶します。次に、Cキイ(F♯キイを押して開ける)にテスト・ペーパーを差し入れ、Aキイを前と同じ力で押さえてテスト・ペーパーを引き抜きます。(この時もF♯キイは押さえたまま)。このテストを2〜3回繰り返し、AキイとCキイの圧力を比べます。念のため、もう一度Aキイをテストしたりして、正確に比べましょう。二つのキイの圧力が同じになるよう、4番調節ネジで調整します。(表2参照


表2
表の見方
C<A C>A C>Aは、Cキイの圧力がAキイの圧力よりも強いことを意味し、
C<Aはその逆です。数字の4は調節ネジの番号で、→は
ネジを回す方向を示しています。
 4→ ←4

  1. Aキイにテスト・ペーパーを差し入れる
  2. Aキイを押さえる
  3. テスト・ペーパーを引き抜き、Aキイの圧力を記憶する
  4. F♯キイを押さえてCキイを開き、Cキイにテスト・ペーパーを差し入れる
  5. Aキイを押さえて、Cキイのテスト・ペーパーを引き抜く
  6. AキイとCキイの圧力を比べる
  7. 4番ネジで調整する

 もし、正確に圧力の大小が判断しにくい場合、Aキイの方が重要ですので、Aキイが正確に閉じるよう調整してください。


7番調節ネジ  このネジは、GキイとB♭キイの連結を調整します。F♯よりも低い音域を奏する際、Gキイは、B♭キイを閉じさせる働きをします。(F♯キイはB♭キイを開ける働きがあります)。Gキイを押さえた時、B♭キイが完全に閉じるよう7番調節ネジで調整します。4番調節ネジの時と同じ要領で調整しましょう。(表3参照


表3
B♭<G B♭>G
  7→  ←7
1度に1/8回転の調節を行う
  1. Gキイにテスト・ペーパーを差し入れる
  2. Gキイを押さえる
  3. テスト・ペーパーを引き抜き、Gキイの圧力を記憶する
  4. F♯キイを押さえて、B♭キイを開き、B♭キイにテスト・ペーパーを差し入れる
  5. Gキイを押さえて、Cキイのテスト・ペーパーを引き抜く
  6. GキイとB♭キイの圧力を比べる
  7. 7番ネジで調整する


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