バックナンバー:171 2009/11/16


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

気温は例年に比べて暖かですが、雨の日が続いているドイツです。本当は落ち

葉をかたずけたいのですが、気力が失せてしまいます。

 

昨日11月15日、ハノーファーのサッカー場でプロチームの現役選手のお葬

式が行われました。テレビで実況中継が流れ、それだけでいかにドイツ人がサ

ッカーを国技として熱愛しているかが分かります。

 

アメリカが月に爆弾を落として水の痕跡を探る実験をしましたが、その結果か

なりの量の水が凍っている事が分かったようです。大変なお金をかけての実験

でしたが、惑星や星の生い立ちの解析、また新たな人類の住みかとしての月、

というシナリオが浮かんできています。「月にはウサギがいて・・・・」とい

うお話が子供達にできなくなってきましたね。

 

オランダではCO2削減策として自家用車に対して1キロあたり6セントまで

課税する事を決定したようです。ドイツではトラックには課税してますが、ま

だ自家用車には課税されていません。

 

ドイツのオーケストラの機関紙「Das Orchester」の11月号に

ブレーマーハーフェンのオーケストラのヴァイオリンの募集が出ております。

ヴァイオリン奏者でドイツで就職をなさりたい方、ふるってご応募下さい。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ 酒井秀明フルート・リサイタル「デュオ結成30周年記念」

--------------------------------------------------------------------------

 

7月にご一緒に上野の東京文化会館で演奏したフルート奏者、酒井秀明氏がピ

アニストの奥様と東京と大阪でリサイタルを開かれます。

 

11月24日 19:00

浜離宮朝日ホール

http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2009/11/event307.html

 

酒井秀明 :フルート

伊吹このみ:ピアノ

 

--------------------------------------------------------------------------

■ ジュネーブ国際音楽コンクールオーボエ部門   

--------------------------------------------------------------------------

 

来11月4日から18日にかけて行われるジュネーブ国際音楽コンクールはピ

アノとオーボエの番です。

http://www.concoursgeneve.ch/index.php?option=com_content&task=view&id=281&Itemid=327

 

--------------------------------------------------------------------------

■ 売ります 中古イングリッシュホルン用ガウジングマシーン

--------------------------------------------------------------------------

 

中古イングリッシュホルン用ガウジングマシーン(クロップファー製)

値段 6万円

 

台座 直径13mm

替え刃 1本

 

http://homepage3.nifty.com/~motohasi/oboe/sellbuy/sell-1.htm

 

--------------------------------------------------------------------------

■ 11月9日

--------------------------------------------------------------------------

 

ベルリンで東西の壁が崩壊した20周年記念行事が行われました。バレンボイ

ム指揮のベルリン・シュターツ・カペレ(ベルリン国立交響楽団?)の演奏で

まずワーグナーのローエングリンの序曲が演奏されました。雨模様の野外の演

奏はたとえ屋根があったとしても寒くて大変です。同業の者としては大変同情

したくなりました。特別出演としてドミンゴが「ベルリナールフト(ベルリン

気質、直訳するとベルリンの空気)」を歌いました。これは有名なオペレッタ

で「Frau Luna」の中のヒット曲です。ドイツ人なら誰でも知ってい

て鼻歌で歌えます。でも、・・・、バレンボイム指揮、ドミンゴ歌、の取り合

わせは?????

 

私が書きたかったのは音楽的な事ではありません。

 

昔存在した東西の壁が崩れた、のではなく人類の手で崩したという歴史的な意

義です。この日のドイツの女性首相メルケルの演説で「自由と平和は勝ち取る

ものである。」という言葉がありました。1989年、10月から11月の始

めにかけて毎日のようにテレビニュースで東ドイツのデモの状況、またハンガ

リーの西ドイツ大使館に殺到した亡命希望の東ドイツ人達の事、東ドイツの書

記長ホネカーがモスクワに飛んだ、とかいうドイツのテレビニュースで報道さ

れていました。西ドイツにいた我々はその頃仕事から帰ってからテレビをかか

さずつけて状況を毎日固唾を飲んで見守っていたものです。その頃、ドレスデ

ンやライプッチッヒでは教会を中心に市庁舎前で自由を求めて市民が集まりデ

モが行われていました。ライプチッヒのゲバントハウス(常任指揮者がクルト

・マズーアの率いる管弦楽団のコンサートホール)もそういう市民達のために

開放され、マズーア自身もデモに参加して自由を要求していました。一方国家

は警察隊、軍隊を鎮圧に出動させていました。その結果逮捕された人もいたよ

うですが発砲事件はなく、無血のデモが何週間も続けられました。ベルリンの

ブランデンブルグ門でも人々は自由を求めてデモが繰り返されていたわけです

が、とうとう11月9日に門が開かれました。我々もニュースを見て、ビック

リしながら状況を見守りました。

 

日本の政治を外から眺めていると、日本の政治家は自由と平和があるのは憲法

で保障しているのだから当然、と思っているようです。自由と平和、国家の権

利は転がっているものではありません。メルケル首相の演説のように勝ち取る

ものです。昔ペリーが浦和にやってきた時には右往左往の大混乱に陥りました。

その時の日本を治めていた徳川幕府は大政奉還して明治維新。その頃の政治家

達は日本が外国から乗っ取られないように、それこそ命をかけて戦いました。

平穏無事であった徳川時代でも、一歩外交を間違えればお家断絶の危機があり

ました。徳川幕府は隠密を飛ばしては各藩の情報を集め、隙があれば藩をお目

仕上げ、と称して領民、領地を取り上げえしまいます。大名と家臣たちは藩を

守るためにいろいろな政治的駆け引きが不可欠だった訳です。そういう政治力

と知略に飛んだ政治家が明治の時代にはまだ生き残っていたのです。

 

中国が日本の南の海域に軍を進めても何もしない日本政府。韓国が日本の島を

占領しても対応しない日本政府。朝鮮がミサイルをぶっ放しても何もしない日

本政府。隣国に勝手放題を許している、いったいこの現象は何なんだ?と思い

ます。

 

例えば朝鮮がミサイルを発射したら、他の国だったら軍艦を日本海に並べて戦

争をしないまでも対応策を取るでしょう。そして外交交渉、という事になるの

だと思います。日本の領域を侵されてもだんまりを決め込む日本の政治を見て

いると何のための、誰のための政治なのか?と非常にがっかりしてしまうのは

私だけなのでしょうか? 日本の政治は日本と日本人の為にあって欲しいもの

です。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ 銀行規定がEU基準に変更

--------------------------------------------------------------------------

 

11月1日から今までのドイツでの銀行業務規定が変更になりEU規定に移行

になりました。

 

消費者にとって便利になったのはEU間の送金が加速され、またEU間での料

金引き落としが可能になりました。解約が3ヶ月から4週間に短縮されました。

自動引き落としされたけれでも支払いを拒否したい場合、今まで6週間以内の

返還期限が8週間に延長されました。

 

消費者にとって不利になったのは、今まで間違って送金しても銀行で返還手続

きが可能でしたが、一度送金されるとお金を取り戻すのが難しくなります。銀

行は送金の際に名前を確認しなくても良い事になり、口座番号や店番が間違っ

ていると宛名と口座番号が一致していなくても振込みが成立してしまいます。

(それなら宛名を入れる必要が無いではないか?と思いますが・・・・)

 

また銀行カードの取り扱いにも充分注意が必要で、今まで本人の責任で無い場

合は無料で再発行を受けられ損害額も保障してくれていました。この改正で本

人の責任でなくても最高150ユーロの費用が発生します。自分の責任でカー

ドを失くし、暗証番号もとられていた場合による損失は取り返し不可能になる

かもしれません。

 

その他に1月毎に口座の詳細をオンラインで見ていない場合に有料で明細が郵

送されてきます。

 

 

http://www.nn-online.de/artikel.asp?art=1114018&kat=5&man=3

http://www.n-tv.de/ratgeber/steuernrecht/Ueberweisung-raus-Geld-weg-article570713.html

http://www.bz-berlin.de/ratgeber/finanzen/achtung-banken-haben-neue-regeln-article591591.html

http://www.mdr.de/nachrichten/6817417.html

http://mittelfranken.business-on.de/gute-nachrichten-fuer-die-kunden_id8873.html

 

--------------------------------------------------------------------------

■ アドベンツ・クランツができてから170年

--------------------------------------------------------------------------

 

来年はシューマンの生誕200年記念だそうです。ドイツでは2010年6月

に記念切手も発売される予定のようです。

 

いろいろな記念切手が発行されて時々そうなんだ、と思う事があります。例え

ばアドベンツ・クランツ。クリスマス前の4回の日曜日がアドベンツと呼ばれ

ています。今年の第1アドベンツは11月29日。次の日曜日が第2アドベン

ツ。全部で4回のアドベンツを過ごしてからクリスマスを迎えます。そして現

在ドイツでは多くの家庭で日本で言うお正月の「しめなわ」の様な感覚でもみ

の枝を組み合わせて丸い輪を作り、そこに4本のろうそくを立てて飾ります。

飾る場所は食卓だったり、居間のテーブルだったり、場所は皆の良く集まる所

に置かれます。その輪(クランツ)にろうそくを立てアドベンツごとに火を灯

します。従ってろうそくは4本。皆全てが灯される事を楽しみにしているわけ

です。これがドイツでのクリスマスには欠かせないアドベンツ・クランツです。

 

このアドベンツ・クランツができてから実は170年経つそうです。シューマ

ンが30歳の時から流行したアドベンツ・クランツですが、シューマンも飾っ

たのでしょうか?

 

先日、カールシュタット(デパート)に寄ったらチョコレート売り場でヴァイ

ナハツ・カレンダーがたくさん売り出されていました。ヴァイナハツ・カレン

ダーというのは25個からなる窓を12月1日から毎日1つづつ開いていくカ

レンダーです。窓を開くと中にはチョコレートが入っています。ドイツでは手

作りのヴァイナハツ・カレンダーもあり、甘いものを子供に与えたくない親が

別の小さな品物を入れたりしています。売っているものでは中身がチョコレー

トというのが圧倒的に多いのですが、おもちゃというのもあります。

 

そしてマルクトには市の準備が進められています。歩行者天国には既にネオン

が取り付けられ、第一アドベンツが来て点灯されるのを待ち構えています。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ オーボエ演奏のコツ (フォークF)

--------------------------------------------------------------------------

 

11月3日にボンのウィンシャーマン教授を訪ねてきました。89歳の先生は

未だに音楽活動を続けていらっしゃいます。もし今活動を止めたら毎日やる事

がなくぼけてしまう、とおっしゃりながら今尚お元気に指揮活動を続けていら

っしゃいます。来年は90歳ですからきっと大きなパーティーを開かれると思

います。そんな時に集まる弟子達の顔ぶれは、パッシン、ゴリツキ、ヴィンタ

ー、シュマルフス、ワルコル、・・・・・・・。

 

2、3年前、ウィンシャーマン先生は水戸の斉藤記念オーケストラでバッハの

「ゴールドベルク・バリエーション」を指揮されました。その時にご一緒に演

奏されていたハノーファーのファゴット課教授のダーク・イェンセン氏がその

時の師匠の印象を「すごく生き生きとしていて、細かいニュアンスも的確に指

摘してくる。」とおっしゃっていました。

 

さて、先生は昔、ケルンのフッケ(元ケルン音楽大学教授)と共にバロックオ

ーボエで活動を始めた事があったそうです。それはそれで楽しかったけれど、

モダンオーボエに持ち替えた時に無意識にフォークFを使う自分に気がつき、

これは危険と思われ、バロックオーボエの演奏を止めたそうです。当時先生は

フランクフルト放送交響楽団でソロオーボエ奏者として演奏されていらっしゃ

いました。ドイツ人は普通のFのほかに左のFを頻繁に使います。フォークF

は特殊な場合のみ、と考える人が多いです。それはフォークFの独特な柔らか

い響きが他の音とバランス上ミックスしないからです。ただ、音楽的に絶対に

フォークFを選択、という場合も私がウィンシャーマン先生のレッスンを受け

ていた時にありました。

 

私自身はフォークFを案外頻繁に使用します。理由は現在の楽器の性能が関係

しています。私がオーボエを始めた頃の30年前の楽器より現在の楽器は音程、

音色のばらつきが少なく、どちらかというと自分の耳に頼るより楽器の性能に

まかせてしまった方が良い場合が多いのです。それだけ昔は信頼のおけなかっ

た楽器だった訳です。現在の新しい楽器のフォークFはかなり音程、音色も良

くなっています。普通に使用して耐え難い、という事はあまりありません。

 

つまりフォークFを使用して確実に楽に演奏できる場合は、どんどんフォーク

Fキーを使用してもかまわない。ただし芸術的な選択でどうしてもフォークF

の音色には適さない場合はやはり左Fキーを選択する。また逆にどうしてもフ

ォークFが必要な場所は勿論迷わずフォークFを使用する。私はこのように考

えております。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ アメリカ経済大ピンチ(その23)

--------------------------------------------------------------------------

 

11月に入り、秋の企業業績が続々と発表されました。フォード社が黒字に転

換は驚きだったようです。クレジット大手アメリカンエキスプレス社も良い数

字を出し、アメリカ消費者の動向をポジティブに読み込む事ができるとして評

価されているようです。ただし相変わらず銀行業界には問題が多いようです。

CITIグループ、モルガンスタンレーの業績は芳しくなく、CITグループ

は倒産。CITグループの倒産は最近のアメリカの倒産の中で5つ目に大きい

規模のようです。フレディマック、ファニーメイ、AIG,リーマンブラザー

ズなど・・・・・。CITグループはドイツではあまり聞かない名前でしたが

100年以上の歴史があり、アメリカ政府は一時税金で補助をしていました。

 

11月3日アメリカの自動車会社GMはドイツを本拠地にしているヨーロッパ

の子会社オーペルの売却を撤回しました。政治的に動いて売却先まで斡旋して

いた(カナダのマグナ・インターナショナル社、マグナの資本はロシアの国営

銀行ズべルバンク)ドイツ政府はこの急展開に驚いたようです。ドイツ政府は

今まで繋ぎのために15億ユーロを出し、売却先のマグナへの30億ユーロの

融資を検討していたさなかの出来事。

GMにしてみるとGM社自体の危機は脱して企業としての生き残れる可能性が

出てきており、ドイツ政府がそれだけお金を出してくれるのであれば売らない

方が得策、と考えたのでしょうね。アメリカの企業の考え方のようですが、政

府からの補助金を取れるだけ取る、というのはマネージャーの素質の一つと思

っているようです。

 

ドイツの経済の賢人会がドイツの今年と来年の経済成長率を上方修正していま

す。日本も経済成長率が上がったようで、リーマンショックから各国の経済の

立ち直りが数字として出てきているようです。ただ、その付けとして財政赤字

が拡大。ドイツのある投資会社はアメリカより日本の財政赤字を問題視してい

ます。

 


次のバックナンバーを読む


[バックナンバー目次]
[末政さんのメールマガジン] [本橋家トップページ]