バックナンバー:167 2009/9/15


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

ドイツは9月にしては暖かい穏やかな気候です。それでも朝晩は10度くらい。

昨日は標高1800メートル以上は雪、と天気予報で言っていました。

 

ドイツで、いやヨーロッパでこの時期にしか飲めないワインがあります。フェ

ーダーヴァイス(白)、とかフェーダーローゼ(ロゼ)、とかフェーダーロー

ト(赤)という名のついたワイン樽の上澄みをビンに詰めた、まだほとんどア

ルコールが発生していないワインです。このワインを飲みながらツヴィーベル

クーヘンを食べる、そんなドイツ通の献立です。ツヴィーベルンはドイツ語で

たまねぎの事です。クーヘンはドイツ語でケーキのことです。このツヴィーベ

ルンクーヘンは甘くありません。パン地にたまねぎを散らし、塩コショウで味

付けをしてクリームをかけてオーブンで焼いてあります。おやつでもよいので

すがドイツでは食事として食べる事もあります。ついでにドイツでの秋の食べ

物にポンプキンパンがあります。かぼちゃのパンです。ドイツ語ではキルビス

・ブロート(Kirbisbrot)と言います。パン屋さんで秋だけ作って

いるシーズンのパンです。結構おいしいですよ!

 

さてブレーマーハーフェンでのオーケストラの今シーズンの仕事は定期演奏会

で始まりました。バーンスタインの交響曲第2番。(今までに演奏した事があ

りませんでした。)そして13日にはガラコンサート。(オペラ「バラの騎士」

から第2幕の銀のバラを献呈するシーンではソロオーボエの最大の聞かせどこ

ろがあります。)そして今週末にはドニゼッティのオペラ「ルクレチア」(こ

のオペラも知らなかった。)と続きます。そして再来週にはオッフェンバッハ

の「ゲロルシュタインの伯爵夫人」というオペレッタが幕を開けます。(この

曲もまったく無名の曲。)このように出し物が一気に続くと練習も交錯し結構

ハードスケジュールです。28年間ソロオーボエ奏者としてブレーマーハーフ

ェンのオーケストラで仕事をしていますが、知らなかった曲が立て続けに来る

事は稀です。こんなに無名の曲ばかり演目に載せて集客率はどうなのかとちょ

っと首をかしげてしまいます。でもそういう事ができるのがドイツの歌劇場の

長所なんですね。

 

ドイツ・ミュンヘンで行われていたコンクールが終了しました。今年のカテゴ

リーは歌、ヴァイオリン、コントラバス、ハープでした。

日本人もヴァイオリンとハープに入賞者を出しています。ヴァイオリンの1位

は17歳の韓国人の女性。

 

コンクールのホームページ

http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/ard-musikwettbewerb-gesang-harfe-violine-

 

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バイエルン放送局のコンクールの録音を聴く事ができます。

http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/ard-musikwettbewerb-audio-multimedia-

 

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明日から行われる受賞コンサートの予定。

http://www.br-online.de/br-klassik/ard-musikwettbewerb/ard-musikwettbwerb-preistragerkonzerte-

 

2009-ID1233234685226.xml

 

14日ベルリンからシュトゥットガルトへ飛んだ飛行機が胴体着陸。怪我人無

し。乗客の中にはSPD書記長ミュンターフェーリングも。

http://www.n-tv.de/bilderserien/panorama/Muentefering-uebersteht-Notlandung-article504153.html

 

インターナショナル・アオトー・展示会2009フランクフルト

IAA - Internationale Automobil-Ausstellung

10月2日まで

http://www.iaa.de

http://www.iaa.de/index.php?id=iaa_tv_aussteller&L=0

メルセデスやBMWのドイツ車もハイブリットカーを出してきました。

 

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■ 売ります 中古イングリッシュホルン用ガウジングマシーン

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中古イングリッシュホルン用ガウジングマシーン(クロップファー製)

値段 6万円

 

台座 直径13mm

替え刃 1本

 

http://homepage3.nifty.com/~motohasi/oboe/sellbuy/sell-1.htm

 

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■ 岩崎勇追悼演奏会 奈良

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日時 平成211017日(土) 15時開演

場所 なら100年会館中ホール(JR奈良駅すぐ)

 

入場無料

 

出演 蠣崎耕三 門下生一同 /大嶋義実 有志一同

 

曲目 門田展弥作曲 「ラプソデイー・オブ・オーボーズ」 (委嘱作品)他

 

主催 岩崎勇 門下生会

 

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■ 酒井秀明フルート・リサイタル「デュオ結成30周年記念」

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7月にご一緒に上野の東京文化会館で演奏したフルート奏者、酒井秀明氏がピ

アニストの奥様と東京と大阪でリサイタルを開かれます。

 

1124 19:00

浜離宮朝日ホール

http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2009/11/event307.html

 

11月15日

ムラマツリサイタルホール新大阪 (大阪府)

http://www.cnplayguide.com/stc/CNK54666.html

 

酒井秀明 :フルート

伊吹このみ:ピアノ

 

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■ メルケル 対 シュタインマイヤー

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もともとドイツ人はトークショーが大好きな国民です。視聴率の高い晩の20

時から24時までは各放送局がかなりのトーク番組を組んでいます。日本と比

べてテーマは非常にまじめです。まじめですが、日本での日曜日の政治対談の

番組と比べると堅苦しさがありません。勿論政治対談になれば各党の主張で対

談者は火花を散らします。こんなに白熱したら対談が終わって家に帰ってもま

だ興奮が収まらないのではと思いきや、番組が終了すると司会者も熱弁を振る

った当人達も笑顔で握手しているのです。ドイツのそのような政治家を見てい

ると政治家という職業は一種の役者?と思ってしまいます。

 

8月30日のザールランド、テューリンゲン、ザクセンでの州議会選挙で得票

数が低下したCDU。CDUはメルケル首相を筆頭とする与党の第1政党。与

党第2の政党は州議会選では得票こそ減っていませんが増えもしていないシュ

タインマイヤー外務大臣を今度の首相候補に立てるSPD。

 

この現在与党の代表的な2人を招き9月13日の晩に2週間後に行われる連邦

議会の選挙戦に向けてテレビ対談が行われました。

 

ドイツ2大政党の党首の一騎打ちです。両党にとっては次の政権を握る大事な

番組となります。現在と同じ与党といえども、さぞ政策上の違いを指摘する白

熱した番組になると国民は期待していました。

 

私はガラコンサートの本番だったので、この番組を娘に録画させ、帰宅してか

ら見ました。

 

ドイツ語で一対一の決闘のことをデュエル(Duell)と言います。番組の

タイトルも「DAS TV−DUELL」と銘打っています。さて幕を開けて

みるとデュエットになっているのです。内容は今までCDUとSPDが行った

政治が非常に良かった事。その路線が去年の9月からの不況で脱線状態になっ

てしまい赤字を拡大したが、その政策も正しかった事。そして今後は不況の回

復も見えてきたことなので正常路線に乗れるという、すべてめでたしのトーク

ショーとなっていました。

 

番組は4名の政治記者が2人の党主に同じように質問を投げかけるルールで、

党首の持ち時間も公平を帰す為に90秒と制限されていました。今回の番組が

白熱しなかったのはこのルールにあると私は思います。政治記者が質問した内

容に両党首が答える。回答が脱線すると政治記者が発言を規制する。対談は始

終政治記者対両党首になっておりタイトルが掲げるDuellになっていませ

んでした。私は両党首とも政党の代表として登場しているので、そんなルール

を決めないで両者に自由に意見を戦わせれば良かったのでは、と番組制作自体

に問題があったと思います。

 

この番組を観ながら寝てしまった人、チャンネルを変えてしまった人が多かっ

たようですが、VTRを最後まで頑張って見た私としては、この対談での勝者

はメルケルのCDU,シュタインマイヤーのSPDの両党でなく、8月13日

に躍進したLINKEだったと思います。この対談に出ていないLINKEが

勝者とは、末政さんどうしたことですか? と不思議に思われるかもしれませ

んが、要するにメルケルもシュタインマイヤーも政党としての確固たるライン

を聴衆にアピールす事ができなかったわけで、そういう意味で両党とも敗者で

す。この両党ともLINKEとは組まない事を明言していますが、きっと国民

の表はLINKEを無視できない、という数字で現れると思います。

 

結果は27日の選挙で明らかになります。

 

http://www.n-tv.de/politik/politik_wahl_2009/Duett-der-Duellanten-article502742.html

 

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■ 9月11日とパキスタン

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9月11日はアメリカがテロにあった日です。この日以来パキスタンでは政情

が著しく変わりました。タリバンをテロの巣窟と決め込みビンラーデンを捕ま

えるのに躍起になっているアメリカはパキスタンの助け無しでは行動がとれま

せん。この日以来アメリカはパキスタンに多額のお金を払い協力関係を築きあ

げました。パキスタンは方やアメリカと、そして方やタリバンと関係を計り外

交バランスを取っているようです。肝心のビンラーデンはいまだ捕まらず、も

う死亡しているという説もあります。パキスタンにとっては両者との関係が重

要でビンラーデンを差し出すより死んでくれている方が良い、という見方が強

いようです。

 

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■ GM オーペル

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アメリカのGMは11日役員をドイツに派遣し子会社のオーペル社を売りに出

しても良い、との見解を発表しました。一時GMは倒産寸前まで追い込まれま

した。現在は状況が幾分好転し、子会社を手放す必要性が無くなった、と報じ

られていました。もしGMがオーペル社を手放さなかったらヨーロッパにある

いくつかの工場が閉鎖される可能性が高かったのですが、カナダの会社マグナ

に売渡が決まりそうで、閉鎖される工場の数が減りそうです。またマグナの取

り引き銀行がロシアのスベア銀行(Sberbank)で、ヨーロッパとロシアのこれ

からの政治経済の関係にも良い、との見方が伝えられています。ただロシア自

体の車産業が好転しておらず、どうしてロシアのお金がロシアの車業界を差し

置いてオーペル社に流れるのか、という国内の批評もあるようです。ドイツの

オーペル本社はフランクフルトの南のリューゼルハイムという町にあります。

また、ノキアが工場を閉鎖したばかりのボッフムに大きな工場があります。そ

の他にはドイツではカイザースラウテン、アイゼナハ、ベルギーのアントワー

プにも工場が存在するようです。これからどういう形でオーペル社が存在でき

るのか、労使、政治関係者の交渉がスタートするわけです。

 

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■ オーボエ演奏のコツ 「エチュードのうまい使い方」 

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先回、演奏に当たって身体や唇、息の圧力の準備をあらかじめすることの重要

性を書きました。今回はそのトレーニングの方法で補足したいと思います。

 

安定感のある奏法とは、あらゆる音の跳躍、また激しい音の抑揚に対して如何

にうまく反応できるか、で決まります。

 

ここで音を出す時に重要だと思われる要素を書き出してみます。

 

<息>

スピード、量、方向

 

<唇>

リードへの面積の取り方、圧力、角度、ポイントの場所

 

<身体>

腹筋の張り具合、肩の脱力、指の瞬発力と脱力

 

この10項目が楽器を構えて音を出す時の決め手になる要素だと思います。こ

の他に口の中の形、つまり「あ」とか「お」「い」とかの母音をイメージによ

って使い分けたりします。また、持久力やブレスの要領などの問題、タンギン

グのやり方、スピードの問題も出てきますが、今は「安定した奏法」の基本を

テーマにしていますので除外します。

 

さて、この10項目を意識的に考えて、最終的には無意識にコントロールでき

るようにするにはどうしたらよいか? これが今回のテーマです。

 

一番良いのはエチュードです。エチュードは初心者から上級者までいろいろな

段階の楽譜が出版されています。エチュードはテクニックの練習だと思ってい

らっしゃる方がほとんだと思います。勿論そのご意見には私も賛成です。ただ

テクニックは指だけの問題ではありません。上記にあげた10項目のトレーニ

ングを総合的にトレーニングしていく必要があります。

 

エチュードは曲と違い音が常に上に行ったり下に行ったりします。ですから安

定した奏法を確立するには非常に良い教材です。どのエチュードがあなたに最

も合っているかは先生にお決めいただくのが一番です。

 

ブラスバンドで先生無しでオーボエを始められた方には次のエチュードをお勧

めいたします。

 

●オーボー教則本 梅原美男著 全音楽譜出版

●HINKE Elementarschule Edition Peters

 

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■ アメリカ経済大ピンチ(その20)

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最近の経済指標は景気の回復を示しているようです。そして各国の株価も年内

の最高値をマークしています。ただ止まらなくなってきたのがドル安です。ア

メリカはまだ不況から脱出したと判断するのは早急、という政府見解を出して

います。それは更なる経済追加予算を出す姿勢がある、と市場は読み取ってい

ます。そしてオバマ大統領の選挙公約である国民健康保険の問題があり、まだ

まだ財政赤字の拡大が膨らむ様相を呈しています。。

 

昨年9月15日にリーマン・ブラザースが破綻。この事件がきっかけでアメリ

カ発の世界不況に突入。現在は各国政府の非常措置で景気を支えていますが、

自力で経済が動けるのはいつになる事か・・・・・・?

 

それでも以前のように最悪のシナリオが減ってきています。企業の半期の決算

の発表も倒産しそう、という危機感あふれるものは消えています。

 

このコーナーで扱う材料もなくなりつつあることは嬉しい事です。

 

 

 

米国からの資金流出を示しているのかもしれないドル安の展開

<村田雅志のKlugView

http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/09/11/006733.php

 


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