バックナンバー:142 2008/5/15


読者の皆様、如何おすごしでしょうか?

 

ロシアの大統領がメドベージェフに予定通り代わりましたね。それでも前大統

領プーチンは首相として政治に絶大な影響力を持ち続けています。ドイツでは

モスクワ、赤の広場での軍隊のパレードの様子が同時中継されていました。こ

のパレードは第2次世界大戦戦勝記念パレード、つまりドイツを負かした記念

パレードです。日本でこのような大掛かりなパレードを実施したら中国、朝鮮

からすぐ「軍事色が強い」とかのクレームがついて外交摩擦につながる事でし

ょう。それより国内の報道陣が自国の防衛力の強さの鼓舞より、共産圏の国々

への媚びを売るために戦闘することかと想像できます。そして騒ぐのは報道だ

けで世間は割と理性的に動き続けるような気がします。

 

中国での地震の被害はかなり大きいようです。ドイツの報道ではニュースのト

ップで映像を流し状況を追っています。日本やロシアからの救援隊が出ている

事、死者5万人に及ぶ可能性がある事、ダムにひびが入っており崩壊の危険性

がある事など、さきほどのラジオニュースで流れていました。地震の為の特別

番組や寄付金のテレビでの募集はまだ見ていません。日本企業でもこの地方に

進出しているらしく、日本人の現地社員の方々の安否が気遣われますね。

 

このところすばらしい天気が続いているドイツです。イチゴ、白アスパラガス

が旬です。アスパラガスにオランダ・ソース、生ハムにジャガイモ、というの

がスタンダードなメニューです。6月半ばまでしか食べられないアスパラガス、

ドイツに住んでいても食べられるのは今だけです。

 

天気が良いとドイツ人はいっせいにバーベキューを始めます。庭仕事にも精が

出ます。暖かいと外へ出る、太陽が少ない国民の自然な行動のようです。しか

し好天が続くと冷房の無いドイツの家はだんだんと熱気が家の中にこもってき

ます。こういう時は太陽の当たる側の雨戸を閉め、直接熱が部屋に入るのを遮

断します。雨戸、といっても日本の完全に真っ暗になるような板戸ではなく、

格子状のもので、上からがらがらと下ろす形式のブラインド型が主流です。朝

晩は外が涼しくなりますから思い切り部屋を換気します。これを怠ると部屋は

蒸し風呂状態になります。服装も朝晩は長袖に軽くカーディガンのような物を

羽織ります。昼頃から我々は半袖。ドイツ人の女性は袖なし、ホットパンツか

ミニスカートにサングラスの出で立ちが多いです。夕方外で過ごす時はまたカ

ーディガンを羽織り、夜間外出の際は夏用のジャケットを持ち歩きます。

 

日本でも温度差が激しく体調を崩される方が多いようです。ドイツ式にこまめ

に着替えるか、外出の時は重ね着で、半袖(或いは袖なし)からコート或いは

ジャケットを着たり脱いだりして調整しては如何でしょうか?

 

7月19日にサロンコンサートを東京にて企画中です。

 

7月12日、13日には中高生対象のグループレッスン、アマチュアオーボエ

の方々の為にオケスタのレッスン、中高生〜アマチュア、音大生誰でもご参加

いただける個人レッスン、ミニ・コンサートとレクチャーを企画中です。

 

両方とも決定し次第メールマガジンで詳細をお伝えいたします。今からご予定

に是非入れておいて下さい。

 

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■ ヨーロッパ夏の講習会から

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★ Holzblaeser−Meisterkurse

7月4日〜8日

Ernest Rombout

www.artez-conservatorium.nl

 

★Weimarer Meisterkurse

7月14日〜20日

Burkhardt Glaetzner

www.hfm-weimar.de/meisterkurse

 

★ Ticino Musica Lugano

7月20日〜8月2日

Ingo Goritzki

www.ticinomusica.com

 

★ Sommerakademie08 Wien

8月10日〜24日

Kulaus Liembacher

www.mdw.ac.at/isa

 

★ オーディショントレーニング 2008 シュロス・ヴェイカスハイム

9月22日〜28日

Kai Froembgen オーボエ(バンベルク交響楽団)

Zsofia Magyer イングリッシュホルン(バンベルク交響楽団)

http://212.227.49.133/typo3cms/jmd_kurse06/index.php?id=39&tx_julleevents_pi1

 

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★ Emsbuernerer Musiktage

10月19日〜26日

Prof.Mattias Baecker(ワイマール)

www.emsbuerener-musiktage.de

 

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■ ♪第3回浜松オーボエクリニックのご案内♪

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夏休み中に浜松で行なわれるオーボエクリニックのご案内申し上げます。

中高生のグループレッスンからどなたでもご参加いただける個人レッスン、昨

年ご好評を頂きました伏見さんのリード講習会も行なわれます。

 

日 時:平成20年8月16日(土)、17日(日)

場 所:アクトシティ浜松研修交流センター、31・32音楽セミナー室

 

講師 : 末政圭志、伏見聡子 

 

詳細 オーボエネットワーク浜松

http://www.hamq.jp/stdB.cfm?i=NB26772&pn=11&s=3922

 

予約&お問い合わせ:宮地まで(Tel.080−6964−8442)

 

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■ 大統領選と原油価格

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現在原油価格が高騰し続けています。1バレルニューヨークではこの文章を書

いている5月9日に126ドル。ほぼ毎日高値を更新しています。これがアメ

リカの選挙戦と関係あるとしたら、選挙の最終ラウンド前に原油価格は暴落す

る事になります。民主党候補のオバマとクリントンの決着が6月といわれてい

ます。その為の選挙資金繰りであれば近いうちに原油価格は下がります。それ

から秋の大統領選挙は11月4日ですから、もし、私の勘が当たっていれば、

遅くとも10月半ばあたりには1バレル80〜90ドルくらいに戻ってくると

思います。きっとアメリカのFRBがインフレに、特に原油価格に無関心なの

はその事を承知しているからかもしれません。

 

 

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■ シラーはシラーではない?      

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クラシック・ワイマール財団がフリードリッヒ・シラーの頭骸骨のDND鑑定

を行い、お墓に入ってる頭骸骨はシラーのものでないことが判明しました。3

Dで顔を再現するとその頭骸骨は非常にシラーと似ているそうです。財団はシ

ラーの頭骸骨がどこにあるか、という捜索はしないそうです。

http://www.welt.de/kultur/article1967350/.html#reqNL

 

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■ CDご紹介 フランソワ・ルルー 

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最近リリースされたCDをご紹介いたします。

http://www.amazon.de/Mozart-Fran%C3%A7ois-Leleux/dp/B0013LUER4

(試していませんが視聴可能のようです)

インターネットで調べてみましたがまだ日本では発売されていないようです。

発売元がソニーですから、近いうちに日本でも発売になると思いますが・・。

 

モーツアルト オーボエ四重奏

モーツアルト 歌劇「魔笛」より3つのアリア

モーツアルト アダージョ(イングリッシュホルンと弦楽の為の)

ブリテン   ファンタジー

ドホナー二  弦楽三重奏

 

オーボエ    フランソワ・ルルー

ヴァイオリン  リサ・バティアシヴィリ

http://www.lisabatiashvili.com/

ヴィオラ    ローレンス・パワー

チェロ     セバスチャン・クリンガー

 

ソニー B0013LUER4

 

ルルーがヴァイオリンの奥様と録音した最初のCDです。オペラ「魔笛」から

のオーボエとヴァイオリンの為のデュエットは楽しく聞くことができます。

 

どのルルーの演奏を聞いても感心するのですが、彼は我々が苦労して演奏する

部分でも「さらり」とやってのけてくれます。並みのプロである私にはそれが

非常に癪にさわるのです。たまにはルルーも苦労しています、という所を見せ

てもらえると皆安心すると思うのですが・・・・・。

 

オーボエ奏者にとってヴァイオリンとのデュエットは音量を揃えるのに苦労し

ます。弦楽器の方々はオーボエではあり得ないピアニッシモを演奏されます。

オーボエ奏者はその為に大変苦労し、尚且つ危険を冒して演奏する事になりま

す。その逆に管楽器の豊かな響きに弦楽器1本で太刀打ちしなければいけませ

ん。いくらすばらしい楽器のヴァイオリンでも豊かな暖かい音色のオーボエに

は魅力を欠くものです。(オーボエ奏者達は皆、そう自負しています。そして

ストラディバリウスを持たなくても出せるふくよかな音色にオーボエファンは

魅力を感じているはずです。)

 

彼らの演奏ではオーボエの絶妙の音量調整と、音色ではオーボエに叶わないは

ずの魅力を奥様は音楽性で見事にカバーしており、大変美しいバランスの取れ

たデュエットに仕上がっています。

 

グルジア生まれの29歳のヴァイオリン奏者の奥様は12歳の時にハンブルク

音楽大学に入学しマーク・ルボトスキー教授に師事。2年後にミュンヘン音楽

大学に移りアンナ・チュマチェンコ教授に師事。1995年にシベリウス国際

コンクールで最年少の参加で第2位。2001年にはBBCからの「Nue

generation artist」を獲得しプロンプでデビュー。先回の

メールマガジンで書きましたピアニスト、ブレンデルも注目している若手ヴァ

イオリン奏者の一人です。

 

ブリテンの「ファンタジー」はブリテンが10代の時に書いた名曲です。今ま

で私が接したこの曲の演奏の中で、今でも記憶に残っているのがコッホの演奏

です。ベルリンフィルハーモニー・ゾリステンの弦の名手と、今にも昔にもこ

の人の右に出る宝石を散りばめたようなキラキラとした音色の持ち主ローター

・コッホの競演はすばらしい物でした。オーボエ四重奏のプログラムを組んだ

時にはモーツアルトと共に真っ先に浮かんでくるのが、この「ファンタジー」

です。弦楽器がおおいに活躍する曲で、まさに「共演」ではなく「競演」とい

う意気込みでいつも私はこの曲に取り組みます。

 

このCDでの演奏はそのベルリンフィルハーモニー・ゾリステンの演奏に匹敵

する演奏です。

 

ルルーの演奏も冴えていて非常に楽しいCDですが、一回CDを通して聞いて

みて、私の印象に非常に強く残ったのは弦楽三重奏です。伸び伸びとした、と

いうか生き生きとした、というべきか、音楽表現が大変豊かで、3人のアンサ

ンブルも見事です。それがブリテンにも、また弦楽器だけのアンサンブル、ド

ホナーニにも十二分に発揮されていて、「室内楽はいいなあ〜」とあらためて

感じさせてくれるCDです。

 

 


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