バックナンバー:140 2008/4/15


読者の皆様、如何おすごしでしょうか?

 

我が家の庭には松の木があります。緑の針が茶褐色になっています。冬が暖か

いと松の葉(針)の色があせ元気がなくなるのだそうです。

 

その暖冬が去り春を迎えたドイツですが、いっこうに暖かくならず、いつ冬の

タイヤから夏のタイヤに変えようか、皆迷っています。早く夏が来ないかな!

ということで水着のショーのホームページをご覧ください。

http://www.n-tv.de/936336.html

 

前のメールマガジンでインドのタタという車の事を書きました。今度はトヨタ

がインドで安い車を生産するそうです。80万円というのがその価格です。で

も生産に入るのは2010年。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ 本のご紹介 「左手のピアニスト―ゲザ・ズィチから舘野泉へ」

--------------------------------------------------------------------------

 

「左手のピアニスト―ゲザ・ズィチから舘野泉へ」

 シュミット 村木眞寿美 ()  河出書房新社 定価2000円(税別)

 

ミュンヘン在住の著者村木さんの書かれた最新の本を今日は皆様にご紹介申し

上げます。村木さんは『「花・ベルツ」への旅』「ミツコと7人の子供たち」

「クーデンホーフ光子の手紙」などを今までに書かれております。永くヨーロ

ッパにお住まいの村木さんご本人から、この本のご照会文を頂きましたので掲

載させて頂きます。

 

ピアニストだけでなく、音楽がお好きな方には見逃せない著書です。

 

--------------------------------------------------------------------------

 

これは、「左手のピアニスト」の物語です。失った右手がくれた右手以上の物。

「欠けているからこそ」完全に近いもの、「ない」からこそ「ある」ものを音

楽の歴史を辿りながら見つけてください。エマニュエル・バッハから現代に至

るまで、2600余りの左手のピアノ曲があります。ゲザ・ズィチ(ハンガリー 

1849-1924)から舘野泉まで、「失ったから得られた喜び」を人と分かち合うた

めに奏でてきたのです。その響きにあの偉大なリストが最も親しみやすい姿で

見え隠れしています。  村木真寿美

 

--------------------------------------------------------------------------

■ NATO拡大

--------------------------------------------------------------------------

 

NATOにクロアチアとアルバニアの2カ国の加入が決定しました。グルジア

とウクライナについてアメリカは強く加入に力を入れていましたが、現在エネ

ルギー輸入をロシアに頼っているヨーロッパ諸国はロシアとの関係を維持した

いために加盟を拒否。

 

私がドイツに来た頃の日本のパスポートには朝鮮とアルバニアの2カ国には入

れない、と記載されていました。そのアルバニアがNATO入りです。

 

エネルギーといえば原油価格が高騰しています。エネルギー対策として最近人

気の穀物から作られるバイオ・エネルギーも、畑が農作物からバイオの原料の

栽培に移った為に農作物の物価の上昇を起こし政治的に再検討をする必要性が

出てきたようです。

 

昨日、ブラジルで世界第3規模の油田が見つかったとの発表がありました。ブ

ラジル国営石油会社ペトロブラスの株価は昨日8パーセント上昇、との事です。

これで原油の価格が少し下がって欲しい物です。

http://www.n-

 

tv.de/Die_Frage_der_Rentabilitaet_Brasilien_entdeckt_Oelfeld/150420081806/9488

 

99.html

 

--------------------------------------------------------------------------

■ イランにトランスラピット?                 

--------------------------------------------------------------------------

 

ミュンヘン市がトランスラピット導入を中止し、テュッセンクルプ株式会社が

トランスラピットの利権を中国に売ってしまう事を検討している、という矢先

に、今度はイランへの販売が進められているようです。

 

えっ? イランには経済制裁が加えられている最中だったのでは? っと考え

てしまうのですが・・・・・・??? そんな事は儲け話には関係無し、理由

は何とでも付けられる、と考えるのがヨーロッパ人のモラル?

 

--------------------------------------------------------------------------

■ オリンピックの聖火が消えちゃった!   

--------------------------------------------------------------------------

 

世界を回って中国に着くはずの聖火がフランスで一時消えました。7日パリを

通るはずの聖火の前に大勢のチベット支持者が中国政府への抗議デモを行い聖

火が立ち往生。警察が出動しましたが結局最後は聖火を消しバスで火の消えた

たいまつを進める事となりました。

http://www.n-tv.de/945401.html?070420082055

 

平和と親睦とハーモニーの象徴である今年の聖火は、既にギリシャのオリンピ

アから行く先々で中国のチベットへの人権問題を世界中に知らしめる事になり

そうです。世界の皇族は中国でのオリンピック開会式への不参加を表明し始め

ています。

 

ダライラマは「乱暴はしないでください」っとデモの皆さんにおっしゃってい

らっしゃいます。

 

--------------------------------------------------------------------------

■ ソマリア沖の海賊

--------------------------------------------------------------------------

 

ちょっと場所は変わりますが、フランスの3本マストの帆船がアフリカのソマ

リアで海賊に乗っ取られました。乗客は乗っていませんでしたが30名のクル

ーが人質になりました。その後クルーと船は無事戻されました。身代金をいく

ら支払ったかは公表されていません。

http://www.n-tv.de/945679.html?080420081237

 

--------------------------------------------------------------------------

■ カラヤンの誕生日に思う事

--------------------------------------------------------------------------

 

4月5日が指揮者カラヤンの100歳の誕生日でした。私はドイツに来て聞き

そこなった、と後悔している指揮者が2人おります。カラヤンとチェリビダッ

ケ。カラヤンはベルリンフィルと、それからチェリビダッケとミュンヘンフィ

ルは聞いてみたかったですね。チェリビダッケの場合はシュトゥットガルトの

放送交響楽団、という選択もありました。

 

指揮者の仕事はただオーケストラの前に立って全体を一つにまとめれば良い、

というものではありません。楽譜にある曲の背景、内容を把握して実際の音へ

と通訳をするのが指揮者の仕事です。その為には曲の持つ精神力、喜び、愛、

などが音のエネルギーとなって凝縮されている必要があります。それを指揮棒

で一緒に演奏している音楽家に示すことができなければ指揮者として成功した

とはいえません。リズム、音程、バランスなどの外側の完璧さより、内容の良

し悪しが演奏の質となって現れます。私は時々このメールマガジンで書いてい

ますが、素人の楽団でも真剣に演奏していると観客は感銘するものです。その

時、細かい音程とか音の間違いとかは問題にならないのです。

 

ドイツのテレビ放送でカラヤンの特集が組まれ、ジェット機やヨットを操つる

カラヤンやオーケストラとの練習風景、オペラの演出家としての彼を紹介して

いました。新しい技術を駆使した録音、録画は20世紀の遺産となりました。

 

しかし、カラヤンが死去した後、またはチェリビダッケが亡くなった現在、録

音の全集などの企画は出ていますが、ドイツの放送では頻繁には彼らの演奏を

流していません。この事は何を意味しているのでしょう?

 

もちろん彼らが残した録音は大変貴重です。でも音楽と言う芸術は時代の先端

を切って体験する芸術である、ということではないでしょうか? 

 

生の演奏会で、時間の最先端を音楽家と聴衆が共有する。音になったら、その

瞬間からその音は過去の物になります。それが本来の音楽芸術の姿だと思いま

す。音楽家の立場から考えると、演奏は一回限りでやり直しが効きません。そ

の為に一発で自分の持っている能力を出し切らなければいけません。本番での

緊張感、エネルギーはそういう特殊な状況から生まれます。

 

そういう環境下では突発事故も起こります。オーボエに関して申し上げれば、

オクターブキーに水滴がたまり、1オクターブ下の音しか出ないとか、キーを

ちゃんと押しているけれどタンポが引っ付いて開かないとか、リードが割れた

とか・・・・。

 

それも、これも、すべてライブです。この人の演奏を聞きたい、と思ったら、

ライブ演奏を聞いてください。そのライブで良い演奏に接することができたら

その感動は一生涯忘れることのできない貴重な体験になるはずです。

 

ドイツ語新聞ヴェルトのカラヤン100歳の記事

http://www.welt.de/kultur/article1869686/.html

 

--------------------------------------------------------------------------

■ NDRハノーファー常任指揮者 

--------------------------------------------------------------------------

 

現在NDRラジオ・フィルハーモニー・ハノーファー日本人常任指揮者大植英

次に代わり2009年秋よりノルウェイ人のアイヴィング・ガルベルク・ヤン

センになるそうです。36歳のヤンセンは世界中の著名なオーケストラと仕事

をしており、最近では2008年バーデン・バーデン音楽祭でアバードと交代

でベートーヴェンのオペラ「フィデリオ」を振っています。

http://www1.ndr.de/orchester_chor/ndr_radiophilharmonie/jensen10.html

 

 


次のバックナンバーを読む


[バックナンバー目次]
[末政さんのメールマガジン] [本橋家トップページ]