バックナンバー:137 2008/2/15


読者の皆様、如何おすごしでしょうか?

 

今、ベルリンではベルリナーレと呼ばれている映画祭が行なわれています。カ

ンヌの映画祭と同じように新作の映画のコンテストで、映画関係者スターが集

まっています。

 

昨日、ドイツの一流企業ドイツポストの社長、ツムヴィンケルが脱税の疑いで

送検されました。国税局では約100件の脱税容疑者を更に告発するらしいで

す。ドイツの税金がだんだんと高くなり、昔であればルクセンブルク(現在E

Uに加盟して情報が筒抜け)現在はスイスとリヒテンシュタインなどへの資金

逃避が進んでいます。この事は何も脱税問題に限りません。企業自体がドイツ

から撤退して別の国に本拠地を移動する事もあるわけです。先回のメールマガ

ジンでご紹介したボッフムのノキア工場閉鎖は賃金が焦点でしたが、もちろん

税金という要素もあるはずです。利益のためならモラルは影に隠れてしまうの

狩猟人種西洋人の特質は日本人とは大きな違いだと思います。(日本の政治家

が西洋化しないように願います)

 

 

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■ オーボエ講習会 ルルー

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ドイツのオーボエ専門店ウヴェ・ヘンツェの主催によるオーボエ講習会。

 

日程 3月1日 2日

講師 フランソワ・ルルー

場所 ミュンヘン音楽大学

受講料 150ユーロ

聴講料 50ユーロ

 

申し込み 

E-Mail: info@uwe-henze.de

 

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■ 地球温暖化に関するEUの対応

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EUは去年12月23日に温暖化対策を発表しました。年間600億ユーロを

かけて二酸化炭素の排出量を2020年までに20パーセント削減する目標を

出しました。

 

また、2012年までに新車の平均二酸化炭素排出量を1キロメートルあたり

120グラムまで抑える事を目標としています。この法律により各メーカーは

研究費が増え新車の値段を上げざるを得ない状況で、平均1300ユーロの値

上がりだそうです。ポルシェは8000ユーロ、アウディは11000ユーロ

の値上げとなる、と計算しています。

 

http://www.welt.de/wirtschaft/article1630424/.html#reqNL

http://www.welt.de/finanzen/article1451954/.html#reqNL

 

昨日ある会合で在日ドイツ大使デュア氏のスピーチを聞く機会がありました。

簡単スピーチの内容をご紹介します。

 

世界のグロバリゼーションが進み、残念ながら日独の関係は昔ほど親密ではな

くなってきている。けれども両国が抱えている問題は共通点が多く、両国が協

力してこの問題に対応していくことは有意義なことであると思う。その両国が

抱えている問題とは、少子化問題。それに伴う外国人移民の問題。(労働力を

必要としているため)また年金問題。それから地球温暖化問題。その他にもい

ろいろな共通点があるのでしょうが、先回のドイツでのG8から引き続き洞爺

湖でのG8の焦点が地球温暖化。日本は京都議定書を提出し世界にその必要性

を訴え続け、ドイツでは早くから原子炉発電から新エネルギーの開発へと率先

して政府がお金を投資して取り組んでいる。こういう形で日独が世界をリード

していく関係が望ましい。

 

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■ ドイツワイン 2007年ビンテージ 

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DWIドイツワインインスティチュートの発表では、2007年のドイツワイ

ンはすばらしい出来だそうです。特に甘いデザートワインの品質に期待が持て、

シュペートレーゼからアイスワインまで、長く保存の利く高品質のワインにな

る、との事。アイスワインのできなかった2006年よりも収穫量が多く、値

段的にはエネルギーとガラス代の上昇に伴い、少し値上がりする程度、だそう

です。

(ドイツ語ネット新聞「ヴェルト」から)

http://www.welt.de/wirtschaft/article1629595/.html#reqNL

 

ぶどうの収穫の様子(写真)

http://www.welt.de/wirtschaft/article1630424/.html#reqNL

 

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■ オランダでカナビス錠剤を販売?

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オランダでは公然と麻薬を販売されております。コーヒーショップでカナビス

やマリファナを1グラムにつき8ユーロで買えるそうです。これはタバコとし

て吸う方式ですが、今度は製薬会社エコーが錠剤を作り輸出にも乗り出すそう

です。もちろん薬は鎮痛剤として販売されますが・・・・・。

 

ドイツとオランダはEUの国ですから、国境はありません。マフィアだけでな

く一般人がオランダで薬を手に入れドイツへ持ち込むことは容易です。しかし

ドイツの警察もただ様子を眺めているだけではありません。ドイツでは麻薬の

不法所持は法律違反です。オランダ方面からドイツに入ってくる車を停めて抜

き打ち検査を行うことがあります。知り合いの息子さんがスポーツの試合でオ

ランダから車で帰途中この検閲にあったそうです。車の中はもちろん、全員パ

ンツまで脱がされての検閲だったそうです。もちろん無罪放免となりましたが

疑われた方は後味が悪いですよね!

 

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■ 怪盗ルパン

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スイス、チューリッヒのビューレ美術館より絵画が盗まれました。

http://www.welt.de/kultur/article1658638/.html#reqNL

 

美術館のホームページ。

http://www.buehrle.ch/

 

2月10日夕方16時半ごろ覆面をかぶった拳銃をもった3人組の男達が美術

館に進入。1人は入り口の係員を脅し、別の犯人は1階にあった4枚の絵画を

略奪。盗まれた絵画はE.G.ビューレコレクションの内のセザンヌ、ドガ、

モネとゴッホの作品。

 

スイスでは先週の水曜日にも2枚のピカソがプファフィコンの芸術の家から盗

まれています。

 

私は犯人のかたを持つわけではありませんが、現在の世の中、こんなにセキュ

リティーが発達して昔のように泥棒はできなくなっていると思っていました。

特に宝石商、銀行、美術館などは最新のセキュリティーシステムを持っている

はずです。そんなチューリッヒの美術館からまんまと絵画を盗み出すことがで

きてしまうとは、まだまだ泥棒の可能性もありそうですね。

 

このような犯罪はEUになって、東のマフィアが結構自由に動けるようになっ

たからかもしれません。(スイスはEUの加盟国ではありませんが!)

 

専門家の話では有名な絵画なので売りさばく事は非常に難しいはず。可能性が

高いのは返品と引き換えにお金を請求するという手法だそうです。

 

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■ ロマン・オルテガ・ケローを聞いて

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先回のミュンヘンコンクール・オーボエ部門第1位受賞者ロマン・オルテガ・

ケローがオスナブリュックシンフォニーオーケストラとマルティニューのオー

ボエ協奏曲を演奏しました。

http://theater.osnabrueck.de/

 

2月10日は天気は快晴。日曜日とあってアウトバーンはがらがらで快適なド

ライブをしながら目的地へ向かいました。定期を楽しみ、オスナブリュックの

オーケストラのメンバーとも久しぶりに会い親交を深める事ができ、その後、

デュッセルドルフのオーボエの専門店ヘンツェがオーボエの展示会を開いたの

で、マリゴとビュッフェ、ヤマハのオーボエを試しました。

 

まず試した楽器ですが、私がヤマハを使用している関係でリードが楽器に合っ

ているためかと思いますが、6本あった楽器の中ではヤマハが一番安定してい

たようです。でもどの楽器もどんぐりの背比べ。特に興味を引かれる楽器には

お目にかかれませんでした。

 

オスナブリュックまで片道180キロほどあります。10年ほど前まではお互

いに行き来があったのですが、最近両方のオーボエ奏者達が病気をしないため

か、来て頂く事も、呼ばれて行く事もなくなっていました。面白い物で、私が

他のオーケストラに呼ばれて行く時はそのオーケストラのソロ奏者が病気とか

ほかの理由で演奏できない時です。またブレーマーハーフェンに私の代わりに

来て演奏していただく時は私の都合が悪くてどうしても仕事ができない時です。

面識はあるのだけれどお互いに相手のソロ奏者の演奏を聞く事はめったにあり

ません。まして一緒に演奏することは稀なのです。20年以上お付き合いのあ

るオスナブリュックのソロ・オーボエ奏者ルーカス・ブラント氏はリーバーマ

ンのお弟子さん。しっかりした腰のある重厚な音を出すことで評判の奏者でし

た。実はその彼の演奏を聞かしてもらうのは今回が始めて!おかしなものです

ね〜!

 

私も彼も50代半ば。お互いに昔のようなパワーはありません。広いコンサー

トホールでオーボエのソロが際立つ演奏はベルリンフィルの怪物コッホは60

歳でもできたのですが、どうも我々には逆立ちしてもできそうもありません。

初めて聞いたブラント氏の演奏はしっかりした安定した音で、10年前なら2

回りも3回りも響があったのでは、と思わせる感じの演奏でした。

 

さて、お目当てのケローの演奏です。ベルリンのフランク・マイヤーの金メッ

キの楽器を引っさげて登場。ケロっとした表情で難しいパッセージもクリアー

してしまいます。協奏曲も暗譜。アンコールのバッハの無伴奏ソナタ1楽章も

暗譜。オーボエの世界にも弦楽器並みのレベルのソリストが現れてきたようで

す。普通管楽器は音楽の勉強を開始するのが遅いのです。ですからピアノや弦

楽器のように早期教育は今まで無いに等しかったのです。ですから10才代の

ソリスト、暗譜での演奏などは我々の時代にはそう無かったわけです。

 

マルティニューの協奏曲はオーケストラにピアノが入っていたり、結構華やか

な伴奏です。ですからオーボエも頑張って音を出す必要がある曲です。私の彼

への印象は音が非常にスムーズに出ていて、指は完璧に回っているけれど、特

に音楽があふれ出てくる、とかオーボエ特有の表現力をフルに生かした演奏で

はありません。午後にカフェーで偶然オーケストラのコンサートマスターと遭

遇してケローの印象を二言三言交わしましたが、彼も同じような印象を持って

いました。演奏は充分上手いのですからこれから音楽的なパワーが加わって欲

しいと思います。彼自身もそのことは承知しているようで、バイエルン放送交

響楽団に入るに当たって別のパワーのある楽器を物色中だそうです。

 

このケロー君は19歳。日本で言うと大学2年生の年です。ドイツではアビト

アと呼ばれる高校卒業試験を受け大学に入学する年です。そんな坊やが来シー

ズンからバイエルン放送交響楽団のソロ奏者として活躍するのです。もちろん

彼は現在の若い世代のオーボエ奏者のレベルのハードルを著しく上げた人物で

世界的にも傑出しているのでしょうが、それにしてもこれからオーボエのプロ

を目指している人にとっては、音楽大学で勉強しようと思っていたのでは既に

遅すぎるのでは、と考えさせられてしまいます。だんだんと楽器も改良され、

演奏すること自体が容易になり、演奏者の年齢層が若くなり、とうとうオーボ

エでも10歳代の世界トップクラスの奏者がどんどん出没する時代になってき

ました。

 

現在音大生として頑張っていらっしゃる皆さん、日本の大学を卒業して留学し

ていらっしゃる皆さん、この現象をしっかりと把握して頑張ってください!

 

 


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