バックナンバー:129 2007/10/15


読者の皆様、

 

お元気お過ごしでしょうか?

 

ここ数日すばらしい秋日和りが続いているドイツです。でも日中最高気温はこ

こ北ドイツで14度、ドイツの中で比較的暖かい地方のラインランドは20度。

太陽の位置が日に日に低くなってきています。

 

ドイツのF1レーサー、シューマッハーが引退した後ドイツでは盛り上がりの

欠けていたF1ですが、今週の週末のブラジルでのレースは面白そうです。毎

週末世界のあちらこちらを転々として行われているF1レースですが、次のレ

ースでF1の今シーズンの優勝者が決まる、というレースです。

なぜ面白いかというと、単独トップがおらず、上位3人に優勝の可能性がある

ので、大変なデットヒートが予想されます。先回で優勝を決められずリタイヤ

してしまったハミルトン、先回の覇者アロンソ、それからライケネンまで優勝

の可能性があります。

http://www.formula1.com/

 

本日、エアバス社が新型旅客機A380の第1号機をシンガポールエアライン

に引き渡します。この飛行機にはシャワー、バー、図書館などを備えるオプシ

ョンが付いており航空会社の希望にそって作られます。シンガポールエアライ

ンの飛行機にはこの上記のオプションはありませんが、ファーストクラスにダ

ブルベット入りのスウィートルームがあるそうです。

 

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■ ブラームスのヴァイオリン協奏曲第二楽章                        

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私の仕事での今シーズン最初の定期演奏会でブラームスのヴァイオリン協奏曲

がありました。この曲、オーボエ奏者なら皆さんご存知なのですが、第2楽章

にソロオーボエ奏者が演奏する長いテーマがあります。専門的な話になります

が、AFCFAという配列で始まります。この配列はオーボエ奏者にとって結

構音程と音色がつぼにはまらず難しいのです。そしてこの音を上手にコントロ

ールできることがオーボエ奏者にとって非常に重要なテーマです。プロを目指

すならオーディションやコンクールで必ず課題として出てくるモーツアルトの

オーボエ協奏曲の2楽章はFCAと始まります。有名なモーツアルトのオーボ

エ四重奏の一楽章はCF−−−と始まります。二楽章はAのピアニッシモで始

まります。もちろんF−Durが全てではありませんが、オーボエを上手に演

奏したい方には、日ごろからAFCFAのコントロールを研究する事が肝心で

す。

 

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■ CDご紹介 ルルーのバッハ   

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J.S.BACH BLEIBET MEINE FREUDE

http://www.7andy.jp/cd/detail?accd=C1087818

 

ブレーマーハーフェンで9月に生で聞いたルルーは、フランスの音(明るく音

の響きが薄い)の概念ではなく、どちらかというとドイツの音。(音がしっか

りしていて響きが豊か。でも度が過ぎると小回りが利かなく長靴を履いた音楽

になってしまう)

 

昔バイエルン放送交響楽団にいたマンフレード・クレメントに風貌が似てきて

いるのがなんとも奇遇といえます。金髪で額が大きく、背丈は高くなく、体格

がずんぐり。音の変化は体格にあるのか、それとも2年前から使用していてご

本人が大変お気に入りの(従来の上管下管との分かれ方でない)新型マリゴに

あるのかは分かりません。

 

マンフレード・クレメントは群を抜いて音が美しく、1970年代〜80年代

にはバイエルン国立歌劇場の首席ソロオーボエ奏者、その後バイエルン放送交

響楽団に首席ソロ奏者として引き抜かれています。ヨーゼフ楽器にはそのクレ

メントが製作に携わったクレメントモデルというのが現在でもあります。楽器

製作者もいかにクレメントの音色に魅了されていたかがわかります。

 

このCDに収録されているのはバッハのF−Durとd−mollの協奏曲、

オーボエとヴァイオリンの為のドッペル協奏曲c−moll、それからエアー、

復活祭オラトリオのアダージョ、タイトルにもなっているカンタータから「人

の望みと喜びよ」の有名なテーマ。

 

オーボエ奏者にとってバッハは大事なレパートリーです。そしてバッハの作品

を語るときにはオーボエは重要な楽器です。今までオーボエでバッハといえば

我が師匠、ヴィンシャーマンでした。FーDurの協奏曲でもドッペル協奏曲

でもヴィンシャーマンほど躍動的で感動的なバッハの演奏を聞いたことがあり

ませんでした。

 

先日ブレーマーハーフェンではd−mollの協奏曲をルルーは披露してくれ

ました。一言で言ってしまえば楽しい!バッハなのです。彼の演奏スタイルそ

のものがコントラストに富んでおり、表現力が豊富です。そしてバックのオー

ケストラ(CD録音と同じ)が古楽器を使用していることもあり、表現はどち

らかというとバロックです。家内には「やっとモダンのオーボエでバロックを

演奏してくれる人が現れた。」と嫌味を言われました。

 

実はバロックオーボエでことさらにバロックです、という表現で演奏されると

無防備で音程の悪さが強調される演奏にアレルギー反応があった為に、バロッ

クの表現に馴染めなかった私ですが、ルルーのバロックはそんなバロック表現

嫌いの私にも良く聞こえます。一応、バロックオーボエを演奏していらっしゃ

る方の名誉のために一言添えておきますが、バロックのクレッシェンドとデク

レッシェンドで音程が崩れるのはなにもオーボエだけではありません。ヴァイ

オリンでもそうです。好みの問題ともいえるかもしれませんが、伸ばす音の音

程が途中で狂うのはモダンの楽器を演奏している人間には、少なくとも私には

耐え難いのです。

 

話をルルーに戻します。ルルーのバッハの表現はヴィンシャーマン以来、バロ

ックのイメージを兼ね備えたすばらしいものだと思います。音は美しいし音楽

は動きがあって楽しいし・・・・・。

 

癪なのですが、聞けば聞くほどうまい!と思います。

 

皆さんのライブラリーに如何ですか?

 

 

先回既に書きましたが、ブレーマーハーフェンで行われたルルーのコンサート

の放送がDeutschland Funkで10月18日に放送されます。

 

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■ ドイツにできるかトランスラピット      

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丁度1年前にドイツのテストコースで大事故を起こしたトランスラピット(リニ

アモーターカー)ですが、バイエルンにやっと正式に作る計画が進んでいます。

 

ミュンヘンの中央駅(ハウプトバーンホーフ)からミュンヘン飛行場を結ぶた

った25キロのコースです。このトランスラピットはドイツの企業、ジーメン

ス、テュッセンクルプ等が中心に開発し世界に売り込んでいます。ジーメンス

本社があるのがバイエルン州のエアランゲンという所で、税金を沢山バイエル

ン州に収めています。そこでバイエルンの政治家が世界に売るためにはドイツ

にトランスラピットがなくては、との肝いりで長年計画を進めていました。

 

話はまったく飛んでしまいますが、ドイツの政治高官が他国を訪問する時に、

ドイツの一流企業の社長が同行することがよくあります。ドイツ製品を売る為

に政治と民間が協力して売り込みます。日本の政治家は企業との癒着などを恐

れてか、品性の無いマスコミにたたかれるのが怖いのか、首相が他国を訪問す

る時に企業のトップが同行して日本製品を政治家と一緒に売り込み商談をまと

める、という話は聞いたことがありません。ドイツの政治家は、ドイツの企業

に頑張ってもらい税金を沢山収めてもらうように努力を払います。もし、日本

の政治家がその気になれば売り込める日本製品、技術はたくさんあります。お

金をばら撒くのであればせめて日本企業に有利なように売り込みもすれば、日

本の景気がもっと上向くと思うのは私だけでしょうか?

 

先日イスラエルに拉致された捕虜を外交で取り戻しました。福田総理は韓国の

拉致問題を他国に委ねました。ミャンマーで日本人が殺害されましたが直ちに

抗議を申し入れていません。自国民が殺されたら戦争に拡大する可能性もある

国際社会において、日本の新首相は日本を代表するという気概がまったく欠如

しています。あなたが外国へ旅行し、そこで何か起こった時に日本政府がこの

ような状態ですと、そのまま放置されてしまいます。日本の政治はもっと日本

を守る、権利を主張できる国に成長してもらいたいです。もし、核がなくて対

等に意見が交わせないのであれば核を持てばよい。まわしがなくて土俵に上が

って相撲が取れないのなら、まわしを結えばよい。日本の現状ではウサギが穴

から周りの様子を伺って行動しているのと同じような政治状況に思われます。

 

少し過激な意見を書きましたが、話を元に戻します。確かにドイツの技術力を

結集したトランスラピットが作られることはドイツ国民は反対ではないと思う

のです。ただ、私見ですが、いくらジーメンス社がバイエルン州にあるからと

いって、ミュンヘン中央駅から飛行場を結ぶというのはいただけません。トラ

ンスラピットはCO2を空にばら撒く飛行機に取って代わろうとするグリーン

な次世代型の乗り物です。それをよりによって第1号を飛行場へ直結させるの

はどうかと思うのです。ミュンヘンーフランクフルトーケルンーそしてもちろ

んブレーマーハーフェン−ハンブルクーベルリン、という構想を政治家には夢

見て頂きたかったです。

 

去年の事故のバックナンバー

http://homepage3.nifty.com/~motohasi/oboe/magazine/backNr10/backnr106.htm

 

 

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■ EUの国境   

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現在旧EUの国境では入出国検査がありません。12月21日から新しい加盟

国にもこのルールが適応されます。ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバ

キア、スロベニア、マルタ、エストニア、ラトビア、リトアニア。

 

そのうちにキプロス、ルーマニア、ブルガリアなども審査なしにEU諸国と行

き来できるようになる予定。

 

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■ ダイムラー

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10月4日の株主総会で世界企業「ダイムラー・クライスラー」から、またド

イツ企業「ダイムラー」に社名が変更になりました。シュトゥットゥガルトに

本社を置くドイツの高級車ベンツとして有名なこの会社は、赤字続きのアメリ

カのクライスラー部門を売り払い「ダイムラー」として再スタートを切ります。

 

赤字部門を切り捨てたことによりダイムラー社の将来に明るい希望が差し込み

株価も順調に伸びていますね〜。

 

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■ オーストリアの記念切手「スペードの女王」

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改修50周年を記念して行われるウィーン国立歌劇場の出し物、チャイコフス

キーのオペラ「スペードの女王」のプレミエ(こけら落とし)は10月28日

に小澤の棒によって幕が上がります。オーストリアポストではその行事にちな

んでヨハネス・ライアッカーのステージをモチーフにした記念切手を発行しま

す。民営化された日本の郵便局はクラシック芸術をテーマにした記念切手を発

行してくれるのはいつのことになるか・・・・・。

 

Wiener Staatsoper - Pique Dame

http://app.post.at/shop/detail.php?prod=207370

 

 


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