読者の皆様、
お元気お過ごしでしょうか?
ドイツは秋に突入しています。春が異常に暑かったことでりんご、梨、すもも
の収穫も例年より早めに始まりました。ドイツで秋といえば欠かせない飲み物
はフェーダーワインです。買ったばかりのこのワインはまるでぶどうジュース
です。栓を開けるとアルコール度が日に日に増してきます。今年収穫したぶど
うを絞ってこれから樽詰めし1年間寝かす、その上澄みをビンに入れて出荷し
ているのがこのフェーダーワインだそうです。実はこのワインを飲むのに一緒
に食する献立があります。ツヴィーベルンクーヘンと呼ばれている玉ねぎのケ
ーキです。一般的に焼いたばかりの暖かいまま頂きます。この食べあわせをご
存知の方はドイツ通です。
ミュンヘンのオークトーバーフェストの様子は
http://www.n-tv.de/856894.html
現在のドイツの日中最高気温は15度〜20度くらい。ブレーマーハーフェン
では枯葉が舞い始めております、この時期になると毎年隣家のどんぐりの木の
枯葉が大量に落ちてきます。大きく枝が張り出している真下に、我が家には直
径2メートルほどの池があるのです。池に直接葉が落ちるのを防ぐために毎年
秋にはネットを張ります。今年は見上げると既に紅葉が始まっており、大きな
葉っぱが降り始めました。どんぐりの実は「どんぐりころころ」どころではあ
りません。飛び込み台から直接飛び込んで、ドボンと音をたてています。そこ
で1週間くらい前に今年はネットを張りました。こんなに早い時期にネットを
張ったのは初めての事です。
日本では福田首相が誕生しましたね。
ドイツのメルケル女性首相はダライラマをドイツに招待し、人権問題で中国を
牽制しています。中国はやっきになってドイツやEUとの政治交渉をキャンセ
ルしたり、国内の政治干渉?をするドイツ政治への非難をしております。外国
から日本の政治を見ていて、安部政権の外交は悪くなかったと思います。ただ、
国内でメディアを含めて阿部政権の足を引っ張る人が多すぎたようです。
そんな政治状況の中で、中国で行われている女子サッカーの世界選手権大会で
ドイツチームが決勝戦で2−0でブラジルを下しました。世界ランクのサッカ
ーの試合は非常に面白いのですが、女性のサッカーは正直なところどうも・・
・・・。(読者に女性サッカー関係者がいらっしゃらない事を願います)
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■ 酒と女と音楽と
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9月16日、ブレーマーハーフェンの歌劇場でルルーの演奏会がありました。
http://www.musikfest-bremen.de/va_detail.php?artID=751&nav2=aktiv&nav2_1=aktiv
ソリストのフランソワ・ルルーは7歳よりオーボエを始め、18歳でパリのオ
ペラ座の首席ソロオーボエ奏者。ミュンヘンコンクール等の国際音楽コンクー
ルに入賞しバイエルン放送交響楽団にソロオーボエ奏者として移籍後、パッシ
ン教授の後をついでミュンヘン音楽大学教に就任しています。
7歳からオーボエを始めることも驚異的です。彼はそんなに大きな人ではあり
ませんから、よく7歳で楽器を持つことができたなあ、と思います。とにかく
経歴を見ても異彩を放っていますから、生の演奏を聞かせていただくのが非常
に楽しみでした。
この日彼が演奏したプログラムは、モーツアルトのオーボエ協奏曲、バッハの
オーボエ協奏曲ト短調、パスクーリ作曲「ファボリータ」の主題による協奏曲。
普通は1曲オーボエ協奏曲をプログラムに組んでおしまいです。3曲を演奏す
るという事できっと楽々と演奏するのかな、第2のローター・コッホは期待で
きないだろうな、などと考えて会場に入りました。
オーケストラのハイドンの交響曲の後、ルルーの登場です。既に十分ウォーミ
ングアップをし、気合が入っているのが見て取れました。ちょうど相撲の力士
が高潮した面持ちで土俵に上がるのと同じように彼は顔を高潮させていました。
ブージー版の普通の解釈で、音楽は正統派。真正面からモーツアルトに取り組
んでの演奏です。ただ、全然違うのはダイナミックレンジの差が普のプロ(私)
の3倍くらいあります。
普通やってはいけないことを彼は演奏中に行います。もう踊りながらのパフォ
ーマンス。指の運動が大きくひどい時は指先が天井を向いています。指揮者無
しの演奏で彼はステージの前方中央に立っているわけですが、彼の動いた範囲
は2メートル四方くらい。シャツがカマバンドからはみ出すほど大きく身体ご
とオーボエを右に左に動かします。これを彼が所属していた放送交響楽団でや
ったらトーンマイスターから収録できないと文句がでるところ・・・・・。
この演奏会はDeutschland Funkで10月18日に放送されま
すので、どのように収録されているか面白いところです。
バッハ、パスクーリも同じようにすばらしいテクニックと大きな表現力で会場
の聴衆を十分楽しませてくれました。アンコールのG線上のアリアも強烈なピ
アニッシモでの演奏。どの演奏をとってもこんな演奏がオーボエでできるんだ、
という今までのオーボエの演奏を一掃するに足る名演奏でした。
演奏会後、ブレーメンの長岡君と私の京芸の後輩で若くて美しいファゴット専
攻の女性と一緒に、我が家で遅くまで1976年ビンテージ、ラインヘッセン
のベーレンアウスレーゼ、レミーマルタンXO、干しぶどうのような濃厚なシ
ェリーを味わいながら演奏会の話などに花を咲かせた素敵な一日でした。
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■ 女の好み
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食べ物でも、女性でも、男性でも、人それぞれということは理解できます。
前に老女の裸をポスターに出してメディアから批判されていた広告がありまし
た。今度は拒食症のがりがりの女性のヌードをイタリアのカメラマンが撮り、
また批判を浴びています。
http://images.google.com/images?svnum=10&um=1&hl=en&q=anorexia+oliviero+toscani
健康といえるかどうかはクエスチョンですが、ロンドンとミラノのファッショ
ン・ショーの画像です。
http://www.n-tv.de/854355.html
http://www.n-tv.de/855001.html
こう見ていくと、ラファエロとかセザンヌの描いた女性達は美しいと思うのは
私だけでしょうか?
痩せたいと思っているそこのお嬢さん、スマートな人だけが男にもてると思っ
ていらしたら大間違いですよ!
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■ ミュンヘンコンクール
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この秋に行われたミュンヘンコンクールで40年ぶりにオーボエ部門で第1位
が出ました。今までのコンクールで第1を受賞したのはローター・コッホとハ
インツ・ホリガーの2人だけ。今回のコンクールはオーボエ、トロンボーン、
打楽器、ピアノトリオ部門に分かれており、45カ国から340人が応募し、
217人がテープ審査を通過し出場権を獲得。オーボエのコンクールとしては
ジュネーブのコンクールと並び世界最高峰のコンクールです。オーボエ部門の
応募者は112人。そのうちテープ審査を通過してミュンヘンで演奏した奏者
は52名。
第1位のオーボエ奏者ロマン・オルテガ・ケロは現在ドイツのロストック音楽
大学でグレゴア・ヴィットの下で勉強しているスペイン人で19歳。
第2位はイヴァン・ポドニョフ、ロシア人、21歳。現在ジュネーブの音楽大
学でモーリス・ブールグの下で勉強中。
第3位のマリア・スルナチェバはロシア人で19歳。ハノーファー音楽大学で
やはりミュンヘンコンクール受賞者の先生クラウス・ベッカー教授の下で勉強
中。
受賞者の略歴は受賞演奏会のプログラム↓(ドイツ語)に載っています。
http://www.br-online.de/kultur-szene/klassik/pages/ard/programme/2007-konzerte.pdf
皆さん、しかしお若いですね。1位入賞のスペイン人は8歳でオーボエを始め
ています。2位、3位のロシア人たちは11歳くらいで青少年テレビコンクー
ルの受賞者。私がオーボエを始めたのは15歳でした。
http://www.br-online.de/kultur-szene/klassik/pages/ard/ard_preistraeger.html
バイエルン放送が提供しているMP3バージョンの小さな番組をダウンロード
して聞くことができます。
http://www.br-online.de/kultur-szene/klassik/pages/ard/ard.html
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■ 言わないとうやむやにされてしまう国
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前にも国際航空協定で飛行機の到着が遅れた場合にお金が戻ってくることにつ
いて書いたことがあります。どれくらいの遅れから保障の対象になるのか、詳
しい数字は忘れましたが2時間半とか3時間くらいから対象になっていると記
憶しております。
今年も何人かのオーボエ奏者が日本帰国時に遅れがでました。私は彼らに絶対
にお金が戻るからクレームを入れるようにお勧めいたしました。結果、3分の
1くらいの金額は払い戻してくれたようです。もし、クレームを入れなかった
らどうなるか、と申しますと、何もしてくれません。
西欧の人間たちはもともと狩猟民族で搾取して生活してきました。主張するこ
とは当たり前、主張がくいちがえば決闘になります。まあ、現在では裁判です
が・・・・。ドイツで生活するうえで裁判保険は裁判の費用を補償してくれる
大事な保険です。
今までドイツのブンデスバーン(国営鉄道機関で民営化が進められている)で
は、長距離列車の遅れは一部払い戻し(金券)をしてもらえました。また、列
車が遅れたために最終列車への接続がなくなった場合はホテル代か、目的地ま
でのタクシー代を出してくれていました。
来年1月からドイツの3つの州でローカル路線の1時間以上の遅れに対しても
料金の一部が払い戻しになります。実施されるのはバーデンビュルテンブルク、
チューリンゲンとザクセンアンハルトです。今年の5月からバイエルン州では
すでにローカル線で1時間遅れの場合は料金のの4分の一、2時間遅れの場合
は半額が金券にて払い戻されています。条件として払い戻し金額が2ユーロ以
上になる場合、だそうです。この払い戻しを受けるにはその場で主張しなけれ
ばいけません。列車内の車掌、あるいは到着したその駅のサービスポイントで
すぐ払い戻しを受けてください。
そのドイツ・ブンデスバーンは12月9日から約3パーセントの値上げを発表
しています。