バックナンバー:126 2007/9/1


読者の皆様、

 

お元気お過ごしでしょうか?

 

夏休みは如何でしたか?

 

今年の夏は本当に暑かったですね!

ドイツのデトモルトに留学して7月半ばに日本に帰国された方が、この夏だけ

でドイツにいた時の3年分の汗をかいた気分、とおっしゃっていらっしゃいま

した。現在ブレーマーハーフェンの気温は16度です。

 

その暑さに負けず頑張っていた甲子園の球児達。佐賀商の大活躍は私だけでな

くきっと皆さんも感動された事と思います。普段からの基礎体力作りに励んだ、

そうですが、その基礎体力を作る事から、忍耐強さが生み出されていたのだと

思います。想像以上の地道なトレーニングが生んだ辛抱強さが今回の大逆転劇

の連続に繋がったのだと思います。

 

さあ、今シーズンも頑張って参りたいと思います。

皆様の応援をお願いいたします。

投稿大歓迎です。

 

 

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■ カペラ・ブレメンシス演奏会での楽譜に関して                            

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7月27日、東京で行いましたオーボエ三重奏の演奏会にいらしてくださいま

した方々、謹んでお礼を申し上げます。

 

演奏していて、あっという間に時間が過ぎてしまいました。きっと聞いていら

した皆様方も同じ気持ちだったと思います。

 

いらっしゃった方々より、次回からまたしゃべってください、との強いご要望

を頂きましたので、次の日本でのコンサートでは、またトークを入れる事を考

えてみたいと思います。

 

またオーボエをご専門に演奏していらっしゃる方々より、楽譜のご質問を受け

ましたので、列記いたします。

 

≪ヨーゼフ・トリーベンゼー:

 ハイドン作曲「交響曲第94番」の主題による変奏曲 ハ長調≫

 

Edition Kneusslin Basel

このスイスの出版社からは別のトリーベンゼーの曲、ベントの作品なども出版

されています。

 

≪ヨーゼフ・シュナルケ:イギリス民謡の主題による変奏曲 ニ長調≫

 

この曲は現在印刷された楽譜は存在しません。色々な楽器用に編曲され、手書

きで出回っています。

 

≪門田展弥:「黒田節ファンタジー」≫

 

この曲もまだ出版されておりません。すばらしい曲ですのでいつか出版される

といいですね!

 

≪フランティシェク・クラマー・クロンマー:

 2本のオーボエとイングリッシュホルンの為の三重奏曲 ヘ長調≫

 

Editio Supraphon Praha

昔のチェコスロバキアの楽譜が存在しております。今でも時々入手する事がで

きます。いつでも手に入る楽譜ではないので、見つけたらすぐ買う事!

 

アンコール曲

≪Josef Bednarik:Schwing Schweetから

Rag≫

 

Karthause-Schmuelling Bestell-Nr.:0175

 

≪門田展弥:木曽節パラフレーズ≫

 

作曲家、門田さんが私の為に作曲して頂いた最初の作品で、オリジナルはオー

ボエとピアノの為の曲です。この作品をご自身の手によりオーボエ三重奏用に

編曲されました。楽譜は出版されておりません。

 

 

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■ リセッション

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さて、今月から歌劇場の仕事も再開です。夏には楽器を調整に出したりする関

係でしばらくオーボエを吹いていませんでした。そこで、とりあえずまともに

演奏できるようにコンディションを回復させる必要があります。毎回夏休みの

後、このリセッションを行わなければいけないのがつらい所です。

 

パソコンのように前回終了したプログラムデータが残されていて、作業をそこ

から再開できれば苦労はしないのですが、感覚が戻るまではどうしても時間を

かけて調整をしなければいけません。

 

会社の出張でしばらくオーボエを吹かなかったり、受験勉強でオーボエを休ん

だ後のリセッションもおなじ事だと思います。

 

では、どのようにするのか、というと、ロングトーンと音階練習です。調子が

戻っていないのでリードをいじるのは禁物です。音色は二の次にして、一番簡

単に音が出るリードを使って身体と唇と指のトレーニングから再開します。無

理をしないことも重要です。

 

修理から戻ってきたばかりの車でいきなり時速200キロ、なんて事は普通し

ませよね!我々オーボエ奏者もおなじ事です。

 

1時間づつ、1日に何回かに分けて、内心はこんなはずではなかった、早く調

子を取り戻さねば、と焦りながら、何事もない様にゆったりとロングトーンと

音階を行います。オーバーホール後の楽器の変化もありますからチューナーと

にらめっこしながら新しい楽器の音程のクセも確認します。

 

また細かい微調整ネジの再調整はオーバーホールした後は不可欠です。ただし、

この作業をするには経験が必要です。私の場合はオーバーホール後、日本から

ドイツへ楽器を持ち帰るわけです。気候の変化もあり日本での完璧な調整も絶

対に狂います。皆さん方にはオーバーホール後楽器屋で試奏されてネジ調整を

技術の方と一緒に行う事をお勧めいたします。オーバーホールをする時に技術

者は一応所有者の指のクセを考慮してネジを調整してくれていますが、それで

も人それぞれキーを押さえる強さが違います。A君が抑えてぴったりのキーで

もBさんがしなやかに押さえるとキーがピタ、と閉まらない事があります。そ

の逆もあるわけで、音大生以上の実力の方になると、この微調整の如何で成功、

失敗の分かれ目になる事さえあります。

 

皆さんは、夏休みにたくさんオーボエを演奏され、これから私のようにリセッ

ション、という方は少ないと思いますが、リセッションが必要な時はプロでも

このようにコンディション調整をする事を思い出してください。

 

 

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■ 北ドイツ旅行記3ーハンブルク・聖ミヒャエル教会(その1)      

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北ドイツに尋ねてきて頂いた知人を案内して、ブレーマーハーフェン、ブレー

メン、リューベック、ハンブルクと観光で回りました。普段、住んでいる町、

仕事や買い物では行くけれど観光した事のなかった都市をめぐり歩きました。

今回からこの旅行で見た所を少しづつご紹介してまいります。旅行ガイドにあ

ることない事、私の主観を交えていろいろ書いて見たいと思います。

 

http://www.st-michaelis.de/

 

ハンブルクでの観光は残念ながら見るところが多くありません。第二次世界大

戦で徹底的に連合軍に爆撃され、ほぼ跡形も無く焼け野原と化してしまいまし

た。そういう訳で名所旧跡という物が少ないです。戦後建てなおされた市庁舎、

教会が観光スポットになっています。

 

聖ミヒャエル教会はドイツの30年戦争の最後の年に建設を着手。マルティン

・ルター派の世界最初の教会として建てられました。ですからその存在はプロ

テスタント信者にとっては非常に重要です。1750年3月10日に落雷によ

る火災で全焼。世界中の信者からの献金で教会は再興されました。

 

第二次世界大戦では、連合軍がこの教会をポイント・ゼロと定め、この教会を

目印にハンブルクの町を何度も空爆しました。ほとんど町が焼け野原になった

後、この教会のポイントとしての価値がなくなり、終戦直前に爆弾が3発落と

されました。それによってオルガンは破壊されましたが、祭壇は残ったようで

す。

 

聖ミヒャエル教会はハンブルクの教会としては重要な地位を持っていたので、

戦後まず即席に教会が再建されました。礼拝でオルガンが必要なのですが、昔、

日本の小学校にあったような小さな足ペダルのついた簡単なオルガンでは教会

としての誇りが許さず、小さいといえども600本のパイプを持つグロールマ

ン製のオルガンが設置されました。そのオルガンは今でも祭壇の左横に残って

います。1952年に現在の聖ミヒャエル教会が再興されました。

 

オルガンの話しになりましたので、ついでに教会後方上部にある大オルガンに

ついて少し触れておきます。1906年に作られたオルガンは当時としては世

界最大のオルガンでした。パイプの数が12173本、163のレギスター、

5段の鍵盤と足ペダルがありました。その後南ドイツのパッサウという町にも

っと大きなオルガンができました。しかしこのオルガンは1945年の空襲で

被害を受け、現在のものは1962年にシュタインマイヤーによって作られま

した。このオルガンは6665本のパイプ、65のレギスター、5段鍵盤とペ

ダルを供えています。そして、左側上部にもう一台のマークセン製オルガンが

あります。このオルガンは後にヴァルカーによって大きくなっています。

http://www.st-michaelis.de/uploads/pics/foto_steinmeyerorgel.jpg

 

 


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