バックナンバー:119 2007/4/15


読者の皆様、

 

お元気お過ごしでしょうか?

 

ヨーロッパは暖かい天気が続いています。先回のメールマガジンから2週間

経ちましたが、現在は新緑が美しくなってきました。桜、チューリップ、し

ゃくなげの花が一緒に咲いています。この暖かさの到来は平年より3週間ほ

ど早いそうです。ライン川地方では最高気温30度にもなるそうで、既に夏

の気候です。こうなるとドイツの女性はぱあ〜っと薄着になります。(男性

もですが、私が男性に目を奪われることはありません)ノースリーブ姿のう

ら若き女性たちがさっそうと歩いているのとは裏腹に、おばあさん方はコー

トをしっかり着こんで歩いています。日向と日陰の温度差はかなりあるので、

きっとそうやって気温の大きな変化を肌で受けないようにしているのだと思

います。

 

ちょっと憂鬱なお話になりますが、春はドイツでは自殺の季節です。回りが

一気に明るく華やかになるのに対して、それについていけない人たちはノイ

ローゼになるらしいのです。特に5月は歴代の詩人達が「素晴らしい春!」

Wunderschoene Fruehlingとか「何と美しい5月」 

と詠っているくらい、暗い冬から解放的で暖かになった春を称えています。

そんなドイツの春はギャップが大きく、孤立してしまう人を作り出してしま

うようです。

 

来週はベートーベンの交響曲第8番、とブラームスの交響曲第4番の定期演

奏会が3回あります。ブラームスの4番の交響曲は1980年だったかな〜、

第1回草津音楽祭の後、引き続き群馬交響楽団のお仕事をさせていただき、

モーリス・ジャンドロン(チェロ奏者兼指揮者)の指揮で定期演奏会とレコ

ード!!!録音に参加した思い出があります。ベートーベンの第8番は気の

抜けない曲で音程も結構繊細です。クラリネットはもっと大変そうですが・

・・・・。

 

 

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■ CDご紹介 クリストフ・ハルトマン「ファンタジア・イタリアーナ」                  

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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団オーボエ奏者クリストフ・ハルトマン

が演奏するアントニオ・パスクーリの協奏曲CDです。

 

「シチリア島の夕べの祈り」の主題による大協奏曲

「トロヴァトーレ」による協奏曲

「ポリウート」によるファンタジア

「仮面舞踏会」によるファンタジア

「椿姫」の楽しい思い出

「リゴレット」の思い出

CDC 3799442 EMI社より発売

http://www.emiclassics.at/xml/6/3252808/3799442.html

http://blog.livedoor.jp/goodies2/archives/50808715.html

 

パスクーリは1842年10月13日、イタリア、シチリア島のパレルモで

生まれました。既に14歳でオーボエの神童と呼ばれ、イタリア、ドイツ、

オーストリアで演奏活動をしています。18歳の時に故郷パレルモの音楽大

学で教鞭をとっています。42歳の時に原因不明の病気にかかり、演奏にド

クターストップがかかり演奏活動を断念しています。5人の子供の内、2人

の娘がハープ奏者になりました。故郷シチリアでオーボエの教鞭をとりなが

ら、管楽器のアンサンブルを指導。そのアンサンブルを母体に弦楽器を加え

オーケストラを結成し、ワーグナー、シベリウス、グリーク、ドヴィッシー

等の曲を指揮しました。晩年は第1次世界大戦の暗雲の中、息子の悲報を知

らされた後、1924年2月23日に世を去りました。

 

ドイツの音楽辞典「バロックハウス・ハンス・リーマン」にオーボエという

楽器について「ヴィルトオーゾというより旋律を奏でる楽器」とありますが、

パスクーリの作品はまったく別で、全ての要素を盛り込んでいます。夢のよ

うな美しいメロディーはもちろんのこと、信じられないような早い動き、息

の長いパッセージなどはオーボエの常識をくつがえす超絶技巧をも必要とし

ます。ヴァイオリンのパガニーニ、ピアノにおけるリストに匹敵するのがオ

ーボエ奏者のパスクーリだったのです。

(CD解説より)

 

オーボエ奏者ハルトマンは10歳よりオーボエを始めました。趣味は競輪で、

もし彼がオーボエを手にしなかったらきっと競輪選手になっていたそうです。

自転車のスピードとパスクーリの早い動きは共通する部分があるそうです。

かなり若いときからパスクーリの作品に憧れを持って接していたそうですが、

難しすぎて演奏不可能だったので、常に難しいエチュードや作品に立ち向か

い続け、一方、レヒ川の近くの町ランツベルクで自転車を乗り回していたそ

うです。アウグスブルクでゲオルク・フィッシャーに、ミュンヘン音楽大学

でギュンター・パッシンに就いて勉強した後、27歳でベルリン・フィルに

入団。バカンスは別荘のあるイタリアで過ごすそうですが、イタリアではよ

く図書館などに通い、今までに発見されていない楽譜を探すそうです。ベル

リン・フィルと共に1999年にシチリアに演奏旅行に行った時に、生まれ

た年、死んだ年くらいしか判っていなかったパスクーリの故郷パレルモにあ

るコンセルバトリウムに立ち寄ったそうです。その図書館でパスクーリ自筆

の、今まで印刷されていなかった2曲のオーケストラ伴奏譜を発見。「ポリ

ウート」によるファンタジア、と「シチリア島の夕べの祈り」の主題による

大協奏曲は今までピアノ伴奏譜のみが出版されていました。館長の許可を得

てコピーをとったそうです。そのうちにアウグスブルガー・フィルハーモニ

ーとのCD製作の話が持ち上がり、同僚のヴォルフガング・レンツが別の曲

のオーケストラ版を作り上げたそうです。CD製作と平行してハルトマンは

新しい自転車のモデルを作り上げました。名前を「パスクーリ」というそう

で、2006年に注文生産を開始したそうです。この自転車でアルプスを2

回越え、日本でも、中国では万里の長城に沿って走ったそうです。ただ、指

のことを考えて、 今まで一度も自転車競技には参加していないそうです。

(ベルリナー・モルゲンポストより)

 

パスクーリの録音は今までもいくつかあります。ハルトマンのCDはパレル

モで見つけた作曲者自筆のオーケストラ譜を音にした真新しい、他に無い体

験をさせてくれます。テクニックが無いと演奏できないパスクーリの曲です

が、それだけではなく、オペラのプリマドンナが奏でるような非常に美しい

音楽が楽しめます。

 

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■ ウィーンの靴屋さん   

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本日は男性のおしゃれな靴屋さんをご紹介いたします。手作りの靴で一足何

と2800ユーロ(約44万円)。しかし一度注文した人は、また注文を入

れるそうです。一足仕上げるのにかかる時間は40時間だそうです。

 

この靴屋は「シェアー」といい。創業は1816年。ドイツ皇帝、オースト

リア皇帝、などの宮廷からの注文を扱っていました。現在の顧客には世界中

の有名人、富豪が並んでいるそうです。

http://www.scheer.at/

 

 

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■ TGV、パリーリヨン 最高時速575キロ

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世界の高速列車は日本の新幹線(現在までの世界最高速度保持で581キロ)

、ドイツのICE(最高時速407キロ),フランスのTGV「テージェー

ヴェー」が代表格です。TGVの高速列車を作っているのはAlstom

「アルストム」という会社です。今回の列車の最高速度に挑戦する為にかか

った費用は30ミリオーネン・ユーロ(4,762,260,992円)。

 

今回のスペシャル車両は2台の2万5千馬力の牽引車に2階建ての3両の客

車、計5両の列車です。牽引車が全体を引っ張るのではなく、各車両に駆動

装置をつけました。(確か新幹線もこの方式を取っていたと記憶しています)

また、高速の振動に耐えるために枕木を点検。この列車を走らせる時には電

圧を上げる為に配電線を張替えたそうです。

 

このようにして高速に挑戦して企業イメージを高めて、各国に売り込みは掛

けるのが最大の目的です。現在韓国との契約が進んでいます。またアメリカ、

南米にも話が進み、きっと新幹線と一緒に売り込み合戦をしていることと思

われます。

 

フランスの鉄道会社SNCFは現在のTGVでの通常のスピード時速300

キロから360キロへアップすることを検討中だそうです。

 

パリーストラスブールグ間は6月からドイツのICEも乗り入れ、時速32

0キロだそうです。

http://www.welt.de/wirtschaft/article791720/.html

 

 

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■ ハンブルクでの演奏会 アルブレヒト・マイヤー

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4月19日19時30分よりハンブルクのライツハレ(旧ムジークハレ)でベ

ルリン・フィル・ソロ・オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤーがモーツアルト

のオーボエ協奏曲を演奏します。

http://www.laeiszhalle.de/data/programm/print_90_tage.php?t=30

 

 


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