バックナンバー:118 2007/4/1


読者の皆様、

 

お元気お過ごしでしょうか?

 

ヨーロッパは先週から夏時間に入りました。日本との時差は7時間です。

次の週末は復活祭です。4月6日と9日は祭日です。普通のご家庭では、土

曜日も休みで連休となります。しかし我々歌劇場関係者は人が休む時に働く

のが恒です。夏のバカンス以外は休みが取れず、音楽家の子供達は文句たら

たら。

 

ドイツの住宅地を歩くと家の前の木に色とりどりの卵が飾られています。卵

といってもプラスティック製です。今週は非常に暖かだったこともあり、辺

りの景色は一気に春になりました。この時期にドイツを訪れたことのある方

はご存知でしょうが、レンギョウとスイセンの黄色い花、色とりどりのヒヤ

シンス、桜や梨の淡い白、桜のピンクと非常に美しいです。まだ新緑も少な

い木々に咲いた花と、色とりどりの卵で通りは非常に明るい雰囲気に包まれ

ます。復活祭はクリスマスに次ぐキリスト教の大事なお祭りです。

 

これから復活祭にかけて、卵形や兎形のチョコレートがたくさん売られます。

小さいお子さんのいる家庭では、親が隠したこの卵型チョコレートを子供達

が復活祭の朝に探します。

 

 

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■ 「Knut」ベルリン動物園の白熊の赤ちゃん                 

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ベルリンの動物園で生まれた白熊の赤ちゃんクヌートが大人気です。復活祭

のお休みにたくさんの人が訪れることが予想されています。動物園ではガー

ドマンを配置して檻に近づきすぎないように警備しているということです。

ぬいぐるみ、ステッカー、絵葉書が飛ぶように売れ、歌まで書かれCDとし

て売られています。

http://www.oe24.at/zeitung/welt/weltchronik/article120296.ece

 

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■ ドイツでの新商売は   

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ドイツで交通違反をすると罰金を取られるほかに点数がつきます。この点数

は違反により違うのです。スピード違反では20キロオーバー以下であれば

罰金だけで済むようで、すっ飛ばしている車も大方20キロオーバー内で走

っています。この点数は3年間加算されなければ消滅します。逆に点数が増

えて一定数に達すると、免停、再試験となります。

 

このところインターネットでこの点数を肩代わりする商売が出てきています。

 

例えばネズミ捕りでスピード違反の手紙が来たとします。この手紙は車の持

ち主に発送され、誰が運転していたかという詮索はされません。従って肩代

わりしてくれる人にお金を払って、彼が運転していた事にします。そうすれ

ば彼に点数を肩代わりしてもらう事が可能というわけです。これが法律違反

かどうか?というとそうでもないらしいのです。

 

日本ではホリエンもんが法律違反ではないのに実刑判決を言い渡されました。

海外のメディアではこの判決に非常に批判的です。西洋は契約の社会ですか

ら、物の売買から賃貸契約、場合によっては結婚まで紙に書かれた事が有効

で、心情的な、好意的な、良心的な解釈は成立しないのが普通です。

 

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■ ロストロポーヴィッチ80歳   

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アサバジャン生まれのロストロポーヴィッチは3月27日に80歳の誕生日

を迎えました。2005年以降演奏はしていませんが、現在は指揮者として

活躍しています。ドイツ・グラモフォン社から80歳を記念して2枚組みの

CDが発売されました。

http://www.deutschegrammophon.com/webseries/index.htms?ID=rostropovich80&PRODUCT_NR=4776505

(ホームページアドレスが切れている場合はどうぞペースト&コピーでお願

いいたします。)

 

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■ A380テスト飛行   

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現在国際線を飛んでいる飛行機のほとんどはボーイング社かエアバス社です。

エアバス社の最新型A380は2005年秋にフランクフルト空港に無事着

陸。その後、生産が送れ、3月17日、フランスのトゥールーズからフラン

クフルトに到着。3月19日にはまたテスト飛行を続けます。今回のテスト

飛行は実際に旅客を入れ、本番と同じような過程で行われ、旅客の荷物のコ

ンベアなどの対応状況も確認します。

 

現在、新型航空機の生産遅れの影響で、エアバス工場の閉鎖、人員削減が検

討されており、1万人の従業員の生活が危ぶまれています。

 

エアバス社はEUから政治的に操作されている企業です。この会社は旅客機

だけではなく、例えばインデアンヘリコプターなどの軍事兵器も作っている

会社です。多くの秘密を保持をしなければならず、特にドイツ、フランス、

スペインの政治監督の元に成り立っている会社です。工場もこの三国にばら

ばらに点在し、A380の生産も過程によりこの三国に分けられているもの

ですから、非常に能率が悪いのです。一応企業なので、経営者側はその生産

の非能率な部分を改正し、人員削除を発表していますが、上のような理由で

政治家も各国の利害を優先して一行に改正が進まない状態が続いています。

http://www.welt.de/wirtschaft/article765814/.html

 

 

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■ エネルギーキラー

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EUの最近の政治姿勢として環境問題が活発に論議されていることは何回かメ

ールマガジンでも書きました。

 

ドイツの新聞、「Die Welt」(世界)3月17日発行のインターネッ

ト版に、家庭でのエネルギーキラーの記事が掲載されていました。

 

電気製品によくあるスタンバイ機能ですが、その中でも一番電気の無駄な消費

量が多いものが玄関に付いている呼び鈴だそうです。1日何回か、それも数秒

の為に1日中待機して使用している電気の代表です。ファックスもブラックリ

ストに入っていました。

 

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■ CO2

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ドイツのニュースで今年に入ってから、環境に関するニュースが非常に多いの

が目立ちます。ドイツやヨーロッパだけが頑張ってもCO2排気はなかなか減

りません。そこでドイツからの後進国援助金に関して、CO2を下げる為の努

力をする事への条件を付けてはどうか、という意見が出ています。

 

どうして最近急にこの問題が浮上したか、と申しますと、CO2排気による地

球の温暖化が原因です。このままのスピードでCO2が排気されると、20年

後には北極の氷がなくなり、水位がかなり上がるそうです。その為の準備金が

ビリオンユーロ?だそうです。これは海岸や河川の堤防を強化する為の費用で、

この莫大な予算を削る為、あるいは少しでも先延ばしする為に躍起になってい

ます。これからの国際会議にもこのテーマは重要性を帯びてい来ることは間違

いありません。島国である日本では水位の上昇は大問題だと思うのですが、政

府は試算を出して、対策を考えた方が良いのでは・・・・・・。

 

アメリカで、砂糖水で走る車を開発したそうです。どんどん新しい技術が開発

され地球破壊が停まるだけでなく改善される事を期待したいと思います。

 

 

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■ ライン川で貨物船事故

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3月27日、ライン川でコンテナ船がバランスを失い積荷であるコンテナを川

へばら撒きました。あわてて船を岸につけようと舵を切ったところ、更にバラ

ンスを崩した模様。この影響で河川の交通は完全にストップ。ライン川はヨー

ロッパで船の往来が激しい川です。事故が起きたケルンあたりの川幅は結構広

いのですが、船が舵を切った為に川幅の中心にある航行路全域にコンテナが落

っこち、交通麻痺に陥りました。

 

ここでこのコンテナを吊り上げる作業に使用する機械が面白いです。グロッケ

(鐘という意味)という丁度コンテナがすっぽり包まれる形をした金属の鋳物

を水中のコンテナへ降ろします。このグロッケの脇には人間が乗れるように設

計されており、潜水夫は潜ってコンテナにたどり着く必要がありません。今回

のように大量のコンテナを処理するにはきっと潜水夫は助かっている事と思い

ます。

 

この事故で船の航行は昨日の30日までストップしていました。

 

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■ 新車が安い イギリス兵だ捕事件

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ドイツの消費税は今年に入り16パーセントから19パーセントに値上げされ

ています。27日発表の消費データでは購買力の冷え込みが確認されました。

新車の登録が1月と2月、共に30パーセント以上の落ち込みだそうです。原

因は消費税の値上げらしいです。車を買いたかった人は去年の内に既に購入済

み。その影響で現在、新車価格が29パーセント安くなっている会社もあるそ

うです。

 

読者の皆様でメルセデス、BMW,アウディ、ポルシェなどをお求めになりた

い方、今がドイツに直接買い付けるチャンスです。でも、ユーロ高はまた続い

ていますね!

 

消費は冷え込んでいますが、ドイツの1月の輸出は順調です。このところ記録

的な業績をあげている企業も多いようです。

 

ユーロで思い出しましたが、とうとうイランが石油の販売をユーロに切り替え

ました。これでイランはアメリカのアキレス腱に切り込んだ形になります。そ

の影響かどうか、アムステルダムのオイル・スポット・フューチャーが値上が

りしています。不思議なのはアムステルダムのオイル・スポット・フューチャ

ーはドル建てです。今まではほとんどがドルで売買されていたわけで、そのド

ルの事をオイルダラーと呼ばれていたくらいです。それが徐徐に変わりつつあ

ります。

 

日本でどのように報道されているかこちらではキャッチできませんが、現在イ

ランがイギリス兵15名の乗ったボートを境界を無断で越えたという事でだ捕

しました。イギリスは強力に抗議を申し入れ、今にも戦争が起こりそうな雰囲

気です。私見で恐縮ですが、イギリスにしてみればここで戦争を始めてEUを

巻き込みたいとたくらんでいる可能性が高いです。EUも一応抗議声明は出し

ていますが内心はイギリスとは違うようです。

 

皆さんNATOという軍事機構をご存知ですか?

 

これは、戦後ソ連中心のワルシャワパックに対抗して作られた軍事機構です。

なぜこの機構を作ったかというと、イギリスがアメリカを抱き込んで、ヨーロ

ッパでの発言権を強く持ちたいが為、と云われています。冷戦が終了した後、

このNATOは不必要になりつつありました。アメリカの後ろ盾がないと、イ

ギリスは外交上非常に弱くなってしまうのです。ところが今度また、アメリカ

製のパーシング(敵のミサイル発射を感知してそのミサイルを打ち落とすミサ

イルシステムの事)をヨーロッパに配備しては、とブッシュ大統領が提案して

きました。アメリカの影響力を利用する政治を行いたいイギリスにとっては大

賛成です。ドイツとフランスはどちらかというとロシアと仲良くしたい。だか

らロシアが気に入らない政策は取りたくない。一方、チェコやポーランドは冷

戦時代にロシアにいじめられた怖さから、この意見に賛成。そもそもブッシュ

がどうしてこのパーシング(この武器を作っているのはアメリカのロッキード

・マルティン社)をヨーロッパに購入させたいのかが不明なのです。名目はイ

ランがロケット弾をヨーロッパに打ち込む危険があるからだそうです。最近ア

メリカの議会が2008年をめどにアメリカ軍のイラクからの撤退を決議しま

した。ドイツの報道では、ブッシュは当然拒否権を発動する、とコメントして

います。アメリカではこの決議などを含めて次の選挙戦が既に始まっている模

様に見受けられます。

 

っと云う訳で、イギリスは必要以上にブッシュ政権を補佐して、今度の事件で

イランは危険、と世間をあおりたてています。イギリスにとっては戦争を起こ

してくれるアメリカ大統領が変わってからでは、得意の外交政策が取れません

から・・・・。

 

一方日本の31日、各社社説では、「イラク復興支援特別措置法を2年延長す

る改正案が、国会に提出」に関する記事が出ておりました。どの評論家も支援

延長に対して慎重論を唱えています。それは当然なのですが、政府としては、

イラク戦争の正当性とかよりも(不当であるという事は開戦前から分かってい

たこと)時期米大統領の政策を分析して、現在のブッシュ政権と比較検討し日

本の外交政策を探る必要性があると思うのですが・・・・。

 

新車価格のお話がずいぶん脱線してしまいました。脱線ついでに、ドイツの景

気は非常に良いです。失業者数も減少。景気動向指数も上昇。インフレは多少

進み、3月は2パーセントの上昇だそうです。消費税の値上がりがほぼ3パー

セントとするなら、その上昇よりも遅い、という判断がつきます。

 

 


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