バックナンバー:111 2006/12/19


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

ドイツは相変わらず温暖な初冬が続いております。今度の週末からアドヴェ

ント。クリスマス前の4回目の週末が第1アドヴェント、クリスマス前3回

目の週末が第2アドヴェント、・・・・。クリスマス前の最後の週末が第4

アドヴェントを経てクリスマスを迎えます。今週はどこの街角でも、家庭で

もクリスマスの飾り付けが行われ、街は一気にクリスマス気分へと突入して

まいります。ただ、今年は全然寒くないので、今の所、景色だけクリスマス、

と感じている方が多いようです。(日中気温10度くらいです)

 

先日映画を見ました。「007 カジノ・ロワイヤル」

新しいボンドは懸命に走る、飛ぶ・・・・。兎に角動きが活発で若返ったボ

ンドの大活躍。最後の方にはイタリアのコモ湖が出てきました。ここはロッ

クフェラーの別荘があったりする世界の大金持ちが集る避暑地です。この映

画を見ていても分かるのですが、色が独特で美しい場所です。湖畔にある大

別荘のほとんどは、ふだん窓が閉ざされています。

 

最近、ロシアの元諜報員がイギリスの回転寿司屋で毒をもられて病院に担ぎ

込まれ死亡するという事件がありました。プーチン大統領の周りを探ってい

て殺されたロシア人女性ジャーナリストについて、この諜報員が調べていた

そうです。北朝鮮も日本にスパイを潜入させ大問題になっていますが、日本

のスパイ、という話は聴いた事がありませんね。

 

 

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■ フジテレビ あとがき と 裏話

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先週の23日、テレビをご覧頂いた方々、朝早くからありがとうございました。

また、多くの方々からご感想をメールで頂き、まだ見ぬ番組を想像することが

できました。

 

前々から書いておりますが、ディレクターが長時間撮影された録画テープをあ

の8分間くらいの番組に収める事は、オーボエ奏者がリードを削っている作業

のようなものです。いや、確率にするとディレクターのお仕事はオーボエ奏者

より能率が悪いかもしれませんね。カメラマンのお仕事も同様ですが、1枚の

写真を得る為に使うフィルムは3本、4本?

 

その録画テープを自由自在に駆使してディレクターがご自分のコンセプトに会

うように放送番組を作り上げるので、私としてはどのような出来になっている

のか少し心配でした。ディレクターの方が、あらかじめ永年海外でご活躍中の

日本人を尋ね、その方から元気を頂こう、というテーマで放送したい、という

趣旨が伝えられておりました。

 

皆様方のメールによりますと、そのディレクターのねらい通りの番組に仕上が

った様で非常に安心しております。

 

「ブレーメンの音楽隊、の動物の取り合わせ」

 

番組には全面カットとなりましたが農家の場面がありました。実は、事前にブ

レーメンの音楽隊の組み合わせで動物を実際に飼っている農家を探す予定にな

っておりました。知人にもお手伝い頂き探しましたが見つかりません。苦肉の

策で、犬、猫、ロバを飼っている農家へ鶏を持ってきて撮影して頂く事にいた

しました。一昔前までは、この4つの動物の取り合わせは結構あったようです。

鶏インフルエンザが発生してから、鶏を外で放し飼いをする事が法律でできな

くなり、かなりの農家が鶏を飼うのをやめてしまいました。撮影にご用意した

雄鶏は素晴らしい鶏で、りっぱなとさか、絵に描いたような美しい色をしてい

たのです。これがカットで残念でした。

 

撮影前にハノーヴァーのプロ・オーボエ奏者の松原清氏と電話でこの動物の組

み合わせについて話したのですが、彼曰く、「普通は絶対いにありえない。そ

れはブレーメン近辺の特有のお事で、だから童話にもなるのでしょう。だいた

い人間を見ていても犬を飼っている人と猫を飼っている人はタイプが違って相

容れないのが普通。」とおっしゃられ、2人で大笑いしておりました。でも、

本当にブレーメン近辺の農家では犬と猫は普通です。ドイツでも田舎では結構

この取り合わせはお目にかかります。松原氏がおっしゃるようにドイツではそ

んなに特別な事ではないのです。

 

「撮影の時の演目」

 

番組中の歌劇場でのゲネラルプローべの曲目は、バレエ「アンナ・カレーニナ」

音楽はロシア人の作曲家ロディオン・シチェドリンでした。 

 

実に残念だったのは、このフジテレビが録画した翌日のプレミエに作曲家が本

来であればブレーマーハーフェンへ来る予定だったらしいのです。その代わり

に11月26日に作曲家が奥様を連れていらっしゃいました。どちらかと言う

と奥様の方が有名なのです。バレエがお好きな方なら「えっ」と驚かれると思

います。ボリショイ・バレエの元プリマ・バレリーナのマヤ・プリセツカヤで、

どうして彼らがプレミエに来られなかったか、と申しますと、実は奥様が日本

で第18回高松宮殿下記念世界文化賞、受賞の為にご夫婦ともども日本にいら

したからでした。カメラチームがゲネプロだけでなく、プレミエの様子も撮影

したいというご意向もあったのです。もし、このプレミエにこのお2人がいら

していて、更に日本のカメラチームが入ったとなれば、ドイツの地方歌劇場と

しては、それこそおとぎ話のような話だったのですが・・・・・。

 

 

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どうして私がドイツに留学したか?

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先日、フジテレビをご覧になられた方は、テロップで流された、「どうしてド

イツに留学されたのですか?」という問いと答えをお読みになられたと思いま

す。テレビをご覧になられた方には重複いたしますが、前のメールマガジン、

「デトレフ・ヨーナス先生に思う事」で、お若い勉強途中の方々が、ご自分で

ずいぶん勉強になりそうな音楽会、講習会などを自己放棄して、チャンスを潰

しているような気がします、と書きました。テロップの原稿を書いていて、も

し、私が高校生の時に岩崎先生の演奏会を東京で聞いていなければ、ドイツも

今の自分もなかったかも、と思いました。もし、その演奏会を聞いていなくて

も、遅かれ早かれ、岩崎先生との出会いはあったと思いますが、このような留

学へのスムーズな展開にはならなかったはずです。

 

テロップ原稿(このように流れたかは不明ですが) :

 

> プロフィールを拝見したところ、末政さんは23歳の時にドイツに留学さ

> れたとのことですが、拠点は最初からブレーメンだったのでしょうか?

> 大体の年代と場所の経緯を教えていただきたいです。

 

1976年秋からドイツのデトモルトにある北西ドイツ音楽大学に留学。

1981年8月にブレーマーハーフェン歌劇場管弦楽団と契約を交わしました。

 

> ちなみになぜドイツを選ばれたのですか?

> 「オーボエの発祥」みたいな、オーボエとドイツの関係が何かあったら教え

> ていただきたいです。

 

私が音楽を勉強するのに反対であった(音楽家として生計が立てられるかどう

か心配した)父から、音楽大学に進むのに条件が出されました。それは公立の

音楽大学に進む事でした。公立で当時オーボエ科があったのは、東京藝術大学

と京都市立芸術大学の2つです。偶然にも、私が高校生の時に、東京で京都市

立芸術大学の岩崎勇先生がリサイタルをされたのです。その素晴らしい演奏会

を聞いて、この先生に就いて勉強を続けたいと思うようになりました。実際に

は両方の大学を受験し、結果的に東京がダメ(^^)で、京都が合格!

 

さて、その岩崎先生がどういう方かと申しますと、武蔵野音楽大学を卒業後京

都市交響楽団に入団。在団中に一年間休団されて、ドイツのデトモルトに留学

されたのです。当時、ドイツでオーボエを勉強するならデトモルト! と言わ

れており、教授のヘルムート・ヴィンシャーマンはオーボエ奏者、指揮者(ド

イツ・バッハゾリステンという室内楽オーケストラを指揮していました)兼、

名教師で、教えを受けてプロになった学生はたくさんおります。帰国された岩

崎先生は京都市交響楽団に戻られ、後に京都私立芸術大学の先生になられまし

た。

 

私が薫陶を受けたその岩崎先生のご推薦を受け、卒業後すぐにデトモルトにあ

る、有名なヴィンシャーマン先生がいる北西ドイツ音楽大学に入れる事になり

ました。

 

当時留学するにはドイツ(ヴィンシャーマン先生のほかには、ローター・コッ

ホ先生、ハインツ・ホリガー先生)、フランス(ピエール、ピエルロ先生、モ

ーリス。ブールグ先生)かアメリカ(ラルフ・ゴンバーク先生)あたりが主な

候補だったと思います。ただ、京都市立芸術大学に入学した時点で、すでにデ

トモルトのヴィンシャーマン先生に直結しており、他の音楽大学を検討する事

など考えてもおりませんでした。

 

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2006年 日本で見つけたオーボエ用新製品4

 「メトロノーム・チューナー」SEIKO STMX1

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帰国するといつもオーボエの専門店にご挨拶がてら新製品を探しに伺います。

 

ここ数年、帰国の度に新しいチューナーやメトロノームが出ております。1つ

の機械で両方いっぺんに測定できる機械が現在出ております。

 

前にご紹介しましたKORG社のTM−40という機種は音程を測定しながら

メトロノームをかけられる万能型でした。今回ご紹介するのは機械にはチュー

ナーとメトロノームの機能がありますが、両方いっぺんに使用する事はできま

せん。しかしクリップがついており直接楽器に付けて周りがうるさい状況でも

音程を測定する事ができます。また、練習の時に譜面台にクリップしておけば

場所も節約でき常時チューナーとメトロノームを待機させる事ができます。私

の譜面台には現在この機械がへばりついております。合奏の時にも使いたい方

向きです。合奏の時に使う必要が無い場合は先回のKorg社のメトロノーム

チューナーが断然お得ですが、置く場所の機能性としてはこの機種が勝ります。

 

この機械で一つだけ不便なのはメトロノームの設定です。ボタンを押してだん

だん早くすることができるのですが、ちょっと遅くしたい時にほぼ1周させな

いといけません。これはちょっと面倒で練習する気持ちをそがれます。

 

もし、この読者の中にフルートの方がいらっしゃいましたら、この機種はフル

ートには不向きです。クリップで楽器に取り付けてもあまりにも近すぎ、目が

寄ってしまいます。

 

楽天でこの製品を扱っている一番安いお店では4,725 (税込) 送料別

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(メールアドレスが切れている場合はペースト&コピーでお願いいたします)

 

 

読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

読者の皆様お待たせいたしました。15日になっても発行されないメールマ

ガジンに、私が病気になったのでは、と気を使っていただきメールが殺到、

 

しませんでした。あ、いや、理由はお読み頂ければお分かりいただけますが

この2〜3日オーボエを放り出して文化の旅をしておりました。

 

ドイツは相変わらず温暖な初冬が続いております。ヨーロッパアルプスでも

暖かな様で雪が少ないそうです。

来年の3月終わりまでに積もってくれ〜〜〜〜!

でも昨日は北ドイツで明け方スリップ事故が相次いでおります。気温は4度

くらいなのですが、部分的に凍っているようです。我が家のおてんば娘も自

転車でこけたそうです。

 

 

 

マイクロソフトのアウトルックというプログラム、ご存知の方多いと思いま

す。このプログラムにフォルダー修正プログラムがついているのをご存知で

すか?そして何のためにこんなプログラムがあるのかご存知ですか?

今回、この未開発的なソフト「アウトルック」に被害を被りました。プログ

ラムがデータにアクセスしないのです。変だと思ってマイクロソフトのホー

ムページで調べたら、フォルダーが2GB以上になるとプログラムがフォル

ダーにアクセスしなくなるのです。プログラムは作動するのですが、既存の

フォルダーを指定しても開いてくれません。提供されている修正ソフトを使

用してフォルダーを修正してもアクセスできず、データはあるのに喪失状態

です。アクセスできないのでフォルダーを縮小することもできません。まっ

たくひどいプログラム!と怒っております。最近はハードディスクの容量が

大きくなりデータをたくさん駐屯できて非常に便利になりました。でもこの

ような事故は困ります。アウトルックをお使いの方、どうぞご用心を!

 

そういう訳でまたしてもメールデータが消えてしまいました。快調に作動し

てくれれば便利なコンピューターですが、一度事件が発生すると大変大きな

ツケが回ってきますね!

 

皆様またどうぞメールを私宛にお送り下さい!

メール:contact@oboeinfo.de

 

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■ ロシア人スパイ怪死事件

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ロシアの元スパイ怪死事件、デュッセルドルフ発の航空機で放射性物質検出。

ハンブルクでポロニウム検出。謎だらけの事件ですが、なぜかドイツにもか

かわりがあるようです。それだけにドイツでは噂だけが尾ひれをつけて報道

されています。例えば、放射性物質の出所はロシアで、アメリカが得意ない

ちゃもんを付けて、原子炉を監視する体制をつけさせる為だった、とか・・。

 

ポロリウムという放射性物質はロシアでは入手可能だそうです。大体のもの

はウォッカ2本で手に入る、というのは我オーケストラのロシア人の話です。

 

という訳で、西のメディアが報道しているほど入手が難しい品物では無い様

で、それがウォッカ2本で入手できてしまう・・・・・。戦後の闇市みたい

ですね!

 

そのロシアのモスクワの気温ですが、やはり温暖でプラス6度。普段であれ

ばマイナス16度以下。今頃の平均で既に22度の温度差です。

 

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■ ATO(無人列車)

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2008年にニュルンベルクで運転手無しの地下鉄が誕生するらしいです。無

人のモノレールは成田空港に既に登場しています。その他にもパリ、リヨン、

トリン、デュッセルドルフ・・・・・にも、無人列車は走っています。

 

このドイツのジーメンス社が開発している地下鉄ですが、本来は今年の秋に開

通の予定でした。それが延期になったのはもっとテストを重ねる事情が出来た

ようです。そういえば、メールマガジンにも以前書きましたが、トランスラビ

ットがドイツの試験コースで今年事故を起こしております。このトランスラビ

ットも実はジーメンス社がかかわっております。

http://homepage3.nifty.com/~motohasi/oboe/magazine/backNr10/backnr106.htm

 

ATO(Automatic Train Operation)と専門家は呼んでいるそうです。無人の

電車導入に関してロンドン、パリ、香港なども興味を持って見ているそうです。

 

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■ アルブレヒト・マイヤーのCD、ヘンデル

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「新しい季節」とか「新しい四季」とでも訳すのでしょうか?

New Seasons」というのがタイトルです。

 

以前にもマイヤーのモーツアルトのCDをご紹介いたしましたが、今回も同じ

ようにヘンデルの曲をオリジナルと編曲を取り混ぜて録音されています。マイ

ヤーについての私なりのコメントは前のモーツアルトのCDで書きましたので

バックナンバーをご覧下さい。

http://homepage3.nifty.com/~motohasi/oboe/magazine/backNr06/backnr68.htm

 

ドイツでは9月頃に発売になっておりましたが、今までずいぶんとたくさん書

くことがあり、先送りにしておりました。

 

バロック音楽が多いクリスマスの時期ですから購入の時期としてもグッドタイ

ミングです。マイヤーファンなら尚更楽しめます。完璧な演奏で柔らかい音色。

こんな風に演奏できたらたのしいだろうな〜、と思うCDです。

 

Titel: Haendel - "New Seasons"

Solist: Albrecht Mayer, Oboe

Orchester: Sinfonia Varsovia

Label: Deutsche Grammophon

Labelcode: LC 00173

Bestellnr.: 00289 476 5681

 

さすがにオーボエ視聴室さん、入手が早いですね。

http://yy0043.cocolog-nifty.com/blog/cat2076239/index.html

 

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篠原真 「オブセッション」

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12月12日、ケルン日本文化会館で「篠原真75歳祝賀演奏会」が行われま

した。

 

満員の会場で、18時より篠原先生ご自身のドイツ語の説明で、19時から行

われる曲について45分間解説が行われました。

 

篠原先生は東京芸大卒業後フランス給費留学生としてパリで勉強を続ける。ド

イツ・バイエルン州から奨学金を得て、更にDAAD(ドイツ政府奨学金制度)

留学生、イタリア政府奨学生としてジーメンス・エレクトロニック・スタジオ、

ケルン音楽大学、ライン音楽学校で勉強を続ける。コロンビア・プリンセトン・

エレクトロンミュージックのロックフェラー賞を受賞し、オランダ政府から奨

学金を得る。モントリオールのマックギル大学の客員教授。その後世界各地の

放送局で電子音楽を手がけ続けている。

 

ざっとご紹介すると上記のような履歴をお持ちの方です。パリ留学中に、是非

ダルムシュタットの現代音楽スタジオを訪ねるように先生から言われ、ドイツ

のダルムシュタットに出かけたそうです。現在でもダルムシュタットの電子音

楽スタジオは、世界の現代音楽の中心の一角をなしていますが、そこで篠原先

生は電子音楽に出会い、これからの世界はこれだ!と思われたそうです。ケル

ン放送局でシュトックハウゼン、ツィンマーマン達と一緒に仕事をし、その後、

ランダのウトレヒト放送局のスタジオでお仕事を続けられました。そういう関

係で篠原先生ゆかりの地、ケルンでのお祝いでした。

 

12日の演奏会プログラムは

 

篠原真

BROADCASTING(ステレオテープ音楽)

UNDULATION A(ピアノソロ)

PASSAGE(バスフルートソロ、電子効果付き)

TURNS(ヴァイオリンと琴)

JUSHICHIGEN−NO−UMARE(琴ソロ)

RELATIONS(フルートとピアノ)

CORPORETION(NHK録画、8本の日本の楽器と8本の西洋楽器)

 

ケルン在住のお二人の日本人作曲家がこの日の為に特別に作品を書かれました。

Kawakami Noriko

ANKLANG

 

岸野末利加

SEVEN STEPS

 

さて、篠原先生の作品の中に、日本人作曲家のオーボエ作品として重要な曲、

「Obsession」

Alpfonse Leduc Editions Musicales

Paris

があります。

 

先生のお話によりますと、「オブセッション」は先生の作品中で演奏される事

が多い曲だそうです。ケルン音楽大学で賞を頂いたときに、パリ音楽院の学長

ルーシャーからオーボエとピアノの作品を書かないかと聞かれ、書かれたのが

この曲だそうです。まだ技巧的には現代奏法は入っていない若い時の作品です。

作曲して学長に提出したところ、出版社Leducに持っていくように指示を

受け出かけて行ったところ、出版社に「この作品はフランスの伝統的な作風で

はありませんね」と言って断られ、また、学長にその事を伝えられたそうです。

そうしたところ、学長が「私が許可した、と伝えるように」とおっしゃられ、

出版社にその旨を伝え出版になったそうです。

 

「Obsession」の意味ですが、辞書には常動とか、繰り返しとか出て

いたと記憶しています。デトモルトの大学で一緒に勉強していたイギリス人に

意味を尋ねたら、やはり「何度も同じことが繰り返される」という様な意味、

と教わりました。篠原先生にもお尋ねした所、それで良いそうです。

 

この曲は日本の楽器をイメージして書きました、とおっしゃられていました。

 

ところでこの作品について原田先生のホームページ「日本の作曲家によるオー

ボエのための作品」に逸話が載っておりました。

http://mirabeau.cool.ne.jp/oboe/composer.html

 

篠原真のオーボエの作品は、この曲以外に

Reflekion 1970 がございます。

この曲はハインツ・ホリガーが編集した

Stuien zum Spielen Neuer Musik

つまり、「現代音楽奏法の練習曲集」の中の1曲です。この練習曲集は12人

の作曲家の作品が収められており、ホリガー自身の奏法、解釈に関するコメン

トがついております。出版社はBreitkopfです。

 

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■ カラバッジョ展          

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http://www.museum-kunst-palast.de/doc375A.html

デュッセルドルフの美術館で1月7日までカラバッジョ展が行われております。

 

さてカラバッジョはイタリアのバロック時代の画家で、写実画法、光と影の手

法に優れていました。後の画家達にその手法は受け継がれ、光と影の手法で有

名なオランダの画家レンブラントも彼の影響を強く受けています。

 

現代ではすぐに掴まってしまうので考えられない逃亡生活を送っていた彼の人

生などにご興味のある方はインターネットで検索して頂ければ結構かと思いま

す。そういえば、ワーグナーも借金取りに追われてヨーロッパ中を逃げ回って

いました。今なら直ぐに御用!

 

今回のデュッセルドルフでの展覧会はオリジナルとコピーを集めてありました。

一つのオリジナルに数点のコピーが存在します。昔のことですから、ある絵画

を入手しようとすればオリジナルしか方法がありません。写真とかポスターは

存在しないのです。現代のように著作権が進んでいませんからコピーが出回り

ます。歴史家の見解では、カラバッジョは工房にコピーをする人を抱えており、

何枚かをコピーさせていたかもしれないそうです。いずれにしてもたくさんの

コピーが存在するわけです。オリジナルとコピーの選別がその作品の価値を左

右します。オリジナルとコピーは専門化が目で見ても分からないそうです。た

だ、現代のレントゲン技術でその判別をすることがカラバッジョに関してはで

きます。

 

カラバッジョ展ではオリジナルとコピー、そのレントゲン写真も公開されてお

り、違いが一目瞭然でした。要するにカラバッジョ自身とコピーの絵では出来

上がりが同じでも描かれている手順が違うのです。カラバッジョは黒の布地に

白いチョーク?(ドイツ語でチョークはKreideです。展覧会にはBleiweiss

書かれていました。絵画に詳しい方、ご存知ですか?)のようなもので光をつ

けていきます。一方コピーは単純に光の部分も白で描かれていますので、レン

トゲン写真ではその白が残りません。

 

絵画を見に行ったというより、レントゲン写真判定を見に行ったような鑑賞で

した。でも面白かったです。

 

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■ 2007年ニューイヤーコンサートの指揮者は?             

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2007年のウィーンで行われるニューイヤーコンサートの指揮者を見つけま

した。知らなかったのですが、毎年記念切手が出るのですね。この切手オース

トリアでは12月6日に発行されています。そういえば小澤も切手になって発

行されていましたがそういう関係だったのですね。指揮者、誰だかお知りにな

りたい方はオーストリア郵便局のホームページで分かります。

http://app.post.at/shop/detail.php?prod=207010

http://app.post.at/shop/productpics/large/207010.jpg

 

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あとがき

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今年最後のメールマガジンとなりました。読者の皆様、2006年もお付き合

い頂きありがとうございました。来年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

 

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