バックナンバー:108 2006/11/1


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

ドイツは冬時間に戻りました。これで日本との時差が8時間です。

今年の10月は好天続きで庭仕事も楽に進める事ができました。例年ですと今

頃は10度以下、雪がちらほら降ってもおかしくない気候なのです。それが、

どういうわけか日中気温20度以上の日々が続きました。しかし、これからど

んどん日照時間が短くなり、寒い暗い日々になっていきます。我々日本育ちの

大人にはこの暗〜い冬は非常に長くつらく感じるのですが、娘達は必ずしもそ

うではないようです。特にクリスマス前の独特の雰囲気、飾りは楽しい!そう

です。

 

北ドイツにお住まいでオーボエファンの方々、ブレーマーハーフェンの次のオ

ーケストラ定期演奏会ではモーツアルトのオーボエ協奏曲がプログラムに乗っ

ております。ソリストはリューベック音楽大学教授ヨーナスです。ご興味のあ

る方々、どうぞブレーマーハーフェンにいらしてください。6日は20時より、

7日と8日は19時半開演です。

 

先回のサッカー・ワールドカップ・ドイツチーム監督クリンスマンがアメリカ

のナショナルチームに誘われているようです。サッカーのスター達の話題はド

イツでのニュースでは事欠きません。

 

ドイツの元首相シュローダーが本を出しました。彼は首相にはなれなくても与

党のSPD党代表として残りたっかたようですが、辞任に追い込まれてしまっ

た、と回顧しています。日本の首相阿部さんも選挙前に本を出しました。「美

しい国へ」という本です。その中で教育の事に触れられおり、イギリスのサッ

チャー首相の教育改革を褒めていらっしゃいました。先日、以前にブレーマー

ハーフェン歌劇場のハープ奏者だったイギリス人が遊びに来て現在の教育につ

いて話したのですが、彼女は「ミス・サッチャーがそんな事したのかしら? 

私にはイギリスの教育が変わった様には見えないけれど」と言っていました。

政策とデータだけで判断している政治家と一般庶民の格差、といったところで

しょうか。ブロードウェイのミュージカル「マイフェアレディ」は下町言葉が

染み付いた女性を上流階級の言葉に徹底的にトレーニングしてレディに仕立て、

貴族の仲間入りをさせる、というストーリーです。今でもロンドンの下町には

その階層の言葉があり、彼らはその言葉を話す事に誇りを持っているけれど、

「私にはへどがでそう!」とそのイギリス人は申しておりました。まだ、その

傾向は充分残っているらしいですが、その辺の英語の感覚を理解できるには相

当の英語力が必要でしょうね。ドイツでこの曲を行う時はドイツ語です。これ

また正確に発音を理解しようとすると難しいですね~。日本語にしたら下町言葉

は江戸の「べらんめー調」でやるのでしょうか?

 

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フジテレビ出演は

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下記の番組でブレーマーハーフェン歌劇場とか我が家とかが、テレビに出ます。

 

お知り合いの方々にどうぞ宣伝してください。

 

フジテレビ「めざましテレビ」の番組中

コーナー名:めざまし地球紀行

旅のタイトル:絵本作家が行く ドイツ・メルヘン街道の旅

リポーター:絵本作家 のぶみさん(HPアドレス:http://www.nobmi.com/

 

放送時間は11月の木曜日で全5回。

ブレーメン・ブレーマーハーフェンは最終回の11月30日です。

 

のぶみさんのホームページによると時間は7時20分〜7時30分だそうです。

http://cgi.members.interq.or.jp/saito/nobmi/keijiban/schedule.cgi

 

前回のメールマガジンでも書きましたように、ほぼ12時間の収録にお付き合

いして放送時間は10分だそうです。プロデューサーの方のお仕事もリード作

りの作業と同じで、ほとんどボツにするお仕事をされているのが分かります。

という訳で、大々的に宣伝して、朝早くから皆さんを起こしておいて、「なあ

〜んだ、末政さん登場していないじゃない」と言われかねないのですが・・・。

その時は私にメールを頂ければプロデューサーの方へ苦情をお回し致します。

 

松浦亜弥がナレーションを担当するという噂がネットでありました。でも私は

彼女がどんな女性か知らないのですが・・・・・。

 

メルヘン街道にご興味のある方はどうぞ初回の放送を朝から頑張ってご覧下さ

い。第1回目は明日の11月2日です。

 

私は見られないので皆様のご報告を楽しみにお待しております。

 

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ヴィンシャーマン教授訪問記

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短時間ではありましたが10月19日に我師匠ヴィンシャーマン教授を尋ねま

した。85歳の教授は今もお元気で、老後をゆったり過ごすより、演奏会で立

っていられる限り指揮活動は続けたい、とおっしゃっておりました。

 

今のお若い方々はオーボエ奏者としてのヴィンシャーマン教授のお名前はご存

知ないかもしれません。

 

彼の元で学んだ優秀なオーボエの弟子をざっと上げてみると本当に驚くべき事

です。

 

パッシン教授、シュマルフス教授、ゴリツキ教授、ヴィンター、シェレンベル

ガー、ユリウス・コッホ、ツォルン、ブッホルツ、ワルコル、岩崎、松山、安

原、宮本、河野、等等。

 

この先生の下に集った生徒達は、先生の音楽に対する熱い情熱を受け、大変な

薫陶を受けました。現在、若い方々にドイツで勉強をなさるなら、是非この先

生の下で研鑽を積まれたら良いでしょう、とお勧めできる大学の先生が一言で

出てまいりません。パッシン教授、シュマルフス教授、ゴリツキ教授は既に退

職寸前ですからこれから彼らの下でゆっくり勉強はできません。

 

現在の入試の傾向として、先生を選んで入る、というよりは多くの音大を受験

し入学できた大学に入る。そして偶然そこにいらっしゃる先生に教わる、とい

うものです。どうしてこのようになるのか、ヴィンシャーマン先生と分析して

みました。

 

現在重視されていることは完璧なテクニックと音程で、音楽そのものが持つ美

しさ、表現への執着が少なくなっている。つまり完璧なテクニックを学ぼうと

思うのであれば個性的な先生に就く必要性がないのではなかろうか、という見

解に達しました。しかし、音楽の表現が我々に不十分に感じても、お若い方々

のテクニックは素晴らしく向上しております。

 

前日にお会いしたドイツでご活躍中のある日本人プロのオーボエ奏者とお話を

していて、やはり話題に上ったのが個性とテクニックの問題でした。楽器の性

能が昔より素晴らしく上がったので、昔の楽器だと非常に苦労しないと達成で

きなかった事が、現在の楽器だと易々とできてしまいます。しかし、彼の言葉

を借りると「ヒットはたくさん打てるけれどホームランが出ない。」

 

私も同感です。

 

ヴィンシャーマン教授の教えは、指先、口先のテクニックではなく、体全体か

ら出てくる音楽への情熱でした。もちろん専門的な解釈、表現方法も先生から

いろいろ学びました。

 

しかし、先生はこうもおっしゃっておりました。曲を演奏する時に演奏者はそ

の曲の背後にいるべきです。演奏者が曲の前に躍り出てしまうのはどうでしょ

う?っと。演奏者は常に作曲家が意図したことを忠実に守りながら演奏する事

が大切だとおっしゃられました。

 

現在は指揮活動一筋のヴィンシャーマン教授ですが、11月と1月に日本で演

奏会があり、12月はドイツでクリスマス音楽を指揮するそうです。いつまで

もお元気でご活躍願頂きたい音楽家です。

 

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■ 2006年物のワインは

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このところ良いワインの年(2003、2005)が続いています。秋の天候

がすこぶる良かったドイツなので気になるのがワインの出来です。専門家の調

査では去年に比べてブドウの収穫量は20パーセント減少。しかし内容は良い、

との事です。量が少なく質が高いので、価格が上がる可能性があるそうです。

来年度からドイツの消費税が16パーセントから19パーセントに引き上げら

れます。食品は16パーセントに据え置きだそうですが、ワインはどうなのか

なあ?

 

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■ 37歳の年金生活者

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今シーズン限りでF1レースを終了するドイツ人レーサー、ミヒャエル・シュ

ーマッハーは現在37歳。日本の鈴鹿でのレースではフェラーリのモーターが

故障でリタイア。22日のブラジル・サンパウロでのレースでは試合前日にま

たしてもモーターがトラブル。前日の順位がスタートの順番を決めるので、レ

ースは9台目でスタート。一時は総合点で年間首位に立った彼でしたが、モー

ターのトラブルに見舞われ首位奪還はほとんど絶望的の中のレースでした。こ

のレースでは4位まで追い上げ、年間2位の成績で今シーズンを終了。1位は

ルノーチームのアロンゾ。

 

シューマッハーの消えたF1は当分面白くないかも、というのがニュースのコ

メントでした。

 

私のメールマガジンにも当分F1の事は登場しない気がいたします。

 

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放送料金 携帯とPC 

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NHKの受信料のようにドイツでも放送料金制度があります。この料金はテレ

ビ、ラジオの受信器具を持っていると支払い義務が生じます。今度は携帯とイ

ンターネットに接続されているPCにもその義務を拡張したいという申請が出

されました。2007年からの実施は回避されましたが、2008年から実施

されるかどうかはこれからの検討となるようです。実施されると5ユーロくら

いの追加がくるようです。

 

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ドイツ兵の不祥事

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アフガニスタンに派遣されたドイツ軍兵士が2003年に人間の頭蓋骨をもて

あそんだ写真が問題となっています。現在2名の兵士が除隊処分になっており、

まだ調査が進められている模様です。ドイツ防衛省では人間の骨を持って写真

を撮ったりする事は人道的にあってはならない事。この事でドイツ兵がテロの

標的になったりする可能性もある。数人の兵士の為に軍全体の評価が落ちない

ようにので厳重に調査を進め対処したい。とコメントを出しております。

 

そしてその後にドイツ軍の海外派兵は慎重にする必要がある。ボズニアからの

軍の撤退を防衛省は検討中。

 

というのは大体のドイツのニュースですが、私にはドイツのマスコミのヒステ

リーに移りっています。キリスト教的な平常時の考えでは確かにそういう事に

なるのかもしれませんが、戦争している国で、人骨がごろごろ転がっている場

所でそれを撮影し、他意は兵士には無いと私は考えます。確かに任務中に観光

気分でそのような写真を撮る事の不謹慎さは否めないかもしれません。しかし、

そんな事を言い出したら、ローマには骸骨寺というものがあり、頭骸骨を集め

た寺を観光用に開放していますし、キリシタンが隠れ家とした、元は墓場であ

るカタコンベなどはどういう扱いになるのだろうと考え込んでしまいます。

 

アフガニスタンの国民がこの問題をどう見るか、と世に問うのであればまた話

は変わってきますが、彼らにとってはその辺に転がっている骨よりもNATO

軍の投下する爆弾で民間人が今尚死んでいく現状を何とかして欲しいと思って

いるに違いないのでは、と私は思います。

  


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