注意:
ここ数年、イングリッシュ・ホルン(コールアングレ)の普及が目覚ましく、多くの一般の団体や中学、高校の吹奏楽部で使われております。その原因は、イングリッシュ・ホルン(以下E.H.)の入った曲の演奏が多くなったためです。
E.H.の扱いはオーボエと同じですが、リードは多少異なります。今回はアンケートからのご要望によりE.H.のリードについて説明します。
まず、市販のリードは以下の寸法になっています。リード作りの参考にしてください。
完成リード データ (単位mm)
JDR (えんじ) 全長 :58.0 先端幅 : 8.5 根元幅 : 5.4 スクレープ:U (14.0) ケーン材料:グロタン舟型 チューブ :ロレー |
JDRC (深緑) 全長 :55.0 先端幅 : 8.5 根元幅 : 5.3 スクレープ:U (14.0) ケーン材料:ロレー舟型 チューブ :グロタン |
JDRW (ピンク) 全長 :57.0 先端幅 : 8.5 根元幅 : 5.3 スクレープ:U (14.0) ケーン材料:グロタン舟型 チューブ :オルガ |
本橋注:原紙には上表中にそれぞれリードの画像がありますが、重要な位置づけでは無いと思われますので本ページではファイルを軽くする為に省略いたします。特に他意はありません。
オーボエとE.H.のリードの違い
*リードの長さ
完成リードの長さは、オーボエほど重要ではありません。楽器や吹き方、またリードの幅や開きの大きさでも変わりますが、だいたい57mmを中心に55〜58mmが一般的です。
*ケーンの幅
幅は8〜9mmぐらいです。もちろん幅が広いと音程は低くなり楽なリードになります。
*ケーンメーカー
E.H.専門のプロ奏者が日本にはいないせいかオーボエのようにこだわる方は少ないようです。
*チューブ
プロ演奏家を含め日本で使用されている楽器のほとんどがフランス製品なのでチューブもフランスのチューブが良いでしょう。その他の国の楽器でフランスチューブを使用しても問題はありません。ただし、ドイツ製のボーカルとの相性はよくないようです。
*ボーカル
一部のドイツの楽器以外は、ほとんどの方がロレーのボーカルを使用しています。また、アメリカや日本のプロ奏者はラウビンのボーカルを使用していますが、高価であることと入手が困難なので一般的ではありません。
*スクレープ
削っている長さや形状はオーボエより長く形状も緩やかになります。スクレープの長さはショートの場合13〜16mmが多くロングスクレープは20mm以上が一般的です。しかし、最近は短いスクレープは長く、長いスクレープは短くなる傾向にあり、さほど削る長さは変わらなくなってきました。また、スクレープの段差はオーボエのようにはっきり付けると鳴りにくくなるようです。
*振動
光にかざして薄い部分と濃い部分の差がオーボエほど大きくならないように注意が必要です。特にハートの部分やサイドを残し過ぎると振動しないリードになります。削り方は、バスーンのリードが参考になります。
削り方
図1
糸の巻き方もオーボエと変わりませんが、巻く全長を59〜61mmにします。これはチューブの先端の太さによって変わりますが、グロタン又はロレーのチューブとケーンの場合は約60mmが基本です。
E.H.のチューブは持ちにくいのでマンドレルか、先を細くした割り箸等を利用して持ちやすくします。
糸をマニキュア等で固定した後に0.4mmのワイヤーを巻きます。
図2
先端の折り目の部分を削って開きが大きくならないようにします。
図3
全長60mmで巻いた場合は先端から約16mmあたりからW字形に先端に向かって削ります。
図4
先端を全長が58mmになるようにカットし、プラークを挟んで先端を薄く削ります。削る長さは、オーボエよりも長めに緩やかにします。はっきりとした段差を付けないことが大事です。段差を付ける場合は舟型ケーンの厚みを特に薄くする必要があります。
図5
先端を57mmにカットしてWのスクレープをU字になるように削り整えます。
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