5)リードの作り方−5(JDR NEWS 1993/06月)

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オーボエリードの作り方


完成リード及び自作リードの手直し

 オーボエのリードは水分(湿度)によって変化します。使っているうちに鳴りにくくなったり、硬い音色に変化するのは、湿気によるリードの変化が一番顕著に現れます。「昨日は調子がよかったのに今日は鳴らない」といった経験をしたことはありませんか?これは水分が原因しています。リードは晴れた日には重くなります。
 ケーンは水を含むと丸くなる性質を持っています。リードを長時間水に漬けたままにしておくとリードの開きは大きくなりケーン全体も丸くなります。そうするとリードの張りが強くなりさらにリード自体のピッチも低くなるためによくないリードになってしまいます。

 リードの手直し方法を以下に分けて説明しています。数字の小さい項目から優先して調整してください。



1.工具を使用しない調整

 
  リードの先端の開き調整

リードをよく湿らせてからじわじわとケーンの中央部分を押さえてリードの開きを極端に小さくします。特にケーンの中央部分を平らにします。この部分が丸くなるとリードの反応が鈍くなり抵抗感が増えます。十分平たくなったら、サイドの先端に近い側を押さえて好みの開きに調節します。









  上下のケーンのズレ調整

リードをよく湿らせてからケーンの根元と糸の境を中心に持って、リードの開きが大きくなるようにケーンのサイドを力を加減しながら押さえます。その状態でずれている方向と反対に力を加えて補正します。
この作業は慣れが必要ですのでいらないリードを使って練習してください。

  ワイヤーの調整
 
ワイヤーを使用しているリードは、そのワイヤーを通常の位置より先端側にずらして使うと古いリードはいくらか長持ちさせることが出来ます。


2.身近にある道具を使った調整

  髪の毛を使った調整(リードの内側)

ほとんどの人は初耳だと思いますが、有効な方法です。
(本来は弦楽器の弓に使っている馬の毛がベストです)
まず、リードを良く湿らせてから髪の毛をU字に曲げて持ち、リードの先端から注意して入れます。なるべく奥の方に入れてからケーンの開きを無くすように押さえた状態で髪の毛を引き抜きます。
そうするとケーンの中がきれいになるだけでなくケーンの裏側の表面が滑らかになりますのでリードの振動がよくなります。
  

  

  カッターを使った調整(リードの表面)  

リードは長く使用するとスクレープの表面が汚れてゴミや油が付着します。 この汚れはカッターの刃を直角に立てて、こするような気持ちで取り除きます。

  マニキュアを使った調整(リードの息漏れ)
   (本橋注:解説図は無し)
 
リードの糸やケーンの隙間からの息漏れはリードの性能が悪くなります。マニキュアはこの隙間を埋めるのに適していて、ケーンの隙間に塗っても問題ありません。(リードの先の部分の息漏れには適しません)


 3.耐水ペーパーを使った調整   

  リードの先端(800〜1000番) 

リードの先端は発音や音色に大きく関わっています。発音しにくいリードや重いリード、また音色を明るくしたい場合は図のように耐水ペーパーでこすってください。








  リードの合わせ目(800〜1000番)
  
この調整方法は上記の方法でもリードが軽くならないとか開きが収まらない場合だけにしてください。まず、リードのサイドを押さえてリードの開きを最大にしながら耐水ペーパーをケーンの間に挟み込み、できるだけ根元まで入れます。
それから抜き取ります。注意することは片面だけ耐水ペーパーでサイドの角が取れる程度にすることです。やりすぎると息漏れが発生します。



  チューブの底の修正(400番)

この調整は特殊な方法です。チューブの底の部分はメーカーによって角がしっかり出ている場合とそうでないチューブがあります。この角が出ていると音色は暗くなり、角が取れていると明るくなります。
方法は、角を出す場合は平面に耐水ペーパーを置きリードを回しながらこすります。角をとる場合は耐水ペーパーを細く丸くして角に対して60度位の角度でなめるようにこすります。





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