12)リードの作り方−12(JDR NEWS 1994/12月)

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リード工具について


キャリパー

キャリパーはケーンの厚みを計るのに使用し良いリードを作るには欠かせません。キャリパーにはハンドタイプと完成リードも計れるタイプがあります。

ハンドタイプは0.05mm刻みまで計れます。オーボエに使用するケーンの厚さは、S(ソフト)0.55〜0.58、M(ミディアム)0.58〜0.60、H(ハード)0.60〜0.62に分かれますが、その差は最大で0.7mmしかありません。このわずかな差がリード作りに大きく影響するので良いリードを作るのに必要な道具です。

バスーンの場合は微妙なサイズは影響しませんが、筒にあたる部分や根元、先端、中央等いろいろな個所の厚さを計っておく必要があります。リード作りはケーンのサイズを計ることが成功率を高めるコツです。完成リード用キャリパーはその名の通り完成リード用で、0.01mmまで計測出来ます。良いリードの厚さを記録しておくことによって性能の均一なリードをコンスタントに作ることができます。


マンドレル(オーボエ)

マンドレルはチューブの内径を計ったり、形状の修正に使用するだけでなく糸を巻く際のチューブの固定にもよく使われます。
また、ダモーレやE.H.のリードを削るときには、マンドレルを使ってリードを持ちやすくします。マンドレルはチューブのメーカーや種類に合わせて使用します。

本橋注:原文には、下表の右側にチューブとマンドレルの先端の図が掲載されていますが、イラスト的な扱いと思われる為、本ページでは省略致します。特に他意はありません。
マンドレル チューブ
(メーカーによってはチューブの
先端から出るように設計されています)
JDR
JDR(クロッファー)
ロレー
ロレーM
ロレーdm
MCW
ピゾニー
リーガー

ロレー(ダモーレ)
ロレー(E.H.)
ピゾニー(E.H.)

グロタン、リグータ、オルガ、リゴティ
クロッファー、クロッファーモデル
ロレー、シエラ、ラウビン、ピゾニーDX、リゴティ
ロレーM、リゴティ、ジョーンズ、パトリコラ
ロレーdm
シエラ、CA
ピゾニー、ピゾニーDX、パトリコラ
ジークラー、クロッファーモデル
  
フランス製チューブ全般
フランス製チューブ全般
イタリア製チューブ全般



マンドレル(バスーン)
本橋注:本ページの趣旨より、この項目は省略致します。

リーマー(バスーンのみ)
本橋注:本ページの趣旨より、この項目は省略致します。


ペンチ

オーボエはワイヤーを取りつける時しか使用しませんが、バスーンは筒の部分を整えたりワイヤーによる開き調節等にも使用します。
ワイヤーの巻き方:
ワイヤーをきれいに巻くコツは「ひっぱりながらねじる」ことです。それにより、均一でたるみのない巻き方になります。

本橋注:原文では、ペンチに関しての図が2つ掲載されておりますが、若干分かりにくい為、本ページでは省略致します。


その他の工具


スクレーパー

スクレーパーはケーンの裏側をきれいに整えたり、ガウジングの寸法を好みに替えたりするのに使用します。
代用品として耐水ペーパーも使われていますが、スクレーパーの方が仕上がりがきれいで正確に作業を行うことができます。
使用方法(裏側の表面をきれいに整える場合)
ケーンを裏側にして先端がナイフ状のスクレーパーは直角に、先端のバリでひっかくタイプは少し寝かせて使用します。
使用方法(好みの寸法にしたい場合)
ケーンの丸みに近い形状の板を作ります。適当な大きさの木を彫刻刀で丸く削り、スクレーパーで仕上げます。この台の上にケーンを置いてスクレープします。いくつか大小の丸みを作っておけば、サイドや中央を重点的に削れるのでガウジングマシーンを調節しなくても好みのケーンに仕上げることができます。


レギュレーター(オーボエ)

舟型ケーンをチューブに巻き付ける時に、ケーンがずれないように押さえる筒状の金属です。レギュレーターを使わない場合は糸やワイヤー、輪ゴム等でケーンを固定します。使い方は簡単で、舟型ケーンの上下がピッタリ合わさるように折り曲げて、そのまま折り目からレギュレーターを通します。
ケーンが乾燥したままだと割れる危険性が高くなります。レギュレーターの位置は好みで使いやすいところで止めて下さい。





耐水ペーパー

オーボエもバスーンもケーンの加工にとても役に立つのが耐水ペーパーです。番号は荒いペーパーで#400か、600番、細かいペーパーだと#800か1000番を使用します。
使用する用途はケーンのけば取りや表面の仕上げ、完成リードの先端処理や幅を狭くする等いろいろと使えますので必需品です。






ゲージ(ものさし)

リードの寸法は重要でわずか1mmの違いがリードの性能に大きく係わってきます。
10cmで1mm以上誤差があるゲージもありますので注意が必要です。
ゲージには等級があって1級、2級、等級外とあります。その他に文房具の規格もありますので、ご自分の使用しているゲージを1級のゲージと比べてみてください。


リード材料について


糸(オーボエ用)

オーボエの糸を選ぶ基準は材質と太さ、色で決めます。材質は主にシルク(絹)糸とナイロン糸があります。天然素材であるシルクは音の伝達を妨げないので響きが損なわれません。ただし糸が伸びないのでしっかりと巻かないと隙間が出来ます。ナイロン糸はリードの振動を止めますが、伸びますのであまり力を入れなくてもしっかり巻き付けることができます。
太さは市販の糸に近い太さが無難です。細いと手が痛くなり、巻き数も増えてしまいます。逆に太いと糸と糸の間の隙間が大きくなります。
色はさほど関係があるようには思えませんが、原色に近い糸ほど僅かにクリアになります。これは複数の染料の組み合わせや、乾燥工程時間等が原因のようです。

ワイヤー(オーボエ用)

オーボエリードに使用するワイヤーは「0.3」「0.35」「0.4mm」の3種類があります。使い方は糸の端から3〜5mmのところに2重に巻き付けます。
ワイヤーの太さの基準は0.3mmですが、リードの開きやずれをしっかりと固定したい場合や薄くなったリードに抵抗感を持たせる場合は太いワイヤーを使用します。
オーボエダモーレのリードは、0.3〜0.35mmを使用します。
イングリッシュ・ホルンやバスオーボエは0.4mmを使用します。

糸(バスーン用)、ワイヤー(バスーン用)
本橋注:本ページの趣旨より、これらの項目は省略致します。

フィッシュスキン(オーボエ)

フィッシュスキンは2枚に合わさったオーボエリードの隙間からの息漏れを防ぐ働きをし、リードの振動を極力妨げないよう薄い膜で出来ています。
リードラップはある程度振動を押さえてしまいますが、上下のリードのズレや安定した開きは維持できます。

マニキュア

糸の結び目がほつれたりずれたりしないように、マニキュアやラッカーで糸や糸玉を固定します。マニキュアはさほど染み込みませんが、ラッカーは薄め過ぎるとケーンの中まで染み込みますので注意してください。塗料をたくさん塗ると重量が加算され糸の間の隙間も少なくなりますのでリードが重くなります。


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