47)メンテナンス−7(JDR NEWS 1992/10月)

注意:


部品交換の時期の見分け方について


楽器を長年使用しているとコルクやタンポなどの交換が必要になってきます。楽器を吹いていて「おかしいな」と感じた場合はすぐに修理をしなければなりませんが、それ以外でも使用頻度によって交換の時期は違います。お求めになってから1年後、3年後、5年後に調整や修理に出すのが一般的です。新品の状態から7〜8年以上経過したらオーバーホールが必要です。

楽器の部品を交換する時期は、専門の修理者でないと分かりにくいものですが、ある程度の部品交換は見分けることができます。以下にしたがって自分の楽器をチェックしてみましょう。

タンポ交換

コルクタンポ(OB&FG)

コルクタンポは通常10年位は耐久があります。ただしオーボエのオクターブキーや水気をよく含む場所にある下管のFキーやFレゾナンスキーのコルクタンポは、耐久性が著しく悪くなります。
交換の時期の見分け方はコルクが深くつぶれている場合や色が薄茶色から黒っぽい茶色に変色している場合は、交換の時期です。








スキンタンポ(OB)

スキンタンポはコルクタンポに比べ耐用年数は短くなります。特に水気に弱く、水分を含んだまま放置すると数日でだめになります。交換は以下のような点を目安にしてください。


注意.
タンポが茶色に変色している場合は、ボディからしみでた染料のためで堅くなっていなければ問題はありません。
早めに交換する必要のあるタンポは上管のmidCタンポ、G#タンポ、Fタンポ、フォークFタンポ、E♭タンポ等が上げられます。



皮タンポ(FG)
本橋注:本ページの趣旨より、FGに関するこの項目は省略致します。

スプリング交換
ニードルスプリング(針バネ)はフラットスプリング(板バネ)と比べると折れたり、弱くなることが多いのでニードルスプリングを中心にチェックするとよいでしょう。


折れている(途中で折れている)
折れている場合はすぐに分かりますが、スプリングの先がキーのスプリング掛けにかろうじて引っ掛かっている場合はよく見ないと見つけることはできません。
弱っている(力が足りない)
キーの動きが鈍い場合やふさがりきらない等のトラブルの多くは、スプリングが弱くなっているためです。バスーンの場合、全体的に息漏れを感じたらタンポが堅くなっているか、バネが弱っているかどちらかです。
錆びている
スプリングのサビはある程度避けられないものですが、スプリングの真っ直ぐなラインが見えなくなるほどサビてしまったら要注意です。
接触部分が細くなっている
針バネの場合、キーに引っ掛けている接点の部分が摩耗して細くなるとスプリングの力が加わらなくなって弱くなります。これはまもなく折れる兆候です。



キーコルク交換
オーボエやバスーンはいくつものキーが連動してタンポの開閉を行う構造になっています。そのためキーとキーの間に音消しのコルクやフェルトが使われています。これらが取れたり穴があいたりすると、金属音がします。またその他にもキーの高さ(タンポの開き)を調節するコルクもあります。このコルクが取れたりつぶれていると音程がおかしくなります。


キーとキーの間のコルク
主にキーを作動させて離したときに「カチャ」という音が入る場合はそのキーに関係するどこかの接点に問題があります。ただし、オイル切れも似たような音がしますのでオイルを差してからチェックしてください。
キーと調節ネジの間のコルク
ネジの下にあるコルク(皮)はネジの当たっている部分だけ穴が開きやすい特徴をもっています。その部分に金属の地肌が見えている場合は取り替えなければなりません。
キーとボディの間のコルク
このコルクは主に音程を調節する事が多く、音程のばらつきが出てきた場合は一度チェックしてください。



ネジ、シャフト交換
ネジやシャフトの交換は欠落していたり動かない等は分かり易いのですが、それ以外はなかなか交換の時期は分からないと思います。専門の修理者に依頼したほうが確実です。


調節ネジ、剣ネジの交換
ネジが錆びたり、ドライバーの溝がつぶれている場合は一刻も早く修理したほうがよいでしょう。とりあえず、サビ防止液かオイルを差してください。
剣ネジはなくなったり、ゆるんだりしていないかのチェックが必要です。もし簡単に回るようでしたらマニュキアを軽く塗ってください。
シャフトの交換
キーがぐらついてきたらシャフトの交換時期ですが、他の方法で直すこともできますので修理者に任せたほうがよいでしょう。
小ネジの交換
オーボエに限ってですが、右手のLowC#、E♭のレバーそして左手LowB、B♭のキーに付いている小さなネジは、だいたい3〜5年で交換が必要です。



ジョイントコルク(糸)交換
ジョイント部分がぐらついたり簡単に抜けたりする場合は、早めに修理する必要があります。とりあえずは適当な細い糸をコルクの上から巻き付けて直しましょう。オーボエもバスーンも昔は糸でしたので問題はありません。


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