45)メンテナンス−5(JDR NEWS 1992/07月)

注意:


汗が原因で発生するトラブルや環境が原因するトラブル


オーボエは管楽器の中で最もデリケートな楽器とされています。気温や湿度の大きな変化、またそれに伴う手の汗は、楽器の性能を悪くしトラブルの原因となりますので楽器を取り巻く環境には注意が必要です。

汗が原因するトラブル


汗によるサビを防ぐ方法

オーボエのスプリングやネジ、シャフトは鉄で出来ています。そのため手の汗や湿度の高い所に長時間置くとサビが発生します。
部品のサビはキーの動きを止め、演奏に支障を来します。
手の汗から楽器を守るには、以下の3つが考えられます。

*汗をかかないようにする
*汗が楽器に付かないようにする
*楽器のメンテナンスを頻繁に行う


*汗をかかないようにするには

楽器を吹く環境(室内の気温、湿度)や服装を工夫したり、楽器にさわる前に手を洗うことはもちろん汗をかいたらタオルでよく拭き取らなければなりません。
塩分の濃い汗をかく方は、楽器にさわる前に手を洗い中性のハンドクリームを手に塗り込み、余分なクリームをティッシュで拭き取ってから楽器を持つようにします。最近はべとつかない水溶性の物もでています。



*汗が楽器に付かないようにするには

楽器を必要以上に触らないことが一番です。また楽器の持ち方でトラブルは避ける事もできます。今まで持ち込まれた修理でよくサビている個所は図の部分です。
これは、無意識の内にいつも図の部分を持っているのだと考えられます。また同じ個所を長時間握るように持っているとその部分はサビる可能性が高くなります。
座って演奏する場合、楽器を吹かない時はひざの上に置いてキーを触らないようにします。



*楽器のメンテナンスを頻繁に行う

楽器を吹いていないときにはクロスでキーを拭いたり管の中を掃除したりして楽器をきれいな状態に保つことがだいじです。





環境が原因するトラブル


人間にとって練習に最適な環境は楽器にとっては最悪

人は常に100Wの電球並みの熱を放射しています。それが無理な呼吸や運動、プレッシャー等でさらに熱くなります。そのため外部から冷やさなければなりません。
しかし同じように楽器を冷やしますと内側は、息の温度で高くなっているのに表面は冷たいとボディがそのギャップに耐えられなくなります。そのためワレが生じたりキー調整が狂ってしまいます。


冷房よりは除湿が安全で効果的!

楽器にとって必要以上の冷房は良くありません。それよりは湿度を取ったほうが楽器には安全ですし、湿度を低くすると3〜4度温度が下がったように感じます。



冷風が直接当たる場所での演奏は管体ワレの一番の原因

楽器は風が直接当たることを一番嫌います。環境を変えられない場所での練習や演奏はなるべく風が当たらないような方法を取ってください。


楽器の保管について

演奏直後にケースにしまうと、ケース内は通気がないために湿気が逃げないのでカビやサビを引き起こす原因になります。
湿気の多い時や気温の高い季節は安全な場所でケースを開けた状態で数時間放置すると良いでしょう。




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