バックナンバー:90 2005/12/1


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

ドイツは先週金曜日から土曜日の朝にかけて雪が降りました。ミュンスターと

いうノルトラインウェストファーレンン州の町では高圧線のマストが折れ、部

分的に昨日まで停電状態が続きました。電気が止まると寒いのに暖房装置も働

きません。テレビもつかないのでニュースも入りません。電話もISDNの電

話だったりすると、これまた繋がりません。ラジオはトランジスタ式、携帯も

電池が持つまで、インターネットはもちろんだめ!寒いし電気はつかなくて暗

い、という状態だったそうです。

 

電気が来てくれないと本当に大変な状態に陥ってしまいますね。ミュンスター

より北東にあるブレーマーハーフェンですが、距離にすると200キロも離れ

ていません。金曜の晩はアウトバーンは走れなくなり渋滞状態。電車は不通。

夜、目的地までつけない場合はドイツの国鉄、ブンデスバーンは宿泊代、或い

はタクシー代を出してくれます。その為に近郊のタクシーは出払ってしまい、

別の町でタクシーに乗りたくても捕まらない。運良く?ブンデスバーンが支払

ってくれるタクシーに乗った人もアウトバーンで徹夜だったとか・・・。

 

ドイツは1回目のアドベントでした。長くこのメールマガジンをお取りの方は

既に御存知のことですが、クリスマス前の4回の日曜日をアドベントと申しま

す。1回目のアドベントが先日で、次の日曜日が2回目。4回アドベントを迎

えクリスマスがやってまいります。本日からクリスマスカレンダーが飾られ、

主に子供たちが1日1日、24個ある窓を開いてクリスマスが近づいてくるの

を楽しみにしています。ドイツのクリスマスに関しては昨年までのクリスマス

あたりのバックナンバーをご覧ください。

 

 

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■ ドイツ連邦議会選挙 その後 内閣発足

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9月18日に行われたドイツでの連邦議会選挙の結果が出ました。日本でも報道

があったと思いますが、日本の小泉政権が圧勝したのと比べ、ドイツは非常に

ややっこしい事になっています。

 

すったもんだでがたついていたドイツの内閣ですが、ようやく11月24日に

国会で初の女性首相メルケルが承認され、新内閣が発足しました。

 

新内閣の政策骨組みは赤字減らしです。国の支出を減らし、税収を増やす方針

に変わりはなく、所得税の19パーセントへの値上げは2007年に実施とな

りました。高額所得税も実施される模様で、この内閣の政策による勝者はなく、

全ての人の手取りが少なくなってしまいます。この締め付け政策によりキャピ

タルの外国への逃避が食い止められるかどうか、が政策の成功への焦点となり

そうです。

 

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■ 肉に御用心

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ドイツのヴェストファーレン州で食べられない肉が市場に出回っていた事件が

発覚しました。ほぼ腐った肉を冷凍にして安く売っていたという事件です。こ

れは抜き打ち検査で発覚しましたが、他にもこのような悪質業者がいる可能性

が強く、どこの肉かはっきり分からない物には注意が必要です。スーパーより

肉屋の肉の方が安心かもしれません。

 

 

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■ メール詐欺

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ドイツでのお話ですが、警視庁犯罪課からの偽メールで、ビールスをばら撒い

ている事件が発生しています。実は私も受け取ったので、検索して警視庁犯罪

課のホームページを開いてみました。ありますね。やはり!

http://www.bka.de/pressemitteilungen/2005/pm211105.html

 

メールの内容は、あなたのコンピューターには違法にダウンロードのファイル

があり、摘発する、というものです。

 

この種のメールを受け取った場合は、添付ファイルを開かず、直ちに削除しビ

ールスプログラムでコンピューターを検査するように、との事です。

 

このメールの発信はBAK(Bundes Kriminal Amt)とな

っております。

 

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■ オーストリア スイス その3 (サンクト・アントン、ヴェルデンべルク)

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途中、アールベルク地方、有名なスキー場のサンクト・アントンに立ち寄りま

した。雪の無いサンクト・アントンは初めてです。町の中はシーズンに向けて

ホテルの大改装。あとはほとんど観光客のいないがらんとした村でした。とこ

ろがそこへ日本人の高校生らしき団体が先生の引率で現れたのには驚きました。

なんで、こんな時期に・・・・・。

 

サンクト・アントンのスタート部分は確か赤コースだったと思います。二番目

の娘がスキー学校に入り、最後の日のテストで銀メダルを獲得したコースです。

きっと彼女は幼稚園児だったような気がします。1週間コースのスキー教室の

最終日にはクラス別に大会が行われます。初心者だった彼女の入ったスキー教

室でのテスト大会は、だいたいのコースを何回か勝手にボーゲンで曲がりなが

ら滑り降りれば良いだけの物ですが、たくさんの親が観戦する中、マイクでの

実況放送がゲレンデ中に流れて、手に汗握る大会でした。そんな思い出を空想

しながら雪の無いそのコースを眺めていましたが、この斜面、以外に急なので

す。ふーむ!・・・・。

 

この村の骨董屋でおもしろい物を見つけました。1914年発行のオーストリ

アクローネのお札です。何がおもしろいかと申しますと、このお札の片方はド

イツ語、反対側はハンガリー語で印刷されているのです。当時、ハプスブルク

の王国はハンガリーも支配していました。お姫様のジジはハンガリーが大好き

だったそうです。そんな当時のお札を買い込みました。本物か偽者の判断はつ

きません。適正価値も分かりませんが、偽者としても、当時のハプスブルクの

紙幣がこのような物であったという勉強にはなります。

 

次の寄り道はスイスの世界一小さい都市、ヴェルデンべルクです。

http://www.werdenberg.ch/Region/Geschichte/Staedchen

http://www.grabs.ch/Wissenswertes/KulturUndFreizeit/SchlossUndWerdenberg/Default.asp

http://www.musashi.jp/persons/dokupubl/foto_werdenberg.html

ドイツの自動車クラブ、ADACによると、15世紀から18世紀のゆがんだ

木と石作りの建物が立ち並び、映画の中に入ったような気分になる。ただし、

非常に発見しにくく行きにくい、とありました。

 

本当に、オーストリアの国境なのか、リヒテンシュタインの国境なのか、スイ

スの国境なのか分からないまま、1箇所のパスポート検問を通過。いつしかス

イスに入っているらしく、兎に角ブックスという町を目指して少し走る。ほと

んど国境の町である。目的地Werdenburgはお隣の町Buchsの直

ぐ隣に面しています。観光地ならもっと分かりやすく表示していても良さそう

なものだ、と家内と話しながら2回も道を尋ねながら車を進めていました。

 

「お〜〜〜、ここだ」

 

家内「どこよ?」

 

「そこそこ、池の向こう側」

 

家内「・・・・・」(しばらく探している)

 

そんな場所なのです。しかし美しいところです。スイスの秘境、訪れる人も少

ないブックス・ヴェルデンべルクは半日もかければ充分観光ができてしまう城

下町です。(インターネットで覗いてみるとブックスの町には何人もの方々が

鉄道の旅をなさっています。きっと乗り換え駅なのでしょう。中にはブックス

の町にお泊りのようでしたが、このお隣の小さな都市の事に気がつかなかった、

実に惜しい方もいらっしゃいます。あまりに惜しいので勝手にリンクを張って

しましました。)

http://homepage2.nifty.com/ckitamura/aasuisusuki76.htm

 

さて、この都市ですが、34人の貴族と約90人の平民?が暮らしています。

町には医者もあり学校もあり、市庁舎あり、幼稚園あり、と都市の形態は一応

整っているらしいです。

 

昔は楽隊もあったようでSchlangenmuseum(蛇の博物館)は中

世の生活を紹介している一軒家ですが、その中にバロック・クラリネットも展

示してありました。スイスの時計、刺繍、などの展示もあります。

 

この知られざる中世の都市はスイスというよりオーストリアの隣の地方アール

ベルクとの関係が深かったようです。ハプスブルクとも姻戚関係があり、政略

結婚で生き残ってきた都市ということです。

 

きっと山に囲まれたこのあたりは暖かなのでしょうか?まだバラなどの夏の花

が咲いていたのが印象的でした。

 

この城下町の一番下にあるホテル(Gasthof Roessli)のレス

トランでスープ(Rieslingsuppe)を飲み、簡単な昼食を済ませ

て、今回最終目的地のチューリッヒへ。

(次号へ続く)

 

 

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■ 冬用のタイヤ       

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ドイツの法律では、今のところ冬用のタイヤ(Winter Reifen)

は義務付けられていません。ただし、保険の判断は変わってくる可能性がある

そうです。事故を起こした場合、気候に合った運転をしていなかったという理

由で、(タイヤの選択を怠っていたとして、)損害が全額下りないケースが出て

いるそうです。ドイツで車を所持していらっしゃる方、そろそろタイヤの代え

時かもしれません。

 

 

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■ 質問コーナー「2点Aが下がってしまう」(その1)

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読者のオーボエ指導者の方からの御質問です。御質問内容は次の通りです。私

なりに考えたことを何回かに分けて御回答申し上げます。この文章をお読みに

なって御意見のある方、疑問に思われる方、どうぞメールを頂きますようお願

い申し上げます。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

2点Aが下がってしまう生徒をどう指導したらよいかということです。私自身

は、下の付け根をやや上げたり、息の角度を変えたり、腹筋の支えを強くした

りと行き当たりばったりで何とか合わせています。お忙しいことと思いますの

で、お時間ができた時で結構です。教えていただけますでしょうか?

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

Aに関しては、まず、本当にAが低いのかどうかを疑ってみることが重要かと

思います。

 

つまり、EとかFとかGの中音域から上に上がる場合に、中音域が高いとAが

上がりきらず低く聞こえる場合があります。オーケストラでも、ファゴットあ

たりの低音和音で高めに吹かれると、オーボエは正しくても相対的に低くされ

てしまいます。そういう状況の場合は、Aはいじらずに中音域や周りの環境を

治すのが良い治療法です。チューナーで根気欲く測定して、A以外の音に異常

がないか、本当にAの音程が悪いのかを判断してください。

 

次に明らかに本人の吹き方でAが低い場合です。

 

リードも楽器もOKという前提です。リードも楽器もOKという前提というの

もそう簡単ではありません。使用しているチューブが楽器とその方の奏法にマ

ッチしているか、という問題も出てまいります。それではリードと楽器と奏者

が3拍子揃えば怖いもの無しか?というとそうでもありません。プロの私でも

このリードなら大丈夫!と自己暗示にかけて、神に祈るように演奏いたします

が、うまくいかないこともございます。100パーセント完璧な音程、という

のは難しいものです。ただ、傾向として、あるチューブを使用すると問題が多

い場合、逆に別のチューブを使用すると問題が出ない確率が高い場合がありま

す。リードを疑う場合には巻きつけているチューブも合わせてご検討いただく

ことは肝心かと思います。

(次号に続く)

 

 


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