バックナンバー:88 2005/11/1


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

秋たけなわのドイツです。天気が素晴らしく、先週末などはドイツ全国快晴。

日中気温はほぼ20度、と11月では信じられない天気が続いています。また、

先週末からドイツは冬時間に入りました。普段どおり起床すると1時間早起き

できます。それとも1時間多く寝ることができる。どちらも正解ですが、あな

たならどちらの解釈で生活されますか?

 

鳥インフルエンザがロシア、トルコ、ルーマニアで確認されています。渡り鳥

が南下してくる関係でドイツの鳥を檻に閉じ込める作戦が展開されています。

養鶏所の鶏を外に出すには特別許可が必要となるようです。鳥インフルエンザ

はその菌自体だけでは直接人体には影響は無いそうですが、他の菌と合併し、

別の菌になると薬が効かないそうで、死に至らしめる可能性があるそうです。

という事ですから、現在は何が何でも風邪を引かないようにすることが鳥イン

フルエンザへの対応策だそうです。

 

紅葉が進み、木の葉が舞い始めました。そろそろ庭の池の上にネットを張らな

いと・・・・・・。

 

 

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■ ドイツ連邦議会選挙結果 その後 定年年齢の引き伸ばし

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9月18日に行われたドイツでの連邦議会選挙後、シュローダー首相が降り、メル

ケル新女性首相が誕生したところまでは先回のメールマガジンでお知らせしま

した。

 

内閣の構成は決まったものの、なかなか内容が決まりません。

 

現在、方向性が出てきたものの中には、消費税の値上げ、不動産物件購入の特

別税制優遇措置の撤廃。定年年齢の引き伸ばしなどがあります。

 

現在、ドイツの定年は65歳です。それを67歳まで働くようにして、年金の

払い込み額を値上げしない、というのが今回の懸案です。全体に人間の寿命が

延びている中で、既にアメリカとスウェーデンは67歳定年の方向で検討が始

まっているそうです。

 

最終決定を見るのは2007年か2008年になるようです。

 

リュリュップ提案というのが前の政府で既にありました。それによりますと、

段階的に定年年齢を引き伸ばす、というものです。

 

2011年から開始され、1年に1ヶ月定年が引き伸ばされ、実際に67歳で

定年を迎える制度が確定するのは24年後の2035年となります。1946

年生まれの人は65歳より1ヶ月長く働く事に、1969年生まれの人からは

67歳で定年を迎えることになります。

 

メルケル首相はしかしながらこの提案には反対意思を表明しており、なかなか

新政府の大筋が決まりません。それに対し、消費税の16パーセントから18

パーセントへの引き上げは避けられない状況のようです。SPDはこの消費税

値上げには反対で、高額所得者に対しての税率を5,5パーセント上げることを

提案しています。

 

ドイツは3年続けて国家予算がEUの設定する赤字枠を超えており、今回は何

が何でも縮小することを目標に政府案を練っているのが現在の状況です。

 

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■ ヨーロッパの利子値上げ観測

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最近のアメリカの度重なる利子の値上げにより、ドル高傾向が続いていました

が、最近ヨーロッパもインフレの兆候が出てきており、次の中央銀行の利子値

上げ観測が高まり、ユーロが切り返しつつあります。

 

利子が上がってくると株式市場から債券市場へお金が流動していきます。株式

市場にとっては来年度の経済成長がどれくらい見込まれるか、というのが最大

の焦点で、利子が上がっても更なる成長が望めるのか(借金して設備投資など

が割高になってきて、流動効率が低下します)の判断次第で、全体のムードが

決まります。ヨーロッパの金融関係者は、日本企業はキャッシュの蓄えが多い、

ということで、日本株式市場への期待感があります。

 

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■ ブレーメン国立劇場 倒産回避

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ブレーメン国立劇場は急激な赤字が拡大し、430名の給料の支払いが停滞し

ています。

 

現在、組合側が解雇無しを条件に3年間に渡りボーナスカットに同意していま

す。ブレーメン州のカステンディーク文化大臣はどのようにこの事態に陥った

のか、状況を調査し責任者を追及する、と表明していますが、対策に関しては

まだ言及していません。ドイツの新聞などで、倒産が取りざたされ、ヨーロッ

パ各地からブレーメンの文化政策に非難の声が挙がっています。

 

劇場支配人クラウス・ピアヴォスによると現在の不足金額は470万ユーロ。

年末にブレーメン州からの補助金が2440万ユーロ下りても165万ユーロ

の赤字。毎年、約150万ユーロを口座から超過で引き落とし、つくろってい

たのが今回銀行側が貸し出しを渋った為に自体が表面化。

 

10月29日のラジオ・ブレーメンの報道によると、州は賃金カットはしない、

との発表がありました。

 

 

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■ オーストリア スイス その1 (シュトゥバイヤー・タール)

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芸術の秋にまとまって休暇が取れることはめったに無いのですが、10月16

日から21日まで5泊、オーストリア、スイスを旅しました。私の旅行記です

が4回に分けて掲載いたします。

 

目的はスキーなのですが、この時期にスキーができる場所というのはアルプス

といえども限られております。天気の状況も確認しないと吹雪いていると滑れ

ないので、2〜3日前に決断を下しました。

 

候補に挙がるスキー場は、オーストリアでは東から

トゥクサー・タール、

http://www.hintertux.com/home.html

http://www.hintertuxergletscher.at/

シュトゥバイヤー・タール、

http://www.stubai.at/

http://www.stubaier-gletscher.com/?l=de

ピッツ・タールの3つ。

http://www.pitztal.at/

http://www.pitztaler-gletscher.at/

スイスではツェルマットくらいでしょうか。どこも氷河があり、夏スキーので

きる場所です。

 

規模的にはトゥクサー・タールが一番大きいようで、次にシュトゥバイヤー・

タール、ピッツ・タール、ツェルマットと続くようです。これは夏スキーので

きるゲレンデの比較で、冬季、雪が積もった場合にはまったく違います。スイ

スのツェルマットはものすごく大きな雄大なゲレンデがあり、登山電車、ケー

ブルカー、リフトの設備も素晴らしいです。

 

今回は、以前に行ったことのあるピッツ・タールを外し、トゥクサー・タール

とシュトゥバイヤー・タールに絞って、寸前にホテルへメールを入れて、安め

の場所に決めました。

 

シュトゥバイヤー・タール、タールというのはドイツ語で谷の意味です。シュ

トゥバイの谷、シュトゥバイヤー・タールはインスブルックの南にあります。

冬季オリンピックが開かれた事があるインスブルック・スキー場は、このスキ

ー場です。

 

この谷にはスキー場がいくつかあり、インスブルックに一番近い部分がフルプ

メス(Fulpmes)。私がドイツに来た一番最初の春に、日本から来た親

友と2人でヨーロッパを旅しました。この時は私は免許を持っておらず、親友

が日本から持ってきた1ヶ月有効のユーレイルパスであちらこちらを旅しまし

た。割と長い距離を選んで、ホテル代を節約する為に夜行列車を多く使いまし

た。最初、私が住んでいた大学のあるデトモルトから夜行でイタリアへ行く途

中、朝早くインスブルックに着いたのです。次の夜行のローマ行きまで時間が

あったものですから、インフォメーションで尋ね、スキー場を教えてもらい、

駅前からバスで行ったスキー場がどうやらこのフルプメスであったようです。

 

どうやら、というのは、私は、まだドイツに来て半年、ヨーロッパの詳しい事

は何も知らず、下調べもろくにしないで行き当たりばったりでインスブルック

に来て、スキー場を紹介してもらい、2人ともスキー用のアノラックも無し、

普通のズボンでスキー場に向かい、道具は現地のスポーツショップで借り1日

中滑りました。2月で一応冬装束だったので、手袋もあり、そのままの格好で

OKだった分けですが、回りの方々に、我々のインスタントスキー装束がどう

映ったか・・・・・・? 後になって買い求めた絵葉書から、その時のスキー

場がフルプメスであったと判明したわけです。

 

この時の記憶があまり無いのが残念なのです。朝早く、荷物をコインロッカー

に放り込んで、バスに乗り込み、どこをどう走ったのかも行き先も分からずス

キー場に向かい、しっかりとしたスキーのいでたちをしていなかった為か風邪

を引き、スキーが終わってからシャワーも浴びず、ローマ行きの夜行列車に乗

り込み、寒かったので友人のセーターを借りて達磨になって寝たのを覚えてい

るくらいです。(次号に続く)

 

 

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■ 最近の演奏会から   

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少し前の事になってしまいましたが、イタリアのバロック楽器のアンサンブル

・ツェフィロ(Ensemblre Zefiro)を聞きました。

 

プログラムは、モーツアルト作曲、グランド・パルティータ、とハーモニー・

ミュージック。ハーモニーミュージックというのは現在のサウンド・トラック

とでも言えばよいのでしょうか? CDやラジオの無い時代にオペラの音楽を

聞きたい時、色々な楽器編成にアレンジして演奏いたします。この日はモーツ

アルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」、「フィガロの結婚」、「コシ・ファン・

トゥッティ」から、名場面を抜粋し、グランド・パルティータと同じ編成での

アレンジでした。

 

前半のグランド・パルティータは、当時、このように響いたのかな、と思いな

がら聞いていました。この曲はバセット・ホルンが必要なので、なかなかプロ

グラムに組む事ができない名曲です。先シーズン、ブレーマーハーフェンの歌

劇場で、何とこのグランド・パルティータをバレエの伴奏として行おう、とい

う提案がありました。バセット・ホルンが無いので、エキストラを必要とする

ので、経費がかかりすぎる、という理由でボツ。

 

現代楽器で演奏すると、ソロは、オーボエにしろクラリネットにしろ、下の和

音が厚いので、ピアノでもPとして演奏すると、伴奏に回っている人たちは音

量を落とすのにえらく苦労をしなければいけません。そのことを考慮して、大

きめなピアノで演奏すると、特にソロ・オーボエは体力的に大変です。

 

ところが、古楽器ですと条件がまるで違うようでした。兎に角、伴奏が柔らか

かったのが大変印象的で、こんな伴奏であればソロ・オーボエは非常楽に演奏

が楽にできます。ピアノをPとして演奏できることはフォルテへの幅も広がり

ます。そうすると全体的な表現力もアップします。

 

モーツアルトがクラリネットとバセット・ホルンを組み合わせ、ピストンの無

いホルン、バスーンを加え、全ての楽器を伴奏に回しても、素晴らしいピアノ

の柔らかいじゅうたんが出来上がることを知っていたのですね!

 

最近はどのソリスト、団体も来年のモーツアルト生誕250周年の為にCD録

音をした、或いはこれから計画している、と見えて、演奏会のプログラムには

既にモーツアルト、モーツアルト、モーツアルトです。この演奏会も録音が終

わったところなのでしょう。素晴らしい出来栄えで、楽しんで聴くことができ

ました。

 


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