バックナンバー:68 2004/11/15


読者の皆様、ご機嫌如何ですか?

 

11月11日にパリで死亡したパレスチネンザのアラファトは、祖国で葬式が

出せる状態ではないために12日エジプトのカイロで葬儀を行い、その後氏の

出身地ラマラへ運ばれ、埋葬されました。現在は後継者問題でもめているよう

です。

 

アラブの国々の平和は、アラファトに後継者がいないことから、新しい展開に

入る可能性がある一方、イスラム教の国々の教育内容が自爆テロを助長する為、

10年経っても良くなるどころか悪くなる可能性もあるそうです。それと比較

すると現在、経済の目である中国とインドの教育はすばらしく、これからの伸

びが期待できる、という専門家の見解がドイツのテレビで紹介されていました。

 

11月11日11時、って何のことかご存知ですか?

もし、知っている方がいらしたら、ドイツ通の方です。ケルン、デュッセルド

ルフを中心とするラインランド(ライン川流域の地方)がカーニバルの季節に

入る時間です。

 

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■ 元モスクワ・・・、元ボリショイ・・・、                             

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最近のドイツの音楽界の傾向として、ロシアからの人材がどんどん入ってきて

います。ブレーマーハーフェン歌劇場もご多分に漏れず、弦楽器に数人。イン

スペクター(楽譜、楽器係り)、バレエのシェフなどが活躍しています。

 

先日、隣町のオルデンブルクの歌劇場でベルディ作曲「運命の力」のエキスト

ラでオーボエを演奏してきました。そこでも、歌劇場の主役の歌手が病気で、

急遽、元ボリショイ歌劇場のソプラノ歌手が歌う、と紹介がありました。

 

東西の壁が崩壊し、ロシアから自由に西の諸国に出られるようになり、お金を

きっとロシアより多く稼げる西側の諸国にきっとどんどん音楽家、芸術家が流

れているようです。やはり名前だけのことはあって、皆さん、たいした技量で

す。でもロシアではきっと人材空白状態になっているでしょうね。

 

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■ 「台風トカゲ」!?                

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読者の方から、メールを頂き、台風の名前のつけ方を紹介しているホームペー

ジを教えていただきました。皆様もご興味があればどうぞご覧下さい。

http://www.mbc.co.jp/wthr/file/taifuunamae.htm

 

上記のホームページ以外にも、例えば グーグル http://www.google.co.jp

で、検索キーワード「台風 名前」と入力し検索ボタンをクリックすると、こ

の件に関するサイトリストを表示できるそうです。

ご参考までに・・・・・。

 

面白いページをご紹介いただきありがとうございます。こんな事、なかなか知

るチャンスがありませんでしたが、これで、一つ物知りになりました。

 

ドイツでは、天気予報で、高気圧のクリストフが低気圧のアンナに接近。とか

テレビでやっているのです。高気圧と低気圧という言葉を除いてしまったら、

いったい何の番組か分からないところです。

 

このドイツでの名前の付け方も適当なようで、時々、「どんな名前が良いか募

集いたします。」なんて、アナウンサーが言っていますから・・・・・・。

 

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■ ヨーロッパのドメイン                       

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ドイツは.de、オーストリアは.at、スイスは.ch、ドイツ語のインターネット・

アドレスの代表的なドメインです。最近出てきた中に、.info、.org、などがあ

りますが、今度は.euというのができました。

 

大きな企業は、そんなドメインが出るたびに登録するのでしょうか?

もしそうならば、一昔前にホームページアドレスを高く売れる時代がありまし

たが、まだその商売は続いていることになりますね。早い者勝ち!

 

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■ ドイツ国鉄の怪ーその1             

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私自身、あまり電車を利用することがありませんが、娘たちがドイツ国内で電

車を利用しだし、非常に不便な、そして理不尽な問題にしょっちゅうぶつかり

ます。

 

ドイツの国鉄、ドイッチェ・ブンデス・バーン、略してDBといいます。現在

まだ国の運営です。将来的に民営化させ企業としてスタートする事になってい

ます。今のところまだまだ経営赤字が大きく、なかなか上場させるまでの会社

になっていません。

 

ドイツだけでなくヨーロッパ全体にいえる事ですが、駅のプラットホームには

自由に出入りができ、改札口はありません。切符を買える窓口は少なく、行列

です。ですから、駅に行って、切符を買って、直ぐに電車に乗る、などという

のはまず不可能です。切符を買わないで、電車の中で買うことができますが、

割高になります。

 

短距離の乗車券は機械で買わせるようにしています。切符販売の窓口に行きま

すと、「ここでは、長距離だけしか扱っておりません。」と追い払われます。

その短距離の乗車券を購入する機械が、これまた非常にややっこしく、毎回難

儀いたします。ドイツ人ですら時間がかかるのですから、場合によってはその

機械の後ろには行列ができます。日本で、自動販売機で乗車券を購入するのに

30秒はかからないと思います。ドイツのこの機械、2分以上かかることは普

通です。やっとお金を払う段階までこぎつけても、今度は紙幣をなかなか受け

付けてくれない。紙幣に問題があるのではなく、機械に問題があります。同じ

紙幣を何回も出し入れしているうちに、やっと機械が読み取れる、という不良

品です。

 

例えば、ブレーメンからブレーマーハーフェンへ乗車券を買うのに、近距離で

ある、VBNと呼ばれる方法と、普通のDB、週末なら週末割引、などが考え

られます。この3つの方法で、値段はそれぞれ違うのです。そして、どの乗車

券が今回安いのか、いちいち検討する必要があります。

 

私がある週末の夜、ややっこしいので、駅のインフォメーションでどの乗車券

が一番安いのか尋ねました。親切なブロンドのお姉さんは、しばらく考えた末、

この3つの方法以外の夜間乗車券(19時以降有効)を教えてくれ、ご丁寧に

機械までついて来てくれて、本当に難しい自動販売機の押す場所も手伝ってく

れました。こんな事は大変稀なサービスです。夜間でお姉さんも暇だった事も

あると思いますが・・・・。これで、方法が4種類。もしあなたがバーンカー

ドなる割引のカードをお持ちなら、事態はもっと難解になってまいります。

 

さっさと駅に来て、切符を買って、電車に乗り込み、移動する。これが不可能

なのが現在のDBです。政治家、DB関係者は赤字解消、民営化を目指し、DB

総裁の首を4,5年に前据え換え、列車運行表、料金をたびたび改正。ガソリ

ン税を値上げし、車から鉄道への需要拡大を図ってもいっこうに効果がありま

せん。

 

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■ ベニスの歌劇場再開                 

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イタリア・ベニスの歌劇場ラ・フェニーチェが1996年1月29日に焼失し、

世界中から寄付金が集まり復興工事が続いていました。今月12日にロリン・

マゼールの指揮によりベルディのオペラ「トラビアータ」でまた幕を開けまし

た。客席にはベルギーのパオラ王妃、EUの首相パロディ、とその婦人、その

他にもイタリアの政治家の顔ぶれが揃い、厳重な警戒であったそうです。歌劇

場のオフィシャルホームページは

http://www.teatrolafenice.it/indexf.jsp

 

先回のメールマガジンでお知らせいたしましたが、マリア・カラスが「トラビ

アータ」でつけていたブローチも今月17日のジュネーブでのソズビーのオー

クションで競売にかかります。

 

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■ CD情報 アルブレヒト・マイヤーのニューリリース

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ベルリンフィルハーモニー交響楽団主席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤー

の最新CDが9月に発売されました。「モーツアルトの軌跡」と題するCDです。

http://www.jpc.de/jpcng/classic/detail/-/hnum/6231046/rk/classic/rsk/hitlist

 

大変お待たせいたしました。やっと我が家のCD鑑賞環境がまた整いました。

新しい機械(中古ですが)でじっくりこのCDを聞き、私なりの意見を書かし

て頂きます。

 

マイヤーのことはきっと皆さんご存知と思います。バンベルク交響楽団からベ

ルリンフィルハーモニー交響楽団に移籍し、ドイツ頂点のオーボエ奏者です。

趣味はボクシングで重量級。

 

そんな方のCDの感想を書く必要はまったく無いわけです。音楽的にもすばら

しいし、テクニックも完璧です。ですから批評のようなことを書く意思はござ

いません。ここで私がこのCDを聞いて考えたことは、彼はいったいどんな事

を考え、どんな音楽を狙っているのだろうか、そして、その為にはどのような

事を考え、どうしたらこのような音楽に近づけるのか?ということです。(も

しかすると彼は私が思っている事とまったく別のことを考えているかもしれま

せんが・・・・。)音楽評論家、或いはCDの録音状態などのオーディオ評論

家からの観点ではなく、一オーボエ奏者からの観点から考察してみました。

 

彼の演奏の大きな特徴は、非常に柔らかい音色、気負わない奏法、無理の無い

軽やかな表現にあります。CDを聞いていて、あまりにも柔らかい音色と音楽

に、聞き終わってから、いったい何を聞いたのか?と思うほど印象が薄い(失

礼!)感じです。ですから、彼の音楽を知ろうと思うと、注意して何度も聞か

ないと分からない、という一面もあります。

 

マイヤーの音の特徴は柔らかさ、ですが、それだけでなく幅の有る音色です。

彼の演奏は、まずそれに徹することにあるように思います。このことを第一に

考え、楽器も奏法も音楽もリードも、徹底的にそれにマッチさせていると思い

ます。

 

彼の趣味と合わせて考えてみると、KOパンチ、カウンターを狙わないで、ひ

たすらガードをしっかり固めて軽快なフットワークで動き回る。しかも音は重

量級、といった感じでしょうか。

 

では、実際にはどのようにして、このような演奏ができるのでしょうか?

唇の状態は? 息は? 指は? リードは? 楽器は?ということになります。

 

この5項目はばらばらには考えられません。全てが関連していて、そのうちの

1つでも狂っていると、他の部分も狂ってきます。

 

まず大事なことは全てにおいてスムーズであることです。

 

演奏するのに決して気張らない!

 

その為には、奏法が非常に楽でなければ達成できません。指の動きは必要最小

限で、力が抜けていること。このことは特に初心者の方に注意していただきた

いのです。指に力が入っているものを無理やりに動かそうとする事自体、さび

付いたギアーを無理に力まかせに動かすのと似ていて動きに困難をきたします。

しかし、この指の動きを可能にする為には条件があり、楽器のバネの調整がば

らばらであったり、キーの高さがばらばらであったりしたら、指を滑らかに動

かしてもきれいな音列を構成することができません。

 

息を楽器に入れる場合、スムーズであることを第1条件にしたならば、楽器の

音程調整も完璧でなければうまくいきません。一つの音程が、楽器の癖で高か

ったりすると、この音程調整を息で行うか、唇の閉め具合で行うか、あるいは

補助キーを使うか、の方法を用います。それはもちろん必要なことです。音程

が悪いまま、良い演奏はできませんから調整しなければいけませんが、そのよ

うな調整をしなくてもすめば、演奏は大変スムーズになります。息を楽器に吹

き込んでそのまま正確な音程と音量のバランスが取れる、それが楽器に要求さ

れます。

 

リードの影響も大きいです。リードによっては低音域はよく響くけれど、高音

域はやせる、とかC、Bがやたらに高くなるとか、症状は色々あると思います

が、バランスの悪いリードはスムーズな演奏をするためには適しません。

 

唇の状態がほぼ同じ柔らかさを保てるリード、というものがスムーズ演奏の条

件になります。発音もスムーズでなければ、発音の瞬間に体に力が入り、最初

からギクシャクしてしまいます。

 

リードはバランスの他に考えなければいけないのが、リードの厚さ、強さです。

 

もし、あなたが立派な太い音を出したいと思うのなら、リードを厚くする事に

なります。リード材を厚い状態にすれば音は立派かもしれませんが、吹きこな

すのに大変な体力が要ります。そして、リードの自由が効かないために演奏に

苦労することになります。

 

力強いトラックをえ選ぶか、もっと強力なブルドーザーを選ぶか、軽快なスポ

ーツカーを選ぶか、乗り心地の良い乗用車を選ぶかは、乗り心地よりも経済的

なディーゼル、或いはハイブリット・エンジン車を選ぶかは、あなたの選択に

なります。

 

マイヤーの選択は、力の強いエンジンでフットワークの良いF1、と言ったと

ころでしょうか?

 

まだこのCDをお聞きで無い方は、一度じっくり聞かれる事をお勧めいたしま

す。ご自分のオーボエの演奏はどういうタイプを目指しているのか一考する良

いチャンスになると思います。

 


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