バックナンバー:55 2004/03/15


皆さんこんにちは!

お元気でお過ごしでしょうか?

 

木曜日に起きたマドリッドでのテロ事件が、ドイツのニュースの中心です。現

在開催中のドイツ国会でも翌日黙祷が行われました。犯人はスペイン国内のバ

スク、とか、ビン・ラーデン率いるアルカイダとか、イランのフセインの残党

とか、いろいろ噂されていますが、まだ確かなことは分かっていないようです。

スペインはイラク戦争の時にはアメリカに非常に協力的でした。14日のスペイ

ンでの選挙で、アメリカに協力した政党へのダメージを狙っている事も充分考

えられます。

 

選挙といえば、ロシアでも14日に行われました。プーチンが権力を牛耳ってい

る事は皆様もご承知のとおりです。スペインもロシアもまだ結果は今の時点で

は出ておりません。

 

ブレーマーハーフェンの気候は少し穏やかになってきました。それでも気温は

まだ3度前後です。10度くらいになってくるとそろそろドイツ人たちが庭仕

事に動き出します。

 

14日にスキーワールドカップが終了しました。最終日スラローム男子では日本

人の佐々木選手が5位と検討していました。1位のフィンランドのパランダー選

手は1:49,67分、佐々木選手は1:50,25、その差約0.5秒です。このタイムを測る

機械もすごいですが、この二人の間にまだ3人の選手が存在するわけです。この

選手たちの実力の差とは、いったいどれくらいなのでしょうか?

 

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■ チャンピオン・リーグ       

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ヨーロッパのプロ・サッカーチームで競われるリーグ戦、チャンピオン・リー

グでドイツで残っていたチームは姿を消した。3月10日にマドリッドで行わ

れたバイエルン・ミュンヘン対リアル・マドリッドの試合は0−1でレアル・

マドリッドの勝ち。得点はフランス人のジダンによるシュート。バイエルン・

ミュンヘンは今年、ドイツのリーグ戦も現在1位のベアダー・ブレーメンに次

ぐ第2位でタイトル無し。監督のヒッツフェルトの責任問題が問われそうであ

る。同じく、もう1チーム残っていたVfB Stuttgartは同じく決勝リーグに残れ

なかったが、弱小シュトゥットガルトがヨーロッパの強豪相手に良くやった、

との評価が下されている。

 

現在8チームが残っており、3月24日からまた覇者をかけての激突が行われる。

その顔ぶれは

 

FC Chelsea、FC Porto、Olympique Lyon、Deportivo La Coruna、FC Arsenal、  

Real Madrid、AC Mailand、AS Monaco

 

5月5日、21日は準決勝。26日は決勝戦です。この日の試合の時間帯は歌

劇場、コンサートホール、プール、サウナ、アウトバーン等、はがら空きです。

 

結果と試合日程は

http://www2.onsport.t-online.de/dyn/c/08/49/67/849676.html

 

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■ ドイツの大統領選   

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現在、ドイツの大統領を各政党が選抜しています。選挙は政党が候補を立て、

国会で多数決を採ります。3月始め、CDU,CSUとFDPの野党連合がや

っと1人の候補を立てました。ホルスト・ケーラー、現在ドイツ連銀のボスで

す。それまで、CDUのショイプレが候補として最有力候補として上がってい

たのですが、FDPが拒否。3党が一致しないと過半数を超える可能性がなく

なる為に、政党色の無いケーラーに落ち着きました。首相見解は、野党は最高

の人選をしたわけでなく政党同志の妥協案で貧弱。

 

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■ ユーロ対ドル

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ヨーロッパ連銀は政治家の公定歩合引き下げ圧力を跳ね除け据え置きを決定。

これは予想された動きだそうである。

 

現在金利低水準の米ドルが売られユーロが強くなり、ドルで儲けている会社の

利益を圧迫している。経済を立て直したい政治家はユーロを弱くして輸出を増

やしたいところである。この圧力が大きかった為か1ユーロがほぼ1,30ド

ルしていたのが連銀の決定時期には1,20まで下がった。連銀が公定歩合を

動かさなかった為にまた米ドルが弱くなるかと思いきや、今度はアメリカの利

上げ観測が流れて、為替は動かず。翌日アメリカの雇用者数の増加が少なかっ

た為に、利上げ観測は無くなり、一気に1,24までユーロが上昇。

 

なんだかんだ理由をつけては上がったり下がったり忙しい事ではある。我々ユ

ーロで稼いでいる人間にはユーロが上がってくれる事は嬉しい事で、ヨーロッ

パの経済とは逆行している。

 

5月に、EU加盟国が増える事は前にお伝えしたが、今度はどんな理由で為替

がどっちに動くか見物である。EU全体の売り上げはもちろん増加するが、経

済の水準は落ちていく。為替にしても株価にしても、現在の動きより先を見越

す事が大事であるから、ユーロの行方はヨーロッパ経済の行方と見て間違いな

い。ところが、ユーロが強くなりドルが落ちれば、また輸出が減り経済が落ち

込む事になる。

 

要するに一方的に強くなったり弱くなったりするとひずみが生じ、修正される

ということであろうか?

 

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■ ビール会社の乗っ取り合戦 その2

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先回のメールマガジンでビール会社乗っ取り合戦でドイツ一のビール会社が誕

生するかも、というニュースを書きました。今度はベルギーのビール会社イン

ターブロイがブラジルのビール会社Bebidas das Américas(ブラジル語の発音

が分かりませんのでローマ字で書いておきます)を吸収合併し、世界一のビー

ル会社に!

 

インターブロイは今まで世界3位、Bebidas das Américasは5位にランクされ

ていました。 

 

ヨーロッパ製薬会社乗っ取り合戦はまだまだうわさが耐えません。スイスの会

社ノバティスは再度、アヴェンティス社かサノフィ・シンセーテーゼ社への吸

収合併を考えている模様。

 

ドイツ銀行はスイスのUBS銀行から、またアメリカのシティーグループから

それが消えたら今度はJ.P.モルガンからの吸収合併をうわさされている。

ヨーロッパの大企業同士の乗っ取り合戦はアメリカを含め世界的になっており、

いつ誰が何を仕掛けるかわかった物ではない。

 

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■ ドイツの音大入試

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私の長女が去年高校を卒業。ドイツはアビトゥアというギムナジウム(高校進

学コース)を卒業すると自動的に大学に入学できる資格がある。ところが音楽

大学はそのアビトゥアが通用しない。裏を返せば、アビトゥア無しでも音楽大

学を受験する事ができる。去年6月にアビトゥアを取った娘は半年間自主浪人

して、今年2月に入試。無事合格し4月から大学生となる。

 

ドイツの音大入試に必要な科目は、専門科目(例えばオーボエ)、副科ピアノ

にソルフェージュと調音、音楽理論である。日本で大学を出ている学生が留学

する場合は日本の大学で取得した単位を認めてもらえるので、たいていの場合

は本科だけ受ければ良い。ただし、ドイツ語の学力証明を提出する必要がある。

 

オーボエ課の受験を詳しくここで書ければよいのだけれど、残念ながら情報が

なく、ピアノ課について少し触れてみたい。彼女の受験した大学に受けに来た

ピアノの学生は300人。前のゼメスタでのベルリン音楽大学でのピアノ受験

者数は700人。大学に入学した人は数名。(ゼメスタ:ドイツの大学は1年

を半分に分けている。9月から始まる半期を冬セメスタ、4月から始まる半期

を夏ゼメスタと呼んでいる)

 

娘の受けた大学では、本科の試験後通知が来て、次の試験を受けるのですが、

副科ピアノは免除されました。ピアノの苦手な娘が大喜びしたのは当然ですが、

これだけの受験者をずうっと聞いて判断したピアノ課の先生方は大変だったと

思います。きっとその影響で副科ピアノの試験が中止になってしまったのだと

思われます。

 

娘の専門での受験生は23名。合格者は2名。

現在の傾向として、以前日本人の受験者が多かったのですが、現在は韓国人が

圧倒的に多いようです。

 

ドイツの音大に入学を希望される方、覚悟して練習を続けてください。ご検討

をお祈り申し上げます。

 

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■ オーボエ奏者として考えている事 2「アンサンブル」その2ー3つの演奏法        

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今年に入りオーボエ奏者としての重要な役割「チューニング」に引き続き、数

回にわたってオーケストラの中で演奏する上で、私の考え方を書いていきたい

と思います。

 

プロ奏者はこんな事を考えているのか、というご参考になれば、また、皆様が

オーボエを演奏する時にちょっと頭の片隅に入れておいて頂き、確かメールマ

ガジンでこんな事が書いてあった、とケース毎に思い起こして頂ければ幸いで

す。

 

 

 

 

 

さて、ここでテーマであるアンサンブルについて少し私の考えを述べてみたい

と思います。

 

アンサンブルとは何でしょうか?

 

日本語にしますと正に合奏です。歌であれば合唱でもよい訳です。年末から聖

歌隊のお話を書いた事を思い出していただければ結構かと思います。

 

美しいアンサンブルというものは個人が浮き出てしまってはいけません。全体

のバランス、調和が最も重要な要素です。素人の合唱団で、一つのパートの中

で、上手な人の声が飛び出してもいけません。

 

アンサンブルをしようと思うと、自然と相手を聞く事になります。相手と合わ

せる、全体の中に溶け込む、というのがアンサンブルの考え方の基本です。

 

もっと分かりやすく一言ですませようと思ったら、相手の邪魔をしない。これ

がアンサンブルと言えます。良い合奏演奏はこの鉄則の上に、音楽的な解釈が

加えられ、その解釈を表現する為のメンバーの技術の完璧度が決め手となりま

す。

 

世界的なソリストを集めてアンサンブルを組んでも、合わせようとする精神が

なければ、調和と音楽の一貫性はとれません。もちろん、そのような演奏は個

性と個性がぶつかり合って、聞いていて面白い事もあるのですが、芸術的観点

から見ると別問題です。

 

オーケストラで演奏するに当たっての演奏の仕方は大きく分けて三種類ありま

す。一つ目はソロです。二つ目は伴奏です。3つ目はその間のいうなればテュッ

ティ奏法です。

 

一つ目のソロは全体の音楽の流れからはみ出ない事を配慮して、あなたの音楽

と楽器の能力を最大限活用したプレイを要求されます。場合によってはオーケ

ストラ全体をリードしながら演奏する事になります。そういう場面では強烈に

個性を出す事もあります。

 

2つ目の伴奏は絶対に表にたたないでソロを助けるように付けていく演奏が必

要です。この場合は指揮がどうあろうとかまわず、一途にソロのプレイヤーを

助けます。こういう場所でうまくバックに回れる人はアンサンブルをよく心得

ている人です。そして、ピアニッシモの効き難いオーボエ奏者にとっての難関

でもあります。

 

3つ目の演奏法であるテュッティはその他いろいろの演奏法と申し上げておき

ましょう。ヴァイオリンのテュッティ奏者と同じです。周りの状況にはまって

演奏する。これが、この場合の役目です。特に頑張る事も無く、無理してまで

も押さえる事もない、スムーズに流れていればそれでOK。全体の音色にオー

ボエの響きを付け加えていれば良く、極端に言えば、オーボエの演奏をしばし

やめても音楽全体に影響が無い部分です。そして、曲の多くの部分はこのパタ

ーンに入ります。

 

オーケストラで演奏する時は、自分のパートが今どんな役割をしているのかを

判断しながらこの3つのギヤーを入れ替えながら演奏いたします。

 



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