バックナンバー:52 2004/02/01


皆様お元気でお過ごしでしょうか?

 

香港風邪、鳥のインフルエンザなど、なんだか色々な風邪がありますが、ドイツ

でも風邪、インフルエンザが流行するのはこの時期です。風邪の方、風邪を引き

そうな方、今はぴんぴんしている方、しっかりビタミンと水分と睡眠を取って、

元気で頑張りましょう。

 

Pubzine』読者の皆様、既に『まぐまぐ』への移行手続きはお済でしょうか?

Pubzine」からのメール配信は今回が最後となります。今後は「まぐまぐ」の方

で引き続きご購読いただきますようお願い申し上げます。

 

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■ ムーティ、小沢、カレラスの切手     

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音楽の切手に興味のある方はこのページをごらん下さい。オーストリアの切手です。

 

ドイツ語

http://www.post.at/content/shop/sammlerservice/results.jsp?jahr=2004&Kat=@&lan=ger&i=0

英語

http://www.post.at/content/shop/sammlerservice/results.jsp?jahr=2004&Kat=N&lan=eng&i=0

 

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■ ドイツの景気と音楽界       

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ドイツ劇場協会の調べで、経済の影響が聴衆の数字にも現れてきた事を発表して

います。ケルンでは2001/2002シーズンのオペラと音楽界の聴衆の数が3千5百万人

で、その前の年の1.5パーセントのマイナス。しかし、問題は聴衆からの売り上げ

より市や州、国からの補助金が削減される傾向にあること、と指摘。現在、聴衆

からの売り上げは全体予算の16パーセントである、そうです。

1月5日 Die Welt)

 

ベルリンには3つのオペラハウスがあります。昔からあったシュターツ・オペラ、

とコミック・オペラ、それから東西分裂の時に西側に新しく出来たドイツ・オペ

ラの3つです。この3つのオペラ座に対して今年の1月からベルリン州からの予算

が削られました。これに対し、オーケストラでは全体で18のポジションを今年に

なり削り対応しています。

 

ベルリナー・シンフォニカー(BSO)の存続に関して協議している州議会では、

オーケストラ人員の12パーセントの給料カットで、必要な3千3百ユーロを維持す

る提案をしている。

 

合併したプラウエン・ツビッカウ・フィルハーモニーが縮小の危機にさらされて

いる。エルプランド・フィルハーモニー(Riesa/Pirna)も自治体が支えきれず、

同じように縮小の危機に陥っている。

 

ツァイツ歌劇場並びにオーケストラ(Zeitz)は2003年以降、公演を中止してい

る。残っているオーケストラ奏者に対し解雇通知が出された。

 

プレンツラウ室内合奏団(Prenzlau)はほとんどの楽員と一時保証金に関しての

契約が成立しており、合奏団の維持は困難。

 

マインツ、コプレンツ、ルードウィックスハーフェンではオーケストラ組織改革

計画が進められている。全体で50のポジションを2006年までに削減する模様。

 

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■ ブレーメンのローランドは600歳

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ブレーメンの市庁舎の前に建っている像ローランドは今年600歳になります。

市の「自由の象徴」シンボルの誕生日を6月に10日間の特別な行事を組んで盛大

にお祝いを知る事になってるそうです。1404年のブレーメン市の帳簿には170

マルクの支払いが記入されているそうです。この像が出来る前は木彫のローラ

ンドが建っていたようですが、文献によると1366年に消失。ナポレオンがパリ

に持ち帰ろうとするのを、ブレーメンの市民は芸重的価値があまりないという

理由をつけ阻止したそうです。

http://images.google.de/images?hl=de&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=Bremen+Roland&btnG=Google+Suche

 

ついでにブレーメン市は2010年のヨーロッパの芸術都市として立候補を決定し

ている模様。去年はオーストリアのグラーツでした。

 

 

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■ ドイツのテレビ番組

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ドイツのテレビ放送は、昔は大変局数が少ないものでした。私がドイツに来た

時には民放が無かったのです。それから27年後の現在。普通のアンテナでは

約10局。ケーブルテレビでは約35局。パラボラアンテナでは100局以上

入るらしいですが、そうなると一つ一つ入る局を確認して番組までチェックす

るのは至難の技となります。あるオペラが大好きなドイツで活躍していらっし

ゃる日本人オーボエ奏者は007に出てくるようなスパイ用パラボラアンテナ

を所有されています。このアンテナ直径も大きい事もありますが、電動でアン

テナの向きも変えられ、世界中の放送をキャッチできる、ということです。ご

本人はオペラの番組の多い、イタリアの放送をよく見ると言ってらっしゃいま

すが・・・・?

 

日本のNHKに匹敵するドイツの放送局はARD、ZDFが全国ネットワーク

で存在します。その他に地方放送局があり、ドイツでの優秀な交響管弦楽団は

この放送局に所属しています。例えば、NDRはノルト・ドイッチュ・ルント

フンク(北ドイツ放送局)BRはバイエリッシュ・ルントフンク(バイエルン・

放送局)といった具合です。

 

ケーブルテレビでは、この地方の国営放送を何局かキャッチする事ができます。

そして、芸術関係の放送番組はほとんどこの局と、ARTE、3SATに集中

しています。

 

その他は皆、コマーシャルが大変長い民放です。この民放のコマーシャル日本

では考えられないくらい長いです。測ったことはありませんが、10分くらい

はあるような気がいたします。夜の番組でこのコマーシャル中に娘たちは歯を

磨きに行き、余裕で戻ってまいります。

 

民放がドイツで許可されたのが、今から20年前のことです。今年は、丁度その

20周年記念で、RTLなどは記念番組を計画しています。

 

 

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■ オーボエ奏者として考えている事 (1.カンマートーン その2)              

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オーケストラのオーボエ奏者としての仕事のうち、奏者全員の音程を一定に合

わす為に、Aの音を練習前、本番前に出します。この皆の基準にする音、Aを

「カンマートーン」と呼びます。そして、音合わせの作業を「チューニング」

と申します。

 

この仕事、やった事のある人以外には分からない大変な苦労と経験、信念が必

要です。

 

そしてオーボエ奏者として避けて通る事のできない、大変重要なテーマでもあ

ります。先回と今回の2回に分けて私がいつも仕事で感じ、実践している事を

書いてみたいと思います。

 

一つ、先にお断りしておきたい事は、人それぞれですから別の意見をお持ちの

方がいてもおかしくありません。オーボエのメールマガジンですから、このオ

ーボエ奏者の宿命とも言うべきテーマを提供し、皆様とご一緒に考えて見たい

と思います。反対のご意見、賛成のご意見、いろいろお便りを頂ければ幸いで

す。

 

 

 

さて、私のお話しているのは全体のピッチの話です。ピッチとは一つの音では

なく、全体の音程の基準です。音の列を全部高くするか、低くするかという問

題です。ここで皆さんによく注意していただきたい事があります。一つの和音

の中で、音程を修正する事と、或いはユニゾンの長い音を揃える事と、ピッチ

の修正は別問題です。ですから、個々の小さな音程の差を修正しても、ピッチ

は動かさない、とご理解いただきたいと思います。

 

しかし、この少しの個々の音程の差が、だんだんとピッチの狂いにつながって

いく事が多い事は事実です。どこまでお付き合いしてあげるかは、あなたのそ

の場の判断です。

 

このようにして、あなた自身が楽団でピッチを死守する経験を積んでいきます

と自然と一時的に高くなって合わせた方が良い場合と、無視してでも相手に直

していただく判断がつくようになります。多少の音程の不調和を覚悟して、ピ

ッチを守る事の方が楽員個人個人の演奏のためにも良いのです。

 

もし、あなたがピッチを無視してどんどん高くしたとします。結果はどうなる

でしょうか? 周りの方々は一緒にあなたのピッチに合わせようとしたとしま

す。その場合周りの管楽器の人がどのようにピッチを高く調整するか、を検討

しますと、唇を閉める事になります。管楽器にとって唇、アンボシャアを閉め

るということは音を殺す事に他なりません。そして、練習中、本番中あなたの

同僚にそれを強いる事は同僚のアンボシャアを狂わせる事を意味します。一度

締め付けられたアンボシャーを平常に戻す事は大変な事です。この様な演奏会

が、或いは合同練習が1日2回、2,3日続いたならば、一度締め付けられた唇を

平常に戻すのに倍くらいの時間が必要になるかもしれません。

 

一番良いのは、全ての奏者が普段家で練習しコントロールしている状態で合奏

できる事です。家であなたは楽団のピッチが上がることを想定して色々なピッ

チで練習されますか? 本番で、練習のように演奏ができるかどうかは特別な

精神状態ですから別問題ですが、理想は合奏中いかに個人個人が普段どうりに

演奏できるかです。質の悪い楽団は既にこの段階で、つまりピッチが上がるこ

とによりコントロールを失い自滅する事になります。多かれ少なかれプロの楽

団でもこのテーマは常につきまといます。

 

ですから、ピッチが上がると言う事は「百害合って一利無し」と思っていただ

いて結構かと思います。まして、あなたがその張本人になる事は、同僚に迷惑

をかける事につながる理由は、上記いたしました。

 

もっと乱暴な言い方をすれば、ピッチを上げて演奏すると言う事は、周りの管

楽器の仲間に「もっと唇を閉めろ!」と言っているわけです。それを続ける事

は「もっと唇を閉め続けろ」と言う事に他なりません。もし、意識してやった

としたら、仲間につらい思いをさせる、つまり暴力を振るっている事と同じ事、

と私は考えます。

 

さて、オーケストラが再度チューニングを行う時に、オーケストラの全体のピ

ッチが上がっていたなら、全体のピッチを戻すチャンスです。その時は勇気を

奮って1回目のAにチューナーを見ながら戻します。それが、楽団のピッチを

維持する唯一の方法です。

 

勇気を持って、と言う事をあえて申し上げるには理由があります。オーケスト

ラが再度チューニングするからには、全体のピッチが狂っているからです。そ

の時は、大概ピッチは上がっているものです。そこへ、本来のAを出すという

事は、現状のピッチよりも低いAを出す事に他なりません。時々、楽員が現状

のAでチューニングしたがるような事を言い出す事があります。それに対して

あなたは責任と信念を持って突っぱねられなければオーケストラのピッチを正

常に戻す事はできません。

 

何度もそのような事を繰り返せば、楽員もオーボエ奏者の狙いに従ってくれま

す。このようなチューニングの問題に関して、他の楽器の方々は得てして安易

に考えていらっしゃる方が多いのです。楽員が、また楽団があなたの狙いに理

解を示さない場合は指揮者とコンサートマスターを中心に徹底的に論議する必

要があります。「演奏中にピッチが上がってくるのは当然、とか普通」という

考え方を変えていただく必要があります。

 

有名なオペラ「ヘンゼルとグレーテル」をご存知かと思います。或いはベート

ーベン作曲の第九シンフォニー「合唱」でもよく起こる事です。管楽器が全パ

ート、フォルテで休み無しに1ページも吹き続けると、てき面にピッチが上がっ

てしまいます。練習の時からだいたいこの曲はピッチの収集がつきにくい、と

いう事が分かっている場合は要注意です。全体がフォルテで管楽器が厚く作曲

されており弦楽器が聞きづらい、こういう時に起こる現象です。合唱団がアカ

ペラでオーケストラが入ってきたら半音くらい音が下がっていた、というのの

逆の現象です。

 

こういう場合は、お付き合いをするとオーケストラのピッチが崩れるばかりか、

自分自身の唇、アンボシュールを締め付けてしまいます。それを避ける事が課

題となります。

 

その為にはどうするか?

 

一番簡単な方法は、本番でもチューナーで自分の音を測定し続ける事です。周

りがフォルテで音が拾いにくいので、マイクを通して測定します。もう一つの

方法は、耳栓を使う方法です。この耳栓は使い慣れないと音量が分からず、他

の楽器とのバランスを取るのが非常に難しいのです。また、音色もつぶれて聞

こえますから良い演奏しているのかどうか、まるで分かりません。ただ、周囲

の音に邪魔される事無く、自分の音がはっきり聞こえますから、自分で自分の

音程をコントロールするのには有効です。

 

また、せっかく調子の良いリードをかみ締める事でつぶしてしまう事も残念で

す。

 

私の場合、あらかじめこの様なケースが想像される場合は、譜面台にチューナ

ーを置き、すぐ測定できるようにマイクをつないで待機させます。

 

私には、プロのオーボエ奏者として、1回の演奏会で自分の調子を崩してしまう、

或いは後遺症を残すという事が大変怖い事ですので、この様な対応策を講じて

おります。

 

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