バックナンバー:50 2004/01/01


新年明けましておめでとうございます

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます

 

--------------------------------------------------------------

■ ドイツ・ヨーロッパの最近の政治状況 

--------------------------------------------------------------

 

ドイツ国会はクリスマス前に税制の決定の審議に追われました。

 

大きく変わったのが、健康保険制度です。これは自己負担がかなり大きくなり、

今までドイツになかった初診料が発生します。その他に眼鏡の保険が利かなく

なる、歯医者の材料費などが保険の対象からはずされました。所得税が緩和さ

れ、手取りが多くなります。それによって購買能力を高め市場の活性化を図る

事が目的です。今まで一番低かった所得税は19,9パーセント。これが16パーセ

ントに、高額者所得税は今まで48,5パーセントだったのが45パーセントにそれ

ぞれ引き下げられます。その他、3月1日からタバコ1本の税金が1,2セント値上

げ。2005年の秋までにタバコ税の値上げが2回行われます。

 

去年のクリスマス商戦の傾向で例年と違うのは、消費者が利口になっている、

ということらしいです。その表れとして、高いクリスマス前の商品を買わず、

プレゼントに商品券を使用する。その結果、クリスマス後、値段が下がった時

に好きな物を買いに来る客が増えた、という事らしいです。それから、例年に

比べ、クリスマスにもらったプレゼントの交換に来る客が減ったそうです。

 

今年はウルー年でオリンピックがあります。主催地アテネでは、あちらこちら

が工事中だそうです。あと10ヶ月を切っていますが、できているのは地下鉄

だけだとか? 地下鉄の駅は、地下を掘った時に遺跡が出てきて、それをまる

で美術館のように展示しているそうです。オリンピック期間中のホテルは既に

予約でいっぱいとの事です。

 

今年はEU(ヨーロッパ共同体)に東の国々、12カ国が加わり全部で27カ国

になります。今回加盟しないトルコに関しては宗教が違うために加盟させるか

どうか意見がまちまちです。ドイツはトルコを加盟させる方向に動いています。

http://www.eu-erweiterung.nrw.de/

(ドイツ語のホームページですが適当にクリックしてみてください。地図と国

旗を組み合わせるゲームもあります。私は150秒弱でした。)

 

トラックのドイツ通過課税システムがうまく作動せず、契約会社であるスイス

のトルコレクトとドイツ政府が損害賠償についてもめています。最近になり、

ドイツの運輸大臣シュトルペが去年の5月にその可能性を知っており、その時

にビグネット(車の窓に料金を払った印であるシールを貼り付ける)システム

にすれば税金未徴収が防げたはずである、という捜査委員会の発表がありまし

た。

 

中国に原子力発電所をつくるのに、ドイツの企業が参加する事が年末の首相訪

中で決まりました。ドイツでは原子力発電所を撤廃する事になっておりますが、

与党からの非難を浴びるのは必死です。外務大臣フィッシャーは緑の党。1991

年はヘッセン州の環境大臣でした。党内で年始に早速問題になりそうな雲行き

です。

 

中国といえば、ドイツでは値段が高くて作れないドイツ製、トランスラピット

の運転が開始されました。30キロの距離を7分で走るそうです。

ブレーマーハ−フェンからブレーメンまでの距離が60キロ、車で約50分。それ

14分で走ってしまうわけです。

 

--------------------------------------------------------------

■ 歌劇「オテロ」オーボエ・パート譜の音間違い 

--------------------------------------------------------------

 

12月25日にブレーマーハ−フェン歌劇場でプレミエが行われたベルディ作

曲、「オテロ」には、ドイツの歌劇場のオーケストラの入団試験によく課題と

して出される難しい部分があります。Edition Peters から出版されている

ORCHESTER PROBESPIEL」OBOE編、37ページ、下から2段目の2小節目の最

初の音がHisで印刷されております。

 

Ricordiのオペラのパート譜、並びにスコアには H が印刷されております。

今回我々の歌劇場で使用しているKaramus版には His で印刷されております。

 

さて、どの音が正しいのでしょうか?

 

いろいろ聞き回った結果、今のところ H を演奏している歌劇場ばかりです。

ハンブルクの歌劇場も H で演奏しているそうですが、元ハンブルク歌劇場の

主席オーボエ奏者リーバーマン先生、どうして His をオケスタに書き込んだ

のでしょうか?

 

Ricordi版のパート譜にもその他に数箇所プリントミスがありますが、この部分

だけは練習を積まないと直ぐに音を直して吹けるところではないのであらかじ

めどちらの音でさらうかはかなり重要です。

 

--------------------------------------------------------------

■ クリスマス シルベスター 新年     

--------------------------------------------------------------

 

去年のクリスマスに話が戻ります。クリスマスマーケットは第1アドベントか

ら、始まる事は前に書きました。お仕舞いになるのが、22日です。23日に

は全て取り払われ教会の前は、ツリーだけとなってしまします。日本だったら

教会にたくさん人の来る24日、25日、26日はマーケットの稼ぎ時と考え

て、お店をたたんでしまう事は無いだろうな。と思いながら通り過ぎました。

(ドイツ法律で開店、出店規制の為ですが)

クリスマスに立たないクリスマスマーケットの他に、ドイツには10月ではな

く9月に模様される「オークトーバー・フェスト」というのがあります。

 

24日にドイツのテレビに「もののけ姫」が登場。ドイツ語を上手に話す主人

公が活躍。でも我々には日本語が良いですね!どちらの言葉も上手に話せる娘

たちは、日本語の次のせりふを覚えており、「馬鹿にはかなわん」ってドイツ

語では何て言うのだろう? とか言いながら鑑賞しておりました。

 

その後のMDRテレビ番組で、指揮者カール・ベームの息子さんがドレスデンの

思い出を語りながら、ゼンパーオペラ座の合唱団のクリスマスキャロルを聞か

せるという趣向でした。息子さん、現在76歳だそうですが、彼が6歳のとき

に父親カール・ベームがドレスデンのゼンパーオペラの常任指揮者に就任。当

時はよく父の仕事を見たそうです。ワーグナーの大曲も全て見たそうです。但

し、子供だったので1幕だけだったそうです。彼が15歳の時、ピアノを勉強

していたそうです。戦争中スイスのルガーノに住んでおり、偶然にも父親の友

人のピアニスト、バックハウスの家を訪れ、彼の前でピアノを演奏する事にな

りました。ベートーベンのピアノ協奏曲第3番の1楽章。バックハウスがオー

ケストラパートをピアノで演奏しました。そして、「有名な指揮者、ベームの

息子としては少々物足りませんね」と言われたそうです。この言葉が彼の音楽

家への死の宣告となったそうです。結局、彼は俳優となりました。

 

そのすぐ後、バッハ作曲「クリスマス・オラトリオ」を放送していたので、拝

見。1984年収録のライプチッヒ・トーマス聖歌隊、ペーター・シュライア

ー、テオ・アダム、といった当時ばりばりのソリストの演奏でした。この曲、

ドイツに来てから初めてのクリスマスに演奏し、それから毎年のように演奏い

たしますが、のんびり聞き入った事がないのです。今回の放映は古い録画でし

たが、少年合唱団でのバッハをしのばせる演奏で(バッハはこのトーマス教会

聖歌隊を指揮していた)ゆっくり楽しみました。が、ゆっくり聞いてみると、

おかしなことに気がつくものです。合唱の部分は良いのですが、ソロのアリア

で歌手の旋律が器楽のように動く部分での歌詞が気になりはじめました。ちょ

っと簡単に日本語訳で書いてみるとこんな感じです。「いだははいなははる神

よ!」(偉大なる神よ)てな具合なのです。「あー」で歌詞を伸ばしながら音

程を変えるごとに「H」が入り「あはははは」となります。「い」で歌詞を伸

ばすときも「H」が入ります。そうなるとこちらには「いひひひひひ」と聞こ

えてくるわけです。仕方がないと言えばそれまでですが、あまり歌詞を真剣に

聞かない方が良いのかもしれませんね。

(次にこのような曲を皆さんがお聞きになったときに、ああ、あのメールマガ

ジンに書いてあった、「わははは、いひひひ」の事かと思い出されて、会場で

笑いを抑える為に苦しんでも私は責任を負いかねますので念のため!!!)

 

ヨーロッパの新年は花火とパーティーで始まります。ブレーマーハ−フェンで

は、いっせいに船の汽笛が鳴り響きます。大晦日にはほとんどの歌劇場が年の

暮れ(シルベスター)の特別の出し物を組みます。我々の歌劇場は毎年、上演

中のオペレッタが出し物として組まれますが、せりふの部分に特別の趣向が組

まれる場合があります。

 

元旦の朝は花火の後かたづけ。2日から普通に仕事が始まります。

 

本年も皆様にとってすばらしい年になる事を願っております。

 

--------------------------------------------------------------

■ 次号の予告

--------------------------------------------------------------

 

ドイツのテレビ番組

オーボエ奏者として考えている事(1、カンマートーン)

 

--------------------------------------------------------------

■ メールマガジン購読に関する重要なお知らせ

--------------------------------------------------------------

 

今までこのメールマガジンをお楽しみ頂いていた『Pubzine(パブジーン)』社

が、この度2004年2月9日もち閉鎖される事となりました。

 

従いまして、当メールマガジンはメールマガジン『まぐまぐ』 に移行して発行

を続けることにいたします。

 

今までの『Pubzine』読者の皆様には、恐れ入りますが、自動的にこちらで配信

変更できませんので、『まぐまぐ』への切り替え変更を御自分で行なっていただ

くようお願い申し上げます。

 

2004年2月9日までは『Pubzine』と『まぐまぐ』の両方から配信いたします。

 

Pubzine(パブジーン)』のご購読解除は

http://www.pubzine.com/detail.asp?id=16464

 

『まぐまぐ』の購読お申し込みは

http://www.mag2.com/m/0000120874.htm

 

これからも引き続きご愛読していただきますようお願い申し上げます。

 


次のバックナンバーを読む


[バックナンバー目次]
[末政さんのメールマガジン] [本橋家トップページ]