バックナンバー:38 2003/06/01


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■ オーボエ講習会のご紹介

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9回浜松国際管楽器アカデミー

各国から優秀な講師陣を招いて行われる講習会です。オーボエ部門の講師は

ミュンヘン音楽大学教授のパッシン先生。詳細は

http://www.yamaha.co.jp/event/academy/index.html

 

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皆様こんにちは、

 

ドイツは夏の陽気です。乾燥していて日差しは強い。日向はすごく暑いので

すが、日陰に入ると割りとひんやりしています。建物の中に入るとさすがに

石造りの家、これくらいの暑さ(30度前後)では蒸し返す事はありません。

ただ、屋根裏部屋に住んでいると蒸し風呂状態です。それとは逆に地下は冷

房が入ったような涼しさ。我が家の娘たちは、このところ地下で寝ています。

 

5月28日、マンチェスターで行なわれたヨーロッパ最優秀チームを決める

チャンピオンリーグの決勝は0-0のまま、延長。11メートルのゴールを

蹴るPK戦となりました。その結果はイベントス・トゥリンが3発はずし、

ACミラノに敗れました。イタリアの2チームの決勝戦でちんたらゲームに

なるかもしれない、という懸念をよそに、ハイスピードの素晴らしい試合を

見る事ができました。

 

ドイツ政府は財政赤字を埋める為にタバコ1箱に1ユーロを更に課税する事

に決定。ただし、一気に1ユーロの税金を掛けると一気に禁煙者が増え、減

税につながる可能性があるとして、3段階に分けて増税することになりまし

た。

 

先週、ドイツを一気に南下し、ドイツの黒い森と呼ばれているあたりに行っ

て参りました。霞のかかったような淡いりんごや梨の花を期待していました

が、それに反して、既に夏の状態。前にご紹介した、この光景は4月でおし

まいのようです。南ドイツのバーデン地方に今旬のアスパラガスがあります。

北ドイツのアスパラガスと比較するとかなり太く、水分も多く、美味しいで

す。日本ではアスパラガスは付け合せとしてしか食べた事が無かったのです

が、こちらではこの時期に主菜として登場します。大きなお皿に親指よりも

太いくらいのアスパラガスが10本くらい。それにオランダ風ソースという

ホワイトソースをかけて食べるのが普通です。付け合せはジャガイモです。

そして、デザートにはこれまた今が旬のイチゴ。夜は外でビール。

 

ところで、最近ドイツではビールの売り上げが落ちています。これには理由

があります。今年に入ってからドイツ政府は缶ビールに対して使い捨てから

リサイクリング方式に切り替えました。この方式が非常に面倒なので、消費

者が一挙に缶ビールを敬遠しているために、ビールの売り上げが落ちていま

す。この缶ビール、買った所にレシートを持って空き缶を持っていかなけれ

ばお金を戻してもらえません。例えば旅行中にガソリンスタンドで缶ビール

を、或いは駅で缶ビールを買い求めても、買った所へ缶とレシートを持って

返却に行く事はまずありません。政府はそれでもこの不評の制度を続ける姿

勢を取り続けています。

 

本日のテーマはオーボエ奏者がリードを作るようになると必然的に遭遇する

チューブに関して取り上げます。

 

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■ オーボエのリード・チューブ

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オーボエ奏者が自分でリードを作るようになると、チューブを選択しなければ

いけません。ケーンは始めは舟形のものを買います。そのうちシェーパーとい

う、かまぼこ材を舟形に削る型、を買い込みます。それから、厚さも自分で調

整する為に葦のマル材の内側を削る機械、ガウジング・マシーンを買い込み事

になります。

 

チューブをいろいろ試す事は結構大事な事です。いろいろなメーカーからたく

さんのチューブが販売されています。チューブを買う時に大事な事はメーカー

の選択をする前に、リードの適当な長さを知っている事。それによってチュー

ブの長さもある程度決まってきます。もともと楽器のピッチが低かったとしま

す。そういう方はリードが短めになるのが当然です。ケーンの部分が極端に短

くなりすぎると、振動させる部分が短くなり演奏しずらくなりますからチュー

ブは短目を選択し、ケーンの部分を長めにする事になります。逆にケーンが長

すぎると、リードの張りが少なすぎてぺちゃんこのリードになってしまします。

つまり、リードの長さはお持ちの楽器と、所属している楽団のピッチより異な

ります。ですから、あなたの所属していらっしゃる楽団のピッチにうまくマッ

チするリードの長さを、あなた自身が知っている事。その次にチューブの長さ

を決める事になります。

 

大体、チューブの長さは46ミリ、47ミリ、48ミリあたりが普通です。私

のリードは全長が70ミリから70.5ミリで、チューブは46ミリを使用しておりま

す。全長が71ミリ以上の方は、ほぼ47ミリのチューブで良いと思います。

 

前置きが長くなりました。以下は私の使用した事のあるチューブの特性です。

 

クロッファーD10

管が細めなので、同じ息の量で圧力を高める事ができる。高音域がその結果割

と楽に演奏できる。音は細めだけれどブリリアントな演奏に適している。

 

クロッファーD12

息がD10より取られるので、燃費が悪いが、D10より柔らかい、ゆったり

とした音色が得られる。

 

クロッファーのオリジナルのチューブは新品は入手不可能。ベルリンのあるダ

ブルリード専門店が、彼の死後、工具と材料を買い取り細々とチューブを作っ

ている。それでも以前のクロッファーに比較すると音につやがかけるような気

がする。

 

DM

シューという雑音がするので、使用を中止。演奏感覚はD10に似ている。

 

グロタンとリグター

息が非常に入りやすい。最高音域が非常に出やすいので、例えばストラヴィン

スキーなどの高音が連発する曲にはこのチューブを使うと楽に演奏ができる。

 

ジーグラーはクロッファーのコピーです。コピーもいろいろな会社が行なって

いますが、やはりオリジナルが鳴り方がスムーズです

 

ザッセンベルク

ベルリンで19845年まで営業していた。チューブだけではなく、シェーパー

とかガウジングマシーンとかも製作していた。彼のチューブでリードを作ると

だめなリードと良いリードがはっきり分かれる。良いリードは音が太く立派な

だけではなく、つやもあり私の大好きなチューブ。残念ながらもう手に入らな

い。

 

以上が、私がそれぞれのチューブを使ってみた感想です。ご参考になれば幸い

です。

 


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