バックナンバー:37 2003/05/16


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■ オーボエ講習会のご紹介

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9回浜松国際管楽器アカデミー

各国から優秀な講師陣を招いて行われる講習会です。オーボエ部門の講師はミュンヘ

ン音楽大学教授のパッシン先生。詳細は

http://www.yamaha.co.jp/event/academy/index.html

 

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■ イラク戦争後のヨーロッパ

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皆様、お元気でお過ごしでしょうか? 

 

今年の始めは世界がイラク戦争一色でした。その戦いは一応終結いたしましたが、イラ

クの国内は戦後の混乱が続いています。このどさくさで博物館の展示物で主要な品々が

盗まれましたが、どこかの倉庫に隠してあるのが見つかり、世界の遺産が散らばるのを、

かろうじて防ぐ事ができたようです。

 

4月29日にドイツ、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの四カ国の首相が集まり声

明を発表しております。

 

内容は、今回のイラク戦争に関してヨーロッパ共同体が意見を統一できなかった事を強

く反省し、話し合いを重要視する。さらに今後の軍隊のあり方について、イギリスを含

めヨーロッパ内でのNATO軍を強化、再編成する、という内容で意見が一致。

 

国連の会議で、イラク戦争の賛否について、ヨーロッパ共同体の中でスペインは賛成側

に反対派としてはドイツ・フランス、という具合に歩調を合わせることができませんで

した。今後このような事が無いように話し合いを強化しよう、という事です。

 

軍事に関しては、アメリカがブッシュ政権になってからの軍事費の拡大に比較し、ヨー

ロッパ全体の軍事費は縮小気味。ヨーロッパ共同体15カ国の全部の軍事費を合わせて

もアメリカの軍事費の半分以下という事実、各国の軍隊がばらばらに活動している現状

を考え、横の連帯を強化すると共に、無駄な部分を削除し再編成する、という内容でし

た。特に具体的に軍事費を強化するという話題は出ていなかった模様です。

 

5月15日、アメリカのパウエルパウエル国務長官がベルリンに到着。先日のサウジア

ラビアでのテロの影響で、ドイツの警察はぴりぴりしています。イラクの今後の対策に

関して、どの様なかたちでドイツが参加するかが今回の来訪の焦点となっているようで

す。現在のところ、イラクを支配しているのは、アメリカ、イギリスとポーランド軍。

ポーランドは最初からアメリカ指示を表明していた見返りに、イラク戦後の収集に参加

する権利を得、建て直しに関しても、ポーランドの企業に契約が入る確立が高いそうで

す。

 

ポーランドはしかし、ヨーロッパ共同体に新しく加わる事になっており、ドイツとフラ

ンスを無視する事はできない立場ですので、今回の戦争でひびの入った、旧ヨーロッパ

体制とアメリカの橋渡しをする役割をする方向に動いています。

 

イラクでは依然として化学兵器は発見されておらず、戦争前に期限を切ってまで国連に

圧力をかけたアメリカに対し、非難の言葉が出てこないのは、政治は「妥協の芸術」の

最先端を走っている、と言う事でしょうか? どこかの国が、期限を切って、いついつ

までに化学兵器を発見できなかった場合は、アメリカの行為を侵略とみなし、経済封鎖

を敢行する、と言うような事を言い出しても不道理では無いと思うのですが・・・・。

 

ヨーロッパの最優秀チームを競う「チャンピオンリーグ」の準決勝の結果、イタリアの

2チームが決勝に進出を決めました。決勝戦は5月28日でAC Mailand 対 Juventus

 Turin 。15日のJuventus Turin 対 Real Madrid の準決勝は3対1、主力選手が

ほとんど怪我をしていたレアル・マドリッドがスピードに欠き、敗退。フィーゴがペナ

ルティーキックを決められなかった事も、試合の流れに影響。

 

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■ オーボエのリード

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リードとは、チューブに2枚の同じ幅の葦の材料を巻きつけ、先端を薄くし、息を吹き

込んだ時に、この2枚の板が振動し音を出します。葉っぱや紙を折り曲げて間に息を吹

き込んで音を出す、のと似たようなものです。このリードを楽器の先に差込み、振動を

楽器に伝え、オーボエの音になります。

 

弦楽器では弓で弦を振動させて音を出します。鍵盤楽器ではハンマーが弦をたたいて、

或いは引っかいて音を出します。オーボエではリードに息を吹き込み音を出します。こ

れはオーボエ演奏の原点です。

 

良い音を出したければ、弦をなるべく自然に震幅させる事を考えます。オーボエも同じ

です。無理なく、リードをなるべくスムーズに振動させることが重要になってきます。

 

リードは2枚の葦の板が合わさっており、その真ん中に息を通してこの2枚の板を振動

させる、と既に申し上げました。楽に演奏しよう、簡単に音を出そうと思えば、この板

を薄くすればすぐ振動を始めてくれます。バッグパイプのリードは宙に浮いており、袋

から送り出される空気だけで簡単に振動できるように薄く作ってあります。

 

オーボエのリードをこのように薄く作ると、もちろん音は簡単に出す事ができますが、

パワーにかける。少しの息の変化で過敏に反応しすぎる。長い間演奏していると、リー

ドの張りが無くなり、ぺしゃんこにつぶれ、息が入る場所が無くなってしまう。という

弊害が起こります。

 

オーボエ奏者が理想としているリードはこの欠点をなくしたもの。つまり、楽に音が

出て、パワーがあり、張りがあり長持ちする。

 

この条件を満たす為に、オーボエ奏者は100分の1ミリ単位の作業でリードを削り

ます。ちょっと削り過ぎると上のような弊害が起こります。そうかといって厚いまま

ですと鳴りがスムーズではありません。そのぎりぎりの限界の厚さ、或いは薄さにす

るために、オーボエ奏者はしょっちゅうリードを削っています。

 

ほんの少しの削り過ぎ、ほんの少し厚すぎ、この中間を常に狙って作業をしています

が、何百本、何千本作ってもなかなか、これは素晴らしい、というリードが残念なが

らできないものです。手塩にかけて、やっと仕上げたリードも材料の良し悪しにより、

2週間位でだめになることがあります。

 

オーボエ奏者がしょっちゅうリードを作っているのはその為です。常に新しいリード

を作り始めていないと、現在のリードが壊れた時に演奏ができなくなってしまうので

す。

 

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■ 次号のテーマ : リードのチューブについて

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