バックナンバー:27 2002/12/16


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  ドイツのクリスマスと近況

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皆さん、こんにちは。

ドイツは12月の歴史的最低気温を更新しております。ブレーマーハーフェンは

北海の暖流の関係で比較的暖かく、残念ながら公園の池の氷の厚さが充分ではな

く、スケートができませんが、ハノーファーのマッシュゼーではもう金曜日くら

いからスケートができるようです。先週、ミュンヘンではマイナス18度を記録。

霜が凍って道路が凍結。事故が続出しているらしいです。

 

ブレーマーハーフェン歌劇場では暖房が止まり、技術者が休みを返上して復旧作

業にあたっています。おまけにステージと客席を仕切る非常用の鉄の幕が下がり

っぱなしで動かない、という事件まで発生し、12月25日にプレミエを迎える

ベートーベン作曲のオペラ「フィデリオ」の舞台練習が1回潰れてしまいました。

我々にとっては練習がなくなることは非常に好ましいのですが、このことによっ

て夜の演奏会がおじゃんになると、せっかく寒い中を来て下さるお客様には申し

訳ありません。幸いこちらの幕の方は数時間で解決した模様です。この「フィデ

リオ」というオペラですが、フロレスタンのアリアで、オーボエの大変なソロが

あります。ドイツでのオペラ関係のオーケストラ入団試験にはかならず課題とし

て出る曲です。課題として載っているだけではなく、かならず吹かされます。個

人差もあるでしょうが、私には「フィデリオ」自体、そんなに素敵なオペラでは

無いと思っていますので、オペラを演奏するチャンスの少ない日本で、この曲を

知らない方は、特にCDを購入してこの大ソロを研究される必要は無いと思います。

 

先回のメールマガジンで少し書きましたクリスマスオラトリオについて、説明不

足な面がありましたので、ここで少し書き足したいと思います。作曲者はヨハン

・セバスチャン・バッハです。この曲は第1部から第6部まであり、大体クリス

マス前に演奏されるのは1部から3部です。声楽のソリスト、合唱、オーケスト

ラのための作品で、オーボエセクションは4人必要です。オーボエダモーレ2本

が大活躍する曲で、よく響きわたる教会での演奏は気持ちの良いものです。ただ、

この時期の教会は寒いのだけが玉にきずで、楽器の調子が崩れないか? 楽器自

体が割れなやしないか? 時期が時期だけに、おっかなびっくりしながら演奏す

る曲でもあります。この曲をご存じない方はクリスマスのプレゼントにこの曲の

CDを希望されると良いかと思います。オーボエが好きな方なら絶対にお気に召す

こと事請け合いです。

 

ドイツ人のクリスマス時期の過ごし方ですが、アドベント(クリスマス前の4回

の日曜日)が始まると、市の中心にマーケットができます。有名なものはニュル

ンベルクのクリスマスマーケットですが、大なり小なりどこの町でもこの市が立

ちます。クリスマスの買い物客をターゲットにしているのですが、その市には、

クリスマスツリーの飾り、蜂蜜入りのろうそく、ろうそくの火力で回るピラミッ

ド(クリスマスがテーマの小さな木の人形が乗っており、何段階かの層になって

いる。一番天辺にプロペラがあり、ろうそくの火の上昇気流で全体を回す仕組み

になっている。)その他いろいろのクリスマス関係の飾りを売っているお店が並

んでいます。。そして大事なのが飲み屋のスタンド。ここではクリスマス時期だ

けに飲めるグリューワインがあります。シナモンの入った赤ワインに少しオレン

ジ、レモンを加えた味がします。重要なのは熱くして飲むことです。寒い時に外

でのマーケットには欠かせないドイツの風物詩です。もちろんビールにシュナッ

プス(40度)というドイツ人の大好きな取り合わせも大繁盛しております。

家庭ではもみの木の枝や葉っぱで直径30センチくらいの輪を作り、その上にろ

うそくを4本立てます。最初のアドベントに1本のろうそくを燈します。2回目

のアドベントにはそのろうそくにもう1本のろうそくに点火します。4本のろう

そくが全て燈ったら、アドベントも絶好調。そしてクリスマスが来るのを待ちわ

びるわけです。しかし、この飾り(アドベンツ・クランツ)は結構危ないのです。

よくこの時期にドイツで家事が起こる原因にもなっています。我が家でも昔、こ

のアドベンツ・クランツを燃してしまったことがありました。幸い早く気がつき

大事に至りませんでしたが、カーテンにでも燃え移っていたらきっと大変な事に

なっていたと思います。よく暖房が効いていて乾燥している家の中にある木と葉

っぱでできている輪ですから、点火すれば燃え上がるのも早いと言うわけです。

ドイツにすんでいる方、火の用心です!

また、ろうそくは付けませんが、この輪を玄関に飾る家も多いです。日本のお正

月の門松のようなものですね。

 

さて、今回のメールマガジンが本年最後となります。ドイツでも色々な出来事が

ありました。代表的な出来事は夏の大洪水、ワールドカップの準優勝、シュレー

ダー首相とSPD+緑の党の再選、などでした。

 

どうぞ皆様、良いお年をお迎え下さい。

 

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