バックナンバー:25 2002/11/14


皆さん、こんにちは。今日ドイツでは「ハリーポッター」の映画が封切りになり

ました。人気は先回より下火とのことですが・・・。私の一番下の娘が本日、絶

対に見るのだと張り切って出かけました。先回の「ハリーポッター」、結構私に

は面白かったでいつか私も見に行くつもりです。そうそう、ドイツではほとんど

の映画はドイツ語吹き替えになります。言語で字幕つきというのは少ないです。

イタリアオペラもドイツ語で上演されることがあります。

 

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  楽器の不調、診断、対処方 その1<キーに水が溜まる>

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さて、今回はオーボエのテーマです。ドイツのプロ奏者は夏休みに楽器をオーバ

ーホールに出すのが普通ですが、調整された楽器が狂ってくるのがこの時期です。

原因はジョイントのコルクの磨耗とか、ドイツでの気温の冷え込みなどが考えら

れますが、兎に角、冬に入ってくると楽器が不調に陥ることが良くあります。症

状としては音が出にくい、ピアノがかすれる。音程がとり難くなる。一定のキー

に水が溜まるなどです。さて、ここで問題なのはいったい楽器が不調なのか、本

人が不調に陥っているのか、リードのせいなのか、という判断です。長年の勘で

原因がどこにあるのかは大体想像がつくのが普通ですが、本日はその原因と対処

方を探っていきたいと思います。

 

<キーに水が溜まる>

 

キーに水が溜まる原因は温度差(楽器の温度、息の温度)により水蒸気が管の内

部、或いはキーに発生する場合。楽器内の水の流れの経路がキーにかかっている

場合。キーにごみが溜まっている場合。キーが浮いていて常に息漏れがしている

場合。などが考えられます。当たり前ですがキーに水が溜まる場合はリードや演

奏する本人の調子とは無関係です。

 

楽器を演奏する場合は温度差に注意を払うことが大変重要です。キーに水が溜ま

るだけであればまだ問題は無いのですが(演奏中には気になって仕方がないが)

下手をすると楽器を割ってしまうことがありますから、気温が下がってきている

時に演奏を開始するときは楽器を体温で暖めてあげることが肝心です。手で管の

全体の温度をゆっくり上げていく。あるいは上着にくるんで暖める、など方法は

色々あると思います。急激に管を暖めることは極力避けて下さい。

 

楽器が暖まって演奏を開始したら、数分後管内を一回掃除することをお勧めいた

します。こうすることでだいたい水の経路がまっすぐになります。

 

大体、オクターブキー、CHAの間の小さいキー)、BAGの小さいキー)、

トリルキーあたりの上管の小さなキーに水が溜まることが多いです。下管で多い

のはF、フォークFなどの穴の場所が低いキーに水が出やすいです。

 

さて、上に書いた方法で防止しても「00000所かまわず」で、水害に合う事

があるわけですが、場合によってはいつも同じ場所にかならず水が出る場合は偶

然ではない、と疑ってかかる必要があります。

 

原因はごみ、或いはキーの浮きにある場合がほとんどです。

 

こういう症状のときはプロであれば楽器をばらして穴の状態をチェックします。

綿棒にシンナーを少しつけて穴を掃除します。オクターブキーが時々引っ付いた

ままで開かなくなる事がありますが、その時もオクターブキーを外してキーのコ

ルクの部分とオクターブキーの金属部分を掃除します。オクターブキーに関して

は装着はそう難しくはありませんので、初心者の方でも注意をしながらこの方法

で時々掃除をしてあげることは可能です。(楽器の構造によって第1オクターブ

キーをはずす場合、オクターブキーだけをはずせない場合があります。このタイ

プの楽器は少々ばらすのが面倒です。)

 

オクターブキーを外すと、本体には金属製の鍋蓋がねじ込んであります。穴を掃

除するにはこの鍋蓋を外さなければ不可能です。このふたを外すには特殊な工具

が必要です。音大生で将来オーボエで生活していきたいと目指す方であれば、こ

の工具は必需品です。ただ外すのは誰にでもできますが、きちっと元に戻すには

ある程度トレーニングが必要になります。

 

オクターブキーにごみが付着している場合は演奏を開始したと同時くらいに水害

に合います。(ごみでない場合は原因究明は厄介です)

 

この続きはまた次回に!

 


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