バックナンバー:23 2002/10/17


■ホームページ、私の演奏会、カペラブレメンシスのコーナーでMP3の録音を

一部ご紹介しております。

 

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皆さん、こんにちは。

 

Odyssey Marine Exploration というアメリカの団体があります。何をしてい

るかと申しますと、黄金を探しているのです。その団体がジブラルタル海峡の

黄金を引き上げる,というニュースを出しています。引き上げる船はイギリス

17世紀の軍艦で「Sussex」といい、10トンの金貨、100トンの銀貨を積んでい

るらしい事が古い書物に書かれているそうです。船は1694219日に難破。

現在1000メートルの海底に置き去りにされているそうです。

http://www.n-tv.de/3072062.html

 

本日はドイツ政府発行の雑誌「ドイッチュランド」の記事をお送りいたします。

天災をもろに蒙ったドイツの様子、対応を解説しており、読み応えのある内容で

す。本文の著作権は雑誌「ドイッチュランド」にありますが、転載は許可してお

りますので、今回のメールマガジンで皆様にご紹介いたします。尚、この記事の

原文は次のホームページにあります。写真なども入っておりますので、ご興味の

ございます方はそちらをご覧下さい。

http://www.magazine-deutschland.de

Die Jahrhundert-Flut

 

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  洪水は去ったが 雑誌「ドイッチュランド」2002年 1011月号より

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濁流にのまれた町々、壁を押し流され無残にも内部をさらけ出した家々、全財産

を失って泣き崩れる人々・・・・、来る日も来る日もメディアはこんな映像を流

し続けた。そいつを襲った史上最悪の自然災害の映像である。ザクセン、ブラン

デンブルク、ザクセン・アンハルトの東部ドイツ3州で、エルベ川と普段は流れの

穏やかなムルデ川やミュグリッツ川などの支流が、奔流と化して猛威の牙をむい

た。エルベ川下流のニーダーザクセン州では各所で浸水が起こり、また、過去に

何度と無く洪水を経験してきたバイエルン州のパッサウではドナウ川の水位は最

高を記録した。

 

8月の大洪水は、ドイツ人の意識を根底から変えた。もはや異常気象は、どこか遠

い国で人命を脅かす現象ではなく、ヨーロッパの中央部、私たちの庭先をも直撃

し得ることが眼前に容赦なく示されたからだ。死者21人、非難を余儀なくされた

ひと数万、家を失った人数千という深刻な被害。流域800キロメートルにわたって

洪水が残した破壊の跡はすさまじく、被害総額は250億ユーロに上る。最も被害の

大きかったザクセン州では、総延長740キロメートルの道路と180の端が破壊され

た。5〜8億ユーロと推定されるザクセン・アンハルト州の被害規模は、州の予

算の半分を超える。

 

ーーー国を挙げての努力が必要ーーー

 

道路や住宅、多額の費用と手間をかけて修復された歴史的建造物や企業の社屋な

ど、ドイツ再統一以来12年にわたって築き上げてきた復興の成果も、多くの町で

瞬くうちに水泡と帰した。例えば、ライプチッヒきこうにある人口18000人の

小さな町グリンマ。何年もかけて丹念に修復された旧市街を瓦礫の山と化した洪

水は、一夜のうちに7,000万ユーロを呑み込んだことになる。災害発生直後に被害

地を見舞ったゲルハルト・シュレーダー首相は、洪水問題を首相案件として扱う

事を宣言、復旧には「国を挙げての努力」が必要と訴えた。

 

数日後の政府声明では、被害者向けの包括的な緊急援助プログラムが発表された。

煩雑な手続き抜きで早急に正常化が図られるよう、連邦政府は71億ユーロの

「復旧支援基金」を設け、おもに一般家庭や企業、地域への援助を行う。財源は、

来年に予定されていた税制改革の第2段階の実施を1年先送りにすることで確保さ

れる。洪水被災者のために、全国民が減税の恩恵をしばし諦めようというわけだ。

さらに州や欧州連合(EU)の構造基金から拠出される資金を加えると、総額100

ユーロに上る復旧対策費が短期的に用意された。これだけの資金をつぎ込む復旧

事業は、建設業・手工業・流通業などに大幅な需要増をもたらし、東部ドイツの

新たな景気刺激剤になると見られる。

 

洪水はその破壊力で人々を震撼させたが、一方で救援に手を貸そうとする無数の

人々の善意と連帯を呼び覚まし、感動的な光景は厳しい現実を束の間とはいえ忘

れさせるほどだった。疲労をものともせず献身的に救援にあたった連邦軍兵士や

消防士、技術援助隊員は5万人。さらに、全国からボランティアが続々とエルベ

流域に集まり、土壌運びでも何でもかって出て、被害者と力を合わせて洪水と闘

った。他のヨーロッパ諸国から援助に駆けつけた人たちもいた。また、テレビや

新聞・ラジオを通じて行われた寄付の呼びかけは大きな反響を呼び、数日のうち

1億ユーロを超える寄付が集まった。お小遣いを寄付した学校の子供たち、パン

1個売れるたびに50セントを貯めて寄付にまわしたパン屋など、心暖まる話題が

数え切れないほど伝えられた。それでもやはり2002年の夏は、恐ろしい「洪水の

夏」として人々の記憶に留められるだろう。

 

ーーー将来への教訓ーーー

 

今回のような自然災害の原因は、複合的なものである。洪水の引き金となったの

は、何週間も雨が降る続く以上気象だった。水をたっぷりと含んだ表土は、もは

や降雨を吸収することができなくなった。こうした異常な気象に、地球温暖化・

気象変動の兆候を見る学者は多い。「私たちが今回体験したことは、今世紀に起

こるであろう気象変動のささやかな前触れに過ぎない」と語るのは、有名なポツ

ダム気象研究所のハンス・ヨアヒム・シェルンフーバー所長である。ハンブルク

のマックスブランク気象研究所のモジブ・ラティフ氏も、「こうした現象は地球

温暖化に起因する。温暖化と異常気象の因果関係は科学的に証明可能」と断言す

る。

 

さらに、人間が自然に様々な形で手を加えたことが、被害を大きくした。多くの

川筋は船運のために直線化され、堤を設けて水流を早くさせてしまったため、激

しい降雨があると河川はたちまち急流と化す。さらに何世紀もの間、洪水の受け

皿として機能してきた川沿いの遊水地は宅地化が進んで、川水が逃げ場を失った。

バイエルン州を例にとると、毎年80平方キロメートルというキーム湖に相当する

広大な地表がアスファルト化されており、降水を吸収してくれる地面は減る一方

だ。今後、これらの事実を検証し、よりよい洪水対策、新しい堤防の構造などを

検討する必要があるだろう。

 

シュレーダー首相は92日、国連のヨハネスブルク環境開発サミットで演説し、

目撃したばかりの世紀の洪水を念頭に置きながら、次のように警告し訴えた。

「世界各地で頻発する気象異常現象は、気候変動がもはや悲観的な予測などでな

く過酷な現実であることをはっきり示している。私たちはいま、このチャレンジ

をうけて断固たる実行に踏み出さなければならない」と。

 


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