バックナンバー:21 2002/09/17


皆さん、こんにちは。

 

ブレーマーハーフェンは秋に突入しております。徐々に紅葉が始まっており、

これからだんだんと寒さが増してきそうです。例年ですとこの時期には既に

コートが必要なのですが、今年はまだ穏やかな天気が続いております。こう

いう時期にはドイツ人たち庭木の手入れに精を出します。

 

皆さん、蚊の干からびた卵が復活するのをご存知でしたか?

8月の大洪水で昔水位が高かった場所に蚊が卵を産みました。そこまでここ

数年水が来ていなかったのですが、今回の増水でその卵が復活し、ドイツは

今、大量の蚊に悩まされております。なにか、ゴジラかモスラみたいなお話

です。

 

ミュンヘンコンクール・オーボエ部門で初の日本人の入賞者が出ました。こ

れからのご活躍を期待いたします。井上さんはじめ入賞者に関しては

http://www.br-online.de/kultur-szene/klassik/pages/download/ard.rtf

をご覧下さい。(ドイツ語ですが・・・)

 

彼女の受賞記念コンサートの曲目はR.Straussのオーボエ協奏曲(19日)

です。ドイツでは同時放送があります。

http://www.br-online.de/kultur-szene/klassik/pages/ard/ard_termine_schluss.html#kammer

 

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  オーバーホールの後の楽器

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今年の私の夏休みは東京での演奏会があった関係上、結構積極的にオーボエ

を吹いていました。が普通の夏休みはこういうパターンではありません。

ドイツのオーケストラの夏休みは通常6週間あります。我々のオーケストラ

では次のシーズンに始まる前に吹き込み期間と呼ばれている時間が1週間あ

り、この期間は別に楽器を演奏することは強制されませんので、実質では7

週間の休みとなります。事情は各オーケストラにより異なります。冬休みが

あるオーケストラ、春休みのあるオーケストラもありますが、その場合は夏

休みが減るのが普通です。

 

さて、一般のオーケストラ奏者の夏休みは、楽器をオーバーホールに出す関

係上、かなりの期間演奏をしないのが実情です。次のシーズンが始まれば、

1週間位、ペースを取り戻すのに大変な思いをする事になりますが・・・。

 

今日のテーマは「オーバーホールの後の楽器」について私なりに考えてみま

した。

 

皆さんがオーボエを新しく始めた時、どういう取り組み方をされましたか?

 

まず、リードの問題があります。先輩や先生からリードを頂いて、とにかく

音を出せる環境を作ります。リードがあれば楽器としてオーボエは機能しま

すから音出し練習から始めます。ある程度経験が積まれ、リードの良し悪し

が分かるようになり、演奏しやすいリードを選択することになります。

 

楽器を買い換えるときも同じパターンです。そして、オーバーホールの後の

自分の楽器でも同じことです。オーバーホールしますと、楽器はまったく違

った状態で戻ってくることが多いのです。今まで使っていたリードが合わな

い事は普通です。もし、オーバーホールに出した楽器が前と同じような状態

であったなら、オーバーホールでは無く単なる修理、調整であったと考えて

も過言ではありません。

 

オーバーホールの場合は「これ本当に自分の楽器?」と思うほど普通は違っ

た状態で戻ってくるものです。

 

さて、オーバーホール出の対処の違いは吹き込みにあります。別の楽器に変

えた場合は、吹き込みとリード合わせが非常に大変ですが、さすがにオーバ

ーホールした楽器は自分が好んで演奏していた楽器ですから、なじんでくる

のは早いです。

 

今回の私の楽器の出来上がり状態は前とかなり違ったものです。前の状態が

悪かったので当然の成り行きです。オーバーホール前から使っていて一応鳴

る、違ったタイプのリードで試奏をしてみます。そこで、いつもより幅の広

いリードが今の楽器の状態に合うことを確認しました。このタイプのリード

をあらためて作り、現在は仕事をしております。

 

さて、皆さんにお勧めしたいのは、リードを作ったときに大体のデータを取

っておく事です。データの内容はリード材はどこのメーカーであるか。厚さ、

シェーパーの形、チューブ等、私の場合は糸の色でこのリードがどんな材料

であるか分かるようにしてあります。

 

そのデータがあると、今回のようにオーバーホール後、案外合いそうなリー

ドを識別してリード作りに取り掛かる手がかりをつけ易くなります。

 

プロのリードケースは常時20本から多いときは200本くらいのストック

があります。ただ単に羅列するだけでなく、識別してあると次に使うとき、

あるいは今回のようにあるタイプのリードを選び出すときの役にたちます。

 


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