バックナンバー:19 2002/08/17


■7月22日 王子ホールにて行いましたカペラブレメンシス演奏会

はお陰様で無事終了いたしました。御来場いただきました方々に心よ

御礼申し上げます。また寸前にお電話でのお問い合わせに対し、当日

券の残りがあるかどうか分からず、遠方の方にはお断りする事態とな

りました。もし、このメールマガジンを御購読していらっしゃる方の

中にも、券をお取りになれなかった方がいらっしゃる事と思います。

メンバーを代表して深くお詫びを申し上げます。

 

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  日本の文化と教育

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皆さん、こんにちは。8月11日に日本からドイツへ戻って参りまし

た。現在は日本で溜まった体内の熱気を放出しているところです。

 

現在、プラハ、ドレスデン、パッサウ、アウグスブルクなどの水害が

ひどい状況です。私の住むブレーマーハーフェンはベーザー川の河口

にありますが、今のところは危険は無いようです。来週辺りはリュー

ベック、ハンブルクあたりのエルベ川河口の都市が危険にさらされる

ようです。天気が良くなり早く水位が引き、住民が普通の生活を取り

戻せることを願って止みません。

 

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外国生活が長いと、漢字は忘れる、日本語の単語がとっさに頭に思い

浮かばない。そんな私が年配の女性の方々からお手紙を頂くと、時々

困ることがある。達筆すぎて読めないのである。そういうのは例外と

しても筆記体ですらすら書かれている方が多い。御本人にお伺いする

と、「当時の学校教育がそうであったので特記することではない。」

とおっしゃられる。どういう分けか読めないような達筆の方は女性に

限っている。きっと当時の女学校ではこの方面のたしなみを重要視し

ていた結果がここに現れているのだと思う。夏休み中に本屋へ寄って

様子を見てみると、日本語に関する書籍が増えていた。日本人が母国

語を意識することは大変良いことだと思う。しかし、この書籍の多く

は日本語を美しく話す、或いは発生を通じて健康を保つ、という種類

の物で視覚的な美しさにまで言及している書物ではなかった。我々の

学生時代にも習字の時間はあったが日本語をさらさら書く、というと

ころまでは教わらなかったのは、今になってそういう女性のお手紙を

拝見すると残念な事、と思う。日本語に関しても、読み書きだけでは

なく、文字を美しく書けるところまで頑張って指導していただければ、

と思う。ここで、そんなに美しい文字を書きたいなら自分で練習すれ

ばよい、と反論を受けるかもしれない。確かに個人的にはそれでよい。

私が申し上げたいのは風潮の問題で、文部省辺りが国際人を、という

意識をする前に自分の足元を固めてくれたらと思うわけである。

 

8月始めの朝日新聞に「三味線ブーム」と書いてあった。学校で三味

線を教えだしたら楽器を買う人が増えた、という記事で、写真は学校

の先生が三味線のお稽古を受けている、というものであった。日本の

音楽は学校で教えるという伝統が無い。私の知る限りでは唯一、東京

芸術大学に日本音楽の科があり、人間国宝級の方が後進の指導にあた

っている。その他は名取り制度の世襲である。

江戸時代には寺子屋があったが学校は無かった。そして芸術を伝承し

ようとすれば襲名制度を導入するのは理にかなっていたのだと思う。

その形を未だに崩さずにきたわけであるが、学校という便利な制度を

利用しての国家文化普及に私は大賛成である。土壌はあるので普及を

目指せば、また日本音楽が定着する可能性はきわめて高いと思う。

 

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次号は「西洋音楽の土壌の違い」について考えてみたいと思います。

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