バックナンバー:10 2002/04/14


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オーボエの代え指について

 

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先回、演奏は感情の表現である、と申し上げました。今

回は更にこのテーマから派生してのオーボエ演奏での実

践的な考え方について触れてみたいと思います。

 

オーボエの演奏は音楽をする、つまり演奏者がその曲に

新しい息吹を与え続けている、という事です。私が申し

上げたいのは演奏するという事は手段であって目的では

ありません。目的は何度も申し上げますが音で感情を表

現する。つまり音楽をする、ということです。

 

テーマである代え指についてその大原則を元に考えてみ

たいと思います。あなたがあるパッセージを演奏する時

にいろいろな指の可能性がある場合に迷うのがこの指使

いです。弦楽器なら別のポジションへ、或いは別の弦に

移動する事もあるでしょう。音を出す上で指使いは単な

る方法です。その方法を決めるのはあなたがどういう音

楽をやりたいか、どういう音をそのパッセージに要求す

るのかで決まります。その為にはその代え指がどんな音

の効果があるのかを心得ている必要があります。もしあ

なたが心に描く音に近い音を代え指で可能にできるなら

絶対に代え指を使わなければいけません。

 

音色を変えるための代え指の他にもう一つの使い方があ

ります。これは便宜上、テクニックがスムーズに行く方

法です。芸術の解釈上苦労してもテクニックの危険を冒

さなければいけない場合とは別に、代え指を使うことに

よりすばやく音を切り替えることができる場合には有効

な手段となります。

 

代え指とは別に補助キーを使う方法があります。これも

考え方は代え指と同じですが補助キーは主に音程調整に

使用します。場合によっては音量調整にも使用いたしま

す。

 

あなたの芸術的欲求により代え指と補助キーを使うこと

により、かえってテクニックが難しくなることがありま

す。これを制覇していくのが練習ということになるわけ

です。

 

皆さん、頑張って良い音楽を続けてください。

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朝日新聞国際衛星版に私の投稿が掲載されます。発行日は、

米州版が4月17日、アジア版18日、欧州版19日です。

ご興味のある方はどうぞご覧ください。

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