32)エクササイズ−12(JDR NEWS 1992/03月)

注意:


デイリーエクササイズ(毎日の練習 No.4)


楽器に関する知識は出版物や人々の経験談から得ることも多く、演奏技術の向上と習得時間の短縮には欠かせない大事なことです。音楽に関する記事を読むことや演奏会などの機会を最大限に利用しましょう。もちろん自分の努力や練習、経験が一番大事なことはいうまでもありません。
音を出すために必要な(楽器)(ボーカル、チューブ)(リード)は調整、ピッチ、相性など大変難しいことです。プロ奏者や専門家にアドバイスを受けるとより早く楽器を操ることができます。
個人に必要な練習(楽器を吹く時には以下の事柄が必要です)
複数で合わせるための練習(アンサンブル)


練習するときの注意

自分が何をマスターするための練習なのか目的をはっきりと確認します。何も考えないで練習しても効果は上がりません。無理な計画を立てないでその日その日の練習できる時間を有効に使えるよう割振りを考えます。練習内容は自分で組み立てます。複数の練習はリーダーが組み立てます。また、練習はその都度目標を設定し確認します。正確にできるテンポを守りあせらないで余裕をもって取り組みましょう。


合奏の練習は役割を把握します。

練習時間

十分な練習時間を取ることは今の時代は難しくなりましたが、その分楽器やリードの性能がよくなり、情報や知識も沢山得られるようになりました。よりうまくなるために時間を効率よく使って毎日少しでも練習することが大事です。

基本練習方法(個人、アンサンブル、合奏)

演奏の基本となる練習を細かくまとめてありますので、エチュードや曲の一部分を使って一つ一つ項目に絞って重点的に練習してください。


チューニング(短い時間で音合わせができるように)

  1. 一人一人が基音に合わせます。基音は電気音を使わないことです。一番最初の音は音叉かチューニングメーターの針を誰かにみてもらいながら決めましょう。針を見ながら合わせると耳の訓練になりません。
  2. パートまたはセクション別に合わせます。同じ楽器や音色の近い楽器のほうが音の狂いが分かり易くなるためです。また各楽器別に音程の癖がありますのでチューニングの音以外で合わすことも必要です。そして全ての音が一番合わせやすいチューニングにします。
  3. 全体で合わせます。チューニングできたと思ったら音量を下げてpでも合わせます。pの場合、低くなることもあるためです。またまだ合わせられていない人のためにも音量を下げてください。


姿勢とブレスコントロール(姿勢は呼吸に大きく影響し、悪いと息をたくさん吸えないため音程や音色に影響します。)

  1. 正しい姿勢を確認します。演奏の基本です。足や腕の位置、重心の掛け方などに注意しましょう。
  2. 肩の力を抜いてリラックスすることを心がけ、おなかの支えをしっかり保ちます。



ロングトーン(音は一番重要で表現するための素材になります。)

  1. アインザッツを心がけます。アインザッツとは音を出すタイミングを回りの人に知らせる役目をします。目で見るアインザッツは呼吸するときに起こる楽器のわずかな揺れであり、耳で判断するアインザッツは息を吸うときの音です。アインザッツは聴衆にとっても曲のテンポや音量を判断するだいじな要素です。ただし、大げさにならないように意思表示をします。必要以上のアインザッツは雑音やまぎらわしい動きになってしまいます。合奏やアンサンブルに於いてはコンサートマスターや曲の主導権を持っている人に合わせることが基本です。
  2. 安定した音が出せるように(音量はmfぐらいが適当です。他の人のmfの感覚と自分の思っているmfの違いをアンサンブルや合奏で調整してバランスを取ります。ロングトーンは息をしっかり吸っていないと音ゆれにつながります。
  3. 音量のバランスをその時々で調節します。pからfの間で自分の役目(ソロ、伴奏など)、セクションの人数差、音量レベルの違いなどに気を付けます。
  4. 音の終始に神経を使います。音の立ち上がりや終わりは息の支えが特に必要です。立ち上がりがスムーズに、終わりは音程が低くならないように注意します。
  5. 音質を高めます。音質はリードやマウスピースを通過する息のスピードと息の量が決め手です。スピードは音の質を高め量は音量に関係します。スピードが早いほど音は安定し、引き締まった良い音になります。スピードを高めるには息をしっかり吸うことがだいじです。
  6. 音程に注意します。正確な音程を取るには技術が必要ですが、その前に音程に対する自分のイメージを持つことが不可欠です。音を出す前に頭の中で音程を想定し唇や呼吸器官に命令を出す必要があります。音程が悪い場合は何も考えないで音を出しているか、命令と動作にずれがあるためです。ずれがある場合は音を出す前にじっくり考えて補正する練習をしてください。
  7. 音色を合わせます。音色はその人独自のものですが音の色、明るさ、透明感などの特徴を統一すると近い音色になります。音色も音程同様イメージがだいじです。
  8. 音の流れを感じます。音の流れは早い曲と遅い曲では違います。早い曲ほど息のスピードを高める努力が必要です。息のスピードと量のバランスを考えながら練習します。
  9. 毎日違う音で練習します。楽器には出しやすい音もあれば抜けない音、運指の難しい音などがありますのでできれば不得意の音を重点的に練習する必要があります。


スケール(音階練習は一つ一つの音をだいじに確実に吹くことを心がけます。)
  1. アインザッツをていねいに粒(一つ一つの音の長さ)を揃えます。難しい運指や普段使う回数の少ない運指はころがる(自分のイメージと指の動きのずれ)ことが多いのでその部分を重点的に練習します。
  2. 音の流れや移り変わりが自然に聞こえるようにします。次に出す音をイメージしていないときれいにつながりません。
  3. アーティキュレーションを変えて音の長さやタイミングのずれを集中的に練習します。
  4. いろいろな曲の調子(長調、短調)を取り入れてください。ハ長調はうまくできても変ロ長調はうまくできないということのないようにしましょう。


タンギング(タンギングは音の区切り以外にもその音の特性を決定するだいじな役目を持っています。)
タンギングの基本は舌を使わないで無から音を発生してアンブシュアと息の使い方で音をなくすことです。これだとどうしても歯切れが悪く表情も制限されてしまうため補助的に舌を使うと解釈してください。
  1. 確実なタンギングを練習します。音の出し初めはリードに舌が付いていること、そして終わりはおなかで息を押し切るように音を止め、音がなくなる寸前に舌をリードに当てます。最初は全音符ぐらいの長さで練習します。
  2. 同じ形、同じ長さの音(タンギングの安定)になるように練習します。また一定のテンポで長く続けても音の粒が崩れないようにすることもだいじです。
  3. いろいろな表現も練習します。(スタッカート、マルカート、テヌート等)


ダイナミクス(ダイナミクスはあくまで一つの手段ですので大げさにならないようにしなければなりません)
  1. p、mp、mf、f、の4段階に使い分けられるようにします。中音域は比較的できますが高低音域は音が細くなったり暴れたりしますので重点的に練習が必要です。
  2. クレッシェンド、ディクレッシェンドを機械的、音楽的に練習します。


ビィブラート(音の表情を高めるには効果的ですが使い過ぎはかえって逆効果になります。)
  1. ビィブラートのかかっていない音をロングトーン(音が揺れない)が確実にできるようにします。
  2. 息の流れと音程の微妙な変化を呼吸で効果的に調節します。


イントネーション
(音の頭の発音はのばしの音で表現するより効果的です。特にダイナミクスはイントネーションによってさらに生かされます。)
  1. 要求されている音に一番適している方法を選択します。[硬←→柔]、[鋭←→鈍]、[強←→弱]、[明←→暗]、[時間的に長←→短]、[音量的なp←→f]等


フレーズ(フレーズは一つの音の集団を指します。フレーズは息のスピードと量のバランスによって作ります。)
  1. 要求されている音に一番適している方法を選択します。[緊張した音←→解放された音]、[牧歌的な音←→機械的な音]、[繊細な音←→力強い音]等
  2. テンポやリズムの変化を微妙に変えることによって音の流れを変える練習をします。[音の間延び←→はしょり]、[膨らます←→しぼませる]、[音を押す←→音を引く]等
  3. ダイナミクスを利用してフレーズを大きく表現します。[弱→強→弱]、[弱→弱→強]、[強←弱←弱]等。


音の終わり(フレーズの区切り)
音の切り方で楽章の終わりや次のフレーズに続くのかが決まります。また、余韻は楽器の性質や演奏会場、曲の解釈によって音の長さやダイナミクスを変えなければなりません。余韻はその時々で合わせる必要があります。




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