42)メンテナンス−2(JDR NEWS 1992/04月)

注意:


(トラブル&処置方法とメンテナンス) 

今年度は楽器のトラブル&処置方法とメンテナンスについて説明します。年間予定は次のようになっています。

4月 楽器の組立て時に発生しやすいトラブル    〜  楽器組立て、分解の際には注意が必要です。
5月 楽器の掃除時に発生しやすいトラブル     〜  楽器を吹いた後は必ず掃除をしてください。
6月 新品の楽器に起こりやすいトラブル      〜  新品の楽器は特に慎重に。
7月 汗が原因するトラブル、環境が原因するトラブル〜  梅雨時や気温の高い時季はより注意が必要です。
8月 楽器の保護と保管              〜  楽器を大切にすることは上達の早道です。
9月 楽器のトラブルを防ぐための手段        〜  トラブルは未然に防ぎましょう。
10月 部品交換の時期の見分け方          〜  長年使用しますと部品の交換が必要になります。
11月 応急修理の方法               〜  修理に出している時間がない時に役立ちます。
12〜3月 メンテナンスまとめ             〜  定期的なメンテナンス方法をまとめてあります。

楽器の組立て時に発生しやすいトラブル


ジョイント部調整

梅雨時や夏のシーズンはジョイント部分が湿気で膨張してきつめになり、冬の乾燥した時季はゆるめになります。そのためジョイントの調整が必要です。また、ジョイント部分にコルクグリスが多く付着して固まっているとたいへんきつくなります。その時はコルクの部分にワセリンかキーオイルをつけてティッシュで古いグリスを強く拭き取ってから新しいグリスを少量塗ります。逆にゆるい時は、ジョイントコルクを巻き変えるのが一番ですが、裁縫の糸やジョイントフロスを適度に巻くだけでも効果はあります。

ジョイントの根元の木の部分が入らない場合は、その部分を削る必要があります。
準備する物(幅2mm×長さ10cmの#400の耐水ペーパー) (幅1cm×長さ20cmぐらいに切った布)




  1. だれかにキーを強くにぎらないようにしっかり固定してもらい、細く切った耐水ペーパーを木の部分に当ててその部分の円周の半分を削るように動かします。少し削るだけでジョイントは入りますので削り過ぎに十分注意が必要です。
  2. 2〜3回動かしたら180度回転させて残りの半分を同じように削ります。
  3. 次に90度回転させて削り、その後は180度回転させて同じように削ります。これは均等に削るための方法です。
  4. 試しにジョイントをつないで必要であれば繰り返します。スムーズに入るようになったら耐水ペーパーを使ったのと同じように今度は布でこするように動かします。そうすると木の部分がきれいに光ります。






下管とベルをつなぐ時の注意



ベルは右手でしっかりと固定し、親指でB♭キーのカップを軽く押さえながら持ちます。つなぐ時は連結キーを曲げないようにすることがたいせつです。



下管の図の部分は絶対に持たないでください。この部分のキーは曲がりやすく動かなくなってしまいます。下管はキーのたくさんある部分を持ってください。ジョイントの堅さ調節ができていれば問題はありません。最後に下管とベルの連結部分をピッタリと合わせます。



上管と下管&ベルをつなぐときの注意



右手で下管とベルの連結部分を持ちます。親指は、B(H)キーのカップに当たらないようにボディをしっかり押さえます。カップに当たるとフルオートマチックの楽器の場合、上管と下管の連結キーが作動するためです。



上管はオクターブキーの付近を押さえないようにしてください。これは、オクターブキーのコルクタンポがつぶれたりトーンホールにくっついたりするのを防ぐためです。
上管はキーのたくさんある部分を持ってください。ジョイントの堅さ調節ができていれば問題はありません。
最後に上管と下管の2ケ所の連結部分を合わせます。







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