バックナンバー:99 2006/4/15


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

ドイツは春は春なのですが、まだ寒さから開放されません。4月11日に、南

ドイツでは雪。

 

現在東ドイツではエルベ川がまた洪水。ドナウ川も水かさが増し、東欧諸国に

も水害が及んでいます。4年前の大洪水より水位が高いそうです。

 

この週末は復活祭の休日です。いつもなら、りんごや梨の木のうすいピンクの

花が咲き乱れているのですが、北ドイツではやっとつぼみが膨らみ、その気配

が感じられるようになって来ました。

 

実は4月1日からスイスのグリンデルワルトへ家族でスキーに行ってまいりま

した。

 

歌劇場の仕事を休めるタイミングと、娘達の春休みがぴったり合わないと家族

で旅行するのが難しいのです。と言うわけで6年ぶりの家族でのスキー旅行と

なりました。今年は4月とはいえ雪はたくさんあり、人は少なく、天気も割合

と良く、運に恵まれた旅行となりました。グリンデルワルトのスキー旅行に関

しては既に私のホームページにも掲載してありますが、今回の旅行で新しい発

見がありましたので、また、このメールマガジンやホームページに書き加えた

いと思います。

 

 

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■ ドイツ・キーパー

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オリバー・カーンはドイツ・バイエルン・ミュンヘン・チームの名キーパーで、

日本でのサッカー、世界選手権大会でも活躍し、皆様も御存知かと思います。

今度のドイツでのサッカーの世界選手権大会でのドイツチーム・キーパーのス

ターティングメンバーは、そのカーンではなく、レーマンというアーセナル・

ロンドンにいるキーパーに決まりました。長い間ドイツ一のキーパーは若手に

ポジションを譲ることになりましたが、補欠でチームには参加する模様です。

 

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■ SPD党、幹事長交代       

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4月10日、ドイツの与党政党SPD幹事長プラツェックが健康を理由に辞任

しました。シュローダー首相の後を引き継いだミュンターフェリング幹事長は

先回の選挙後政党内の若手からの反発で幹事長を辞任し、その後任として後を

引き継いだのがプラツェック。ほぼ5ヶ月の任期で、心臓の調子が悪くなりド

クターストップ。後任はラインランド・プファルツ州知事ベックが引き継ぐ事

になりました。

 

こちらの政治家を見ていると、今日はどこかの国にいたとニュースで見たら、

明日は首都ベルリン、その次の日はブリュッセル、と非常に動きがあわただし

く、実にハードな職業だと感じます。

 

以前、コール首相が若く、割とスマートだったのが、退職前には肥満で、顔も

しわだらけ。シュローダーもかなり顔にしわが寄りました。

 

政治問題では、イタリアの選挙の結果、現役のベレスコーニが破れ、元EU総

裁プロディが僅かの差で勝利。EU憲章問題で進み方が暗礁に乗り上げていた

EUですが、この選挙結果がEUの進歩に繋がる可能性は大きいと思います。

ベレスコーニはまだ負けを認めていないようですが、選挙の結果が覆る可能性

は限りなくゼロに近いようです。

 

もう少し視野を広げると、イランのウラン製造に成功と、それに対する各国の

反応です。イランはお隣の国イラクがUNOの検査団を受け入れ、核も化学兵

器も無い、という結果があったにも関わらずアメリカに、持っていない化学兵

器を出せ。出さないと攻める。といわれ、結局アメリカの単独行動で国をめち

ゃくちゃにされた、と思っています。アメリカの言いなりになっても攻められ

るのであれば、今のうちに対抗策を立てておこう、というのが今のイランの姿

勢のようです。

 

アメリカを除く各国は軍隊を派遣してまでイランを制裁する気は無いと思いま

す。問題はアメリカがイラク問題を抱え込んでしまっている上に、更にイラン

にまで兵と兵器を送り込む余力があるかどうか? ブッシュ政権が議会でそれ

を通過させるだけの力をまだ有しているか? と言うことでしょうか? イラ

ンはもっと過激にイスラエルを潰そう、と言っています。イスラエルはユダヤ

人の国。アメリカの政財界を牛耳っているのはユダヤ人。

 

もしアメリカが動けば、アメリカ対イラン、の戦いだけでは済まず、アメリカ

・イスラエル対イラン・イスラム諸国になる可能性があり、アメリカ単独では

行動が難しいと思います。当分外交の駆け引きが続くでしょうが、その間にイ

ランは本格的に核兵器を作ることが出来るまでに成長するのか? 

 

そうなった場合、昔、NATO対ワルシャワパックの冷戦の様に、アメリカ対

イスラムの長期冷戦が予想されますね。ロシア・中国はどちらにも着かず、お

金儲けをたくらむでしょう。日本はもちろんアメリカ側。EUもアメリカ寄り

ではありますが・・・・・・。

 

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■ 小分峠(クライネシャイデック)     

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ユングフラウヨッホはスイスの山の代名詞。

 

夏は散歩客で賑わうユングフラウヨッホのふもとの村、グリンデルワルトも今

頃はスキーのシーズンも終わり、割合と静かです。スイスの国鉄のインターラ

ーケン駅から登山電車に乗ってユングフラウヨッホへ向かうには、まずグリン

デルワルト行きに乗り、グリンデルワルトで乗り換えます。直通のユングフラ

ウヨッホ行きがあればラッキー。そうでない場合はクライネシャイデックとい

うアイガーの真下の峠の駅でもう一回乗り換えます。この登山電車は日本人、

中国人客がかなり多いです。

 

グリンデルワルトからアイガーを左前に、右前にはメンリッヒェンとかチュゲ

ンという山が見えます。その間の低い部分の尾根にクライネシャイデックが見

えます。

 

クライネはドイツ語で「小さい」

シャイトはドイツ語で「分かれる」

エックはドイツ語で「角」

と言う意味です。

 

日本語に訳すと「小分峠」とでもなるのでしょうか?

 

地図を見るとクライネシャイデックが尾根で左側にグリンデルワルト、右側に

ヴェンゲンの村のある谷の分岐点になっています。

 

正確にドイツ語で発音するとクライネ・シャイト・エックが正しいのですが、

ドイツ人や土地の人の発音を聞いていてもクライネシャイデックと聞こえます。

 

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■ 米軍移転費用に思うこと

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少々話が難しくなりますが、3月終わりに日本の新聞の社説に米軍移転費用に

関して、アメリカ側が日本に対し、法外な費用負担を要求してきた、と言うこ

とが記されていました。その後、この問題に関してどのような推移になってい

るのか特に追跡していませんが、私の勝手に思うことを書いてみますので、ご

興味のある方だけお付き合いください。

 

現在、アメリカの負債は膨れる一方です。ブッシュ大統領自身も半年前のCI

Aの情報を公開したことが法律違反、とマスコミにたたかれ、国民もブッシュ

政権離れの傾向です。軍隊の移転資金ぐりもままならない、議会、国民も反ブ

ッシュ傾向になりつつある中での移転費用の日本への要求は、ブッシュ政権の

「NO」と言わない日本政府、外務省への救済要請といってもおかしくないよ

うに思えます。

 

アメリカの弱点はドルです。先週だったか、中東のエミラートが外貨を10パ

ーセントをドルからユーロへシフトするかもしれない、という噂だけでドルが

反落。イラン戦争もフセインが原油の支払いをドルからユーロへシフトさせた

事も一因。要するにアメリカは世界通貨としてドルを防衛しておかないと、ド

ル札を刷りまくっても紙くず同然では困る、と言うことです。

 

さて、米軍の移転費用ですが、そんなアメリカの窮地なのですから、日本政府

は支払ってあげれば良いと思います。ただし、いろいろとこちらの言いたい事

をたくさん言って条件も付け放題付ければいいでしょう。支払い方法も特に一

括払いにする必要はないですね。

 

政府には、現在この巨額な移転費用肩代わりの予算は無いわけですが、日本と

中国はアメリカのドル国債の受け皿で、外貨備蓄はたくさんあります。今のう

ちにそのアメリカの国債を静かに売り、円かユーロにしておいて、「それでは

アメリカ要求のその移転費用は国債を売ってまかなう方法がありますね。」と

でも政府高官がリップサービスをするだけでドルは下落、そこで落ちたドルを

買い戻せばよいわけです。(これが国際為替操作の法律に違反するかどうかは

知りませんが、・・・・)

 

私の申し上げたいことは、支払い方法も、条件も、お金の作り方もある分けで

すから、外交でその分、しっかりアメリカに要求できるチャンスを政治家、閣

僚の方々が認識し、生かしてもらえれば、と期待するものであります。

 

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■ 質問コーナー (オーボエの中音Fがひっくり返る その4)

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読者の方から「オーボエの中音Fがひっくり返るのですが、どうしてでしょう

か? また対処法を教えて頂きたいのです。」という御質問を頂きました。

 

 

私自身、ヤマハを愛用しておりますが、Fにはリゾナンツ・キーが付いており、

弟子に買って頂いているオーボエもリゾナンツ・キーが付いている楽器を選択

している関係でしょうか、今までそのような状況に陥った事が無いので、日本

の知人・友人達、更にはメーカーの方にもお尋ねして状況と御意見を頂きまし

たので、ご紹介いたします。

 

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本日はホームページ「浜松オーボエネットワーク」の管理人、曳馬駅長様から

のヤマハ浜松工場での直撃レポートです。曳馬駅長様ご苦労様でした。

 

 

 

 

さて、ヤマハの豊岡工場に行ってきました。内藤さん、宮岡さん共にお忙しい

にもかかわらず、とても丁寧な対応をいただきました。

 

 

 

結論から言えば、楽器には特に問題なしとなりました。宮岡さんもおっしゃっ

ていましたが、問題なしとは言うものの、中音Fは楽器音響学的にも宿命的に不

安定な音であることは間違いなく、各社とも内径や音孔配置のトータルバラン

スには細心の注意を払っている所です、ということです。

 

 

 

Fの音の「抜け」は、Fレゾナンスのホールから抜けるのが望ましいが、Fレ

ゾナンスがない場合は、それよりも上から抜けて高い音になったり、下から抜

けて低い音になったりする。それを考えてリペアマンは調整をするが、そのバ

ランスが狂うと、高い音や低い音を行ったり来たりの不安定な音になるとのこ

とです。今回、私が問題にした「不安定なF」とは、正にそういう状態のもの

でした。

 

 

 

ヤマハではオプションとして15000円でFレゾナンスをつけることがでま

すが、内藤さんに調べていただいたところ、納期が約4ヶ月の遅れになること

や、発注時ではなく後付にするとお値段もかなり高くなることがわかりました。

またオプションでFレゾナンスをつけた場合のリスクをあえて宮岡さんにお聞

きしたら、納期や値段に加えて、Fの音色がやや薄くなるのでそれが嫌われる

場合もある事をおっしゃいました。内藤さんは、営業の立場からFレゾナンス

を標準装備にすることも含めてお話をされていましたが、納期や値段、調整の

手間が増えることを考えると、一概に標準装備にするのも難しそうです。

 

 

 

また、リードを深くくわえて吹くとコントロールが難しくなり、ただでさえ低

めになるFをより一層吹き上げることになり、Fが不安定になりやすい。浅めに

くわて、コントロールしやすい奏法を考えてみては?と助言もいただきました。

更にローCキィのタンポが(古くなったりして)膨らんでいると、Fが不安定

になるそうです。

 

 

実は今回は、2人の生徒(本校1年生&他校3年生)を連れて行ったのですが、

2人とも調子がよいのか、最初からまったくFが不安定にならず、あまりよいサ

ンプルにはなりませんでした。考えてみれば、他校の3年生ももうすぐコンサー

トでしたし、本校の1年生も、上記のコンサートを控えており、それなりに調

整に出したり、リードの工夫もして、F対策をしていますから。それでも宮岡

さんは、とても誠実に、わざと無理な吹き方をしたりするなど、不安定なFを

出そうとしてくれましたが、とうとう問題のFの音は出ませんでした。

 

2人の楽器は、微妙な狂いをサービスで宮岡さんが調整をしてくださいました。

私の楽器もしてほしかったのに!(笑)

 

 

 

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■ 後書き

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次号でいよいよ100号!

メールマガジンを続けるのも結構時間的に大変なのですが、何とかここまで良く

続いたと思っております。(自画自賛)

 

現在、読者数が230名ほどいらっしゃいますが、どういう訳か減りません。解

除する方がほとんどいらっしゃらないと言う事は読者が増えないのは残念だけれ

ど、興味を持って読んでいただいている、という目安になり、それがメールマガ

ジンを続けている支えとなっております。

 

これからもどうぞメールマガジンの応援をお願いいたします。

 

 



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