バックナンバー:97 2006/3/15


読者の皆様、

 

お元気でお過ごしでしょうか?

 

9日(先週木曜日)夜から北ドイツは雪に見舞われ、10日も降り続きました。

お蔭で北ドイツは一面の銀世界。道路は公務員ストの為、雪かき車がほとんど

出動しておらず、事故続出。13日の明け方はマイナス20度だったそうです。

本日も最低気温はマイナス10度以下です。日中もマイナス2度からマイナス

8度くらいですが、晴天で空気がぴリっとしていて気持ちがいいです。(少し

の間だけなら!)

 

最近日本はストライキが無いそうですね。ドイツは組合が強い関係でしょうか、

毎年恒例です。しかし、ストライキにもいろいろ方法があると思うのです。他

人に迷惑をかけないストライキの方法、という事を考えて欲しいものです。今

回はストをしてはいけない公務員のストライキでした。それならこのような方

法は如何でしょうか? 例えば公共の乗り物をストライキ中は全部無料にして

しまうとか、美術館の入場料は取らない、とか。ストライキが長引けば雇い主

側に経済負担がかかってくるのは同じ事で、これなら回りにありがたがられて

いいじゃないですか。

 

ハノーファーでは今週いっぱい世界一のコンピューターメッセ「チェビット」

が開かれています。今年の大きなテーマは何といっても電話とテレビとインタ

ーネットの結合。大きな液晶テレビでワールドカップを見ながら、同じ画面で

インターネットに入れる。他にはテレビ携帯。インターネットテレフォン、

(VoIP)もこれからの時代の大きな流れです。

 

 

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■ ポンペイの遺品

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ブレーメンのフォッケミュージアム(Focke-Museum)では5月21日までイタ

リア、ポンペイ展が開かれています。

http://www.herculaneum-ausstellung.de/cms/front_content.php?idcat=21

 

ベスビオ火山が急に噴火し、今のように予報が発達していなかった時代ですか

ら多くの犠牲者を出しました。その時の様子を後の画家が描いた絵画や、灰に

埋もれた銀食器、当時の美術品、などが展示されています。ローマ時代よりも

はるかに歴史の古いこの街は上下水道が完備し、石畳の舗装道路があり、芸術

も発達していました。当時の生活の様子なども絵から偲ぶ事ができます。

 

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■ 冬のじゅうたん掃除方法     

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じゅうたんの掃除の仕方で面白い新聞記事がありました。序で書きましたとお

り北ドイツは3月に入り30センチを越す積雪。立春を前にして異例の気候で

す。この雪を利用したじゅうたんの掃除方法が昔からあるそうです。云われて

みれば、なるほど、と思うのでが、・・・・・。

実はじゅうたんを雪の上に敷き、上から布団たたきのようなものでぶったたく、

という方法です。これでじゅうたんの中の埃や塵は雪に吸い取られる。要する

に掃除するのにほこりがたたない、ということでしょうか・・・・。

 

ちなみにドイツの団地などにはわけの分からない布団干しのような大きな鉄の

枠が立っていることがあります。本当に布団をかけてパンパンとたたいて干し

ておきたくなるようなU字型をさかさまにした鉄枠です。これはサッカーのゴ

ールではなく、じゅうたんの掃除用の鉄枠です。(本当です!)

 

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■ ドイツ、イタリアに完敗

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今月前半、重要なサッカーの試合がありました。ドイツ対イタリアの親善試合、

ヨーロッパの最優秀チームを決定するチャンピオンリーグで、ブレーメン対ト

リノ、バイエルン・ミュンヘン対A・C・ミラノ。この全ての試合で、ドイツ

は完敗。スポーツニュースではワールドカップへのドイツのサッカーチームの

喚起をうながしていますが、・・・・・・・。これでチャンピオンリーグでは

ドイツチームは一チームも残っていません。

 

それに反しイタリアは非常に元気いっぱいです。

 

4年前に日本で行われたワールドカップでドイツチームは予選リーグ通過は不

可能という予想でしたが、どうしたことか予選通過。結果は第3位(だったか

な)。その時ギリシャの活躍も予想外で面白かったのですが、今度はどこのチ

ームが予想外の活躍をしてくれるでしょうか、楽しみです。

 

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■ DOVニュース

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DOVとはドイツ・オーケストラ・フェルアインの略称で、ドイツ・オーケス

トラ組合の事をいいます。

 

3月29日から4月1日に開かれるフランクフルトのミュージックメッセに、

このDOVが出展するそうです。ドイツ・オーケストラの歴史でも展示するの

かな〜!

 

現在、職業音楽家にとって重要な保険で、職業ができなくなった時の為にかけ

る保険があります。個人でかけていらっしゃる方も多いと思いますが、現在組

合員の為の特別価格をドイツの保険会社MLPと交渉中だそうです。楽器の保

険も組み合わせることができるようで、交渉が成立するのが楽しみです。

 

この職業ができなくなった時の為の保険というのは、音楽家にとってはかなり

重要な保険です。事故保険と言うのがあり、例えば怪我をして指を使えなくな

った場合は、保険の掛け金の何パーセントかの支払いを受けることができます。

事故保険では体の部分部分により、何パーセントが適応されるかが決まってい

ます。それに対して職業ができなくなった時の保険は契約した金額の100パ

ーセントを受け取ることができます。また病気で、例えば腱鞘炎などで楽器が

演奏できなくなっても事故保険では保険でカバーすることができないのに対し、

職業ができなくなる保険ではお金を受け取ることができます。

 

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■ プーランク 「ババー物語」

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子供の為に書かれた作品で有名な曲は、プロコフィエフの「ピーターと狼」、

ブリテンの「青少年の為の音楽入門」、サンサーンスの「動物の謝肉祭」、等

が有名で、子供たちがクラシック音楽に親しみを持つように上手に書かれてお

ります。

 

2月19日、日曜日の午前中にブレーマーハーフェンでは子供の為のコンサー

トが開かれました。演奏された曲はプーランク作曲「ババー物語」。ババーと

いうのは子供の像の名前です。内容はババーが平穏に暮らしていた所へ猟師が

鉄砲をぶっ放し、母は死に、ババーは必至に逃げ人間の暮らしている町にやっ

てきました。そこで車を見たり洋服を着たりして新しい体験をします。そうこ

うしている内に昔の原始林に戻り、像の王様になり、皆でお祝いをする。とい

う単純な物語なのですが、音楽が非常に美しいです。

 

テキストは俳優が読み、オーケストラが音楽を奏でるという普通のパターンで

すが、劇場に来ていた、かなり小さい子供も静かに聴いておりました。

 

さて、この曲のオーボエパートですが、結構難関です。最高音域のDisから

始まる早いパッセージでは、演奏すればたったの10秒くらいの出来事ですが、

その為に何時間練習すれば確実にできるのだろう、というソロがあります。忙

しい時に限ってこういう曲があたるんですよね。

 

プロコフィエフも、ブリテンも、子供の為の曲とは云えオーボエのソロはかな

り難しいです。

 

お子様をお持ちの方々、このような子供の為の演奏会がライブで聴けるチャン

スがあったら、是非無理をしてでもお出かけください。デジタルのお蔭でずい

ぶんとオーディオの音色は向上しましたが、生の1回しかない時間軸の最先端

を突き進む緊張感と、生きている人間が集っている臨場感はDVDがいくら発

達しようと生の演奏会の代わりにはなりません。特に感受性の強い若い方には

生演奏の醍醐味を充分味わって頂きたいと希望いたします。

 

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■ 質問コーナー (オーボエの中音Fがひっくり返る その2)

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読者の方から「オーボエの中音Fがひっくり返るのですが、どうしてでしょう

か? また対処法を教えて頂きたいのです。」という御質問を頂きました。

 

 

私自身、ヤマハを愛用しておりますが、Fにはリゾナンツ・キーが付いており、

弟子に買って頂いているオーボエもリゾナンツ・キーが付いている楽器を選択

している関係でしょうか、今までそのような状況に陥った事が無いので、日本

の知人・友人達、更にはメーカーの方にもお尋ねして状況と御意見を頂きまし

たので、ご紹介いたします。

 

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本日は、福山にございますスガナミ楽器で管楽器のリペアをしていらっしゃる

崎田猛様からの情報を御紹介申し上げます。

 

 

ヤマハのオーボエの件ですが、Fはよくひっくりかえりますね。たぶんDのキ

イ(右手薬指でおさえるキイ)が、リングでないこととベルの形状では無いか

と思います。Fの音でトラブルはよく耳にします モデルによってはひどいも

のもあり、リペアをしてても頭を悩ませます。Fレゾナンスキイをつけたり、

バナナキイを改造してD#キイを少しあけたりしたものもありますが、私個人

の意見としてはFの音だけ変な響きがしたり、かえってツボがわかりにくくな

ったりすることがあるので、おすすめしません。また、リードが悪いと一言で

かたずけられてしまうことも多いです。私の修理の経験の中で、楽器はほかの

音は問題ない事、リードは問題ない事を前提に、修理して解決した点をを紹介

します。

 

まず最初に、ベルについているB♭レゾナンスキイ(LOWB♭キイではない

小さなキイ)がしっかり閉じていることを確認します。このキイが浮いている

とまずFが裏返ります。あぶらとり紙やクリーニングペーパーなどで確認する

とよいです。次にDキイの開きを変えてみます これは楽器によってさまざま

ですが、自分は、真ん中のB♭のピッチがしっかりつかまえられるところを探

して見ます。調節ネジを回す前に今の開きを覚えておいて、開きをすこしずつ

大きくしてみたり小さくしてみたりしてみます。それでもうまくいかないとき

は、次は少し難しいですが、一番最初のB♭レゾナンスキイのトーンホールの

大きさを変えます まずトーンホールを掃除してみます。それでも解決しなか

ったらトーンホールの内側に細く切ったテープを仮につけて吹いてみます。そ

れでピッチが取れたら、テープをはずして、マニキュアを、トーンホールの内

側に薄く塗ります。この修理はトーンホールをいじるので慎重に行ってます。

マニキュアを塗るのは失敗しても除光液で取れるようにするためです。私は以

前Fのピッチが極端に低く、ピッチを上げようとしたらひっくり返る楽器が見

違えるほど安定したのを覚えています。

 

そして、上記の事をする上でまずすることは上管のトーンホールの掃除です。

これは分解しないといけませんが、特にトリルキイや1.2.3オクターブキ

イは汚れたたまっていることが多いです。キイを分解したあと、すこし水で湿

らせた綿棒で掃除したあと、乾いた綿棒できれいにふき取ります。

 

以上が私の対策ですが、これは今までの試行錯誤と失敗の中からの例で、メー

カーやもっと専門的に修理をされている御意見とは違うかもしれません。また、

キイの分解や改造を伴うので、慎重に吹きながら確認しないといけないので時

間はかかりますが、対策は見つかると思います。

 

それから、今回の内容は、あくまで一個人の内容で、失敗したり、いろいろと

迷わせたりする恐れがあるので、専門の方に見ていただくことをお勧めします。 

 

 

 


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