バックナンバー:65 2004/10/01


読者の皆様、皆様ご機嫌如何ですか?

 

ドイツはすっかり秋です。ここブレーマーハーフェンの日中気温は14度。紅葉

が始まっております。家には暖房が軽く入り、外へ出るときはジャンバーが必

要です。こうなってくると、猛暑は困るけれど暑さが懐かしくなります。

 

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■ ユネスコ認定アンナ・アメリア図書館の火災被害                       

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9月2日ワイマールにあるユネスコ認定の歴史的バロック建造物アンナ・アメリ

ア図書館で火災が発生。この図書館は17、18世紀の書籍コレクションで有

名。当初3万冊の損害、と見積もっていたが5万冊の損害と発表されました。

 

その中には楽譜などの音楽歴史的資産も入っており、90パーセントの音楽関

係書物が焼失。カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのチェンバロ協奏曲

のオリジナルがほとんど焼失。

 

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■ CD情報 アルブレヒト・マイヤーのニューリリース

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ベルリンフィルハーモニー交響楽団主席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤー

の最新CDが9月に発売されました。「モーツアルトの探索」と題するCDで

す。注文したばかりでよく聞いていないので、次のメールマガジンで感想を書

かしていただきます。

http://www.jpc.de/jpcng/classic/detail/-/hnum/6231046/rk/classic/rsk/hitlist

 

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■ 面白い商売 

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ドイツのルール地帯(デュッセルドルフ、ケルン近辺)ハンブルク近郊にタク

シーボーイという商売ができました。ドイツも飲酒運転の取締りが厳しくなり

自家用車で飲んで運転して帰るのは非常に危険が伴います。そこで出てきたの

がこの商売。電話をしてドライバーを呼び、自分の車をドライバーに運転させ

て帰宅する、というものです。ドライバーは小さな折りたたみ式のバイクでや

ってきます。ですから条件としては自家用車にこのバイクがつめる事。飲むと

分かっている時は車を置いて飲みに出かけますが、急に飲んだ時などには便利

かもしれません。お値段は基本料金2ユーロ30セント、1キロごとの追加料

金は1ユーロ40セント、最低料金6ユーロ50セントだそうです。

http://www.taxiboy.de/

 

スペインでは来年から飲酒運転は6ヶ月以内の実刑。飲酒運転による事故は2

年以内の実刑だそうです。これから、この商売盛んになるかもしれません。

 

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■ ドイツ版「そごう」

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ドイツの百貨店「カールシュタット・クベレ」が大赤字のため181店舗のう

ち、77軒のデパートを閉めることを9月28日に発表。1万人に影響が出る

模様。政府もカールシュタット・クベレ救済に乗り出す模様で、銀行関係とも

政治的に救済案を模索しているそうです。

 

政府にとっては現在、来年度予算案でまたこれまでになかった大きな赤字を出

すらしく、カールシュタット・クベレ社を税金で救済する余裕は無いのが実情。

 

1881年にルドルフ・カールシュタットという人がヴィスマー(Wismer)

という場所に繊維、洋服、お菓子の店を出したのが始まり。1923年に株式上場。

5年前に1927年に創業されたクベレを吸収合併。現在10万人の従業員がいます。

 

小さい町でこのデパートが中心に商店街を構成している場合、マグネットにな

るこのデパートがなくなると人が来なくなり、全体的に商売が成り立たなくな

るケースが出てきそうです。そういう商店街では、個人のお店の死活問題、強

いては町、村の存続問題にも発展しかねません。

 

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■ アメリカの講習会ーラスベガス(その1)      

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読者の方から頂いたお便りです。ご本人の許可を得て2回に分けて掲載いたし

ます。今回はこの読者の方からのお便り、次号には私からの質問とそのお返事

を掲載いたします。皆様もお読みになって、ご感想、ご質問がございましたら

メールを頂けますか?

 

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7月27日から8月15日までラスベガスの音楽祭に参加してきました。音楽

祭に参加すること自体初めてでしたので、もう驚きばかりで、、、

 

忙しかったです。

 

大まかに言いますと、3週間ラスベガスに滞在しオケや室内楽、レッスンやマ

スタークラス、セミナー等を受けるというものです。

 

ラスベガスは、カジノで有名な街、砂漠に囲まれており夏の間は恐ろしいほど

暑いです。そこで3週間、リハと演奏と練習と…

もう過酷なスケジュールをこなしていました。カジノなんて行ってられません、

いやマジで。

 

1週間目、ラスベガスに着いて4日後に室内オケのコンサートが入っており、

セカンドを勤める予定だったストラヴィンスキーのSymphony in C が何かの

都合でプリンシパル(首席のことです)に替えさせられ、そのパートを必死に

さらいました。日中、華氏約110度の中、(摂氏55度?)普段の生活をす

ることすら大変なのに、4日のうちに、さらっていなかったパートを仕上げる

ことが如何に大変か思い知らされました。

 

このパート難しいです。

 

正直、良いコンディションで演奏することは出来ませんでした。本番で、別に

問題なかった事なのに、休みを数え間違えた、とか。これはリハの時からやっ

ていた事、肝心なところで指がもつれる。が、これが演奏の世界の厳しさなん

だな、と思いました。4日で仕上げなきゃいけなかったとか、このプリンシパ

ルのパートを知らなかったとか、そんな言い訳は通じないですね。

 

そのあと2週間目、シカゴ饗のクラリネットの先生がラスベガスに来て、マー

ラーの5番のプリンシパルを演奏し、レッスンやマスタークラスをしてくれて…

しかし彼が演奏するマーラーの5番のプリンシパルは凄い。何であんな凄い人

がセカンドの仕事を長いことやっているんだろう?と思いました。けど、こう

いう人がいるからシカゴ饗が成り立っているんだ、とも思いました。

 

で、3週間目。先生がラスベガスを発ったあと、僕がホルストの惑星のプリン

シパルを勤めました。先生がマーラーやった後に、ぼくが惑星でプリンシパル、、、

プレッシャーを感じそうですが、実のところそんなことは全然ありませんでし

た。ラスベガスに来る前から準備をしていたので、もう心配はありませんでし

た。なんだかんだ言って、この音楽祭で、これが一番上手くいった気がします。

 

この音楽祭の特色としてはオケではプロの人と一緒に演奏すると言うことで、

惑星では、トランペットのプリンシパルがモントリオール饗のプリンパル(音

程の正確さと音のでかさ、でピカイチ。)、トロンボーンのプリンシパル(ト

ロンボーンのリードしていたのはなんだかんだ言ってこの人だと思う。)がど

っかの学校の教授、ホルンのプリンシパルが元ボストン饗のプリンシパル(金

星でのソロは絶品でした。)。僕はそんな方々の前でクラリネットを吹いてい

たのです。最初のリハでは借りてきた猫、みたいになってしまいました。それ

から、4,5日で本番を迎えることになるのですが、必要なのは集中力とリー

ダーシップ。借りてきた猫みたいになっていてはいけない、最初のリハで目が

覚めました。指揮者に答えようと必死でした。木管のみんなで集まって分奏を

したり、音程をチェックしたり音のアタックについて話し合ったりしました。

こんな時にチームワーク、つまり団結力が高まるのでは、と思いました。オケ

は楽しいです。

 

この本番が終わったあと、トロンボーンの教授さんが僕のところに来て、君、

上手いねー、といってくれました。彼だけでなくオケのみんなも僕のソロが良

かったといってくれました。

 

こんなときに思うのは、金管の皆様の音量のでかさ。みんな吹きまくる、特に

プリンシパルのプロの方々。特にトランペットの人は、やはりあのシカゴ饗を

意識しているらしく。あのサウンドです。(詳しいことは聞かないでください)

そんな中でソロを吹いたり、木管セクションで吹いたりするわけですから何が

大事って、分かると思いますけど演奏の安定性とスタミナです。もうそこには、

リードが軽いから重いから、などの言い訳等は通じません。どんなコンディシ

ョンだろうがセクションを仕切る、安定した演奏が求められます。これが如何

に大変か…言っていることお分かり頂けるでしょうか?

木管セクションで音程やリズムを合わせたりして…口がバテます。けど、それ

をキープするスタミナ、アメリカでアンブシュアを学ばなければならない理由

はここにあるわけです、別に良い音を出したいからではありません。良い音な

んて出したければ、要は練習をちょっとすれば出来るはずです。そんなの、下

手したらアマチュアの人でもやりますよね、今のご時世。後、その音楽の雰囲

気に応じた音のアタックの仕方。それを明確に演奏するのも、プリンシパルの

僕の役目です。あぁ、しんどい。

 

ちなみに室内楽は、カーター(Elliott Carter)のフルートとクラリネットの

デュオをやりました。これが難曲で、がんばって二人で練習し、演奏会で好評

を得ることが出来ました。君、凄いねー、みたいな感じで。けど、僕、現代音

楽はあまり好きじゃないです。

 

過酷なスケジュールでしたが、楽しかったです。やはり、演奏するのは楽しい

ですよ。

 

で、音楽祭が終わってまた学校が始まります。音楽祭を通じて、演奏すること

自体が楽しくなってきましたので、学校のオケでどんな経験が出来るか、楽し

みです。

 

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■ 次号の予告 

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アメリカの講習会ーラスベガス(その2)

皆様の「ラスベガス講習会」に対するご意見をお待ち申し上げております。

また、日本でも講習会に参加された方、様子をお知らせ頂けますか?



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