バックナンバー:2 2002/01/19


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ユーローへの切り替え状況

 

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少々遅いですが、新年明けましておめでとうございます

本年が皆様にとりまして素晴らしい年でありますように!

 

本日はオーボエとは無縁なお話です。ドイツでは今世紀の一大事ですので、

状況を皆様にお伝えしたいと思います。

 

今回は少し長いですが、我慢して下さい。

 

(この文章は15日に書き下ろしました。)

 

ヨーロッパ12カ国が正月より公式通貨をユーローに切り替えました。

そのユーローへの切り替え状況が半日のテーマです。

 

1231日は14時まで店が開いていました。大晦日のこちらの習慣として、

「年越しそば」の代わりに「ベルリーナー」と呼ばれる揚げパンの中にジャム

が入っているパンを食べます。どう考えても食い合わせが悪いとは思うので

すが「シャンペン」或いは「ゼクト」と呼ばれている発泡ワインで乾杯します。

花火を打ち上げます。それからダンスパーティーです。

日本の厳かな元旦の迎え方とは雲泥の差といえます。

 

従って新年は花火の後かたずけから日課が始まる事になります。

大晦日に大パーティーをしていますから、元旦からの行動は普段早起きの

ドイツ人といえどもこの日ばかりは朝ゆっくりで、道路上は花火の屑だらけ。

これがドイツの元旦です。きれい好きなドイツ人は元旦から家の前を掃くの

が初仕事という事に相成ります。

 

普段大晦日は、この花火、ベルリーナー、ゼクトを買いに来る人でにぎあうの

は恒例ですが今年はどういう分けかすごい人。それも特にスーパーマーケット

に集中。どの人も手押し車一杯に食料品を買い込んでいるではありませんか。

まるで昔日本でトイレットペーパー騒動があった時のようなありさまです。

ドイツの正月の休日は元日だけです。2日から平常どうりお店は開きますから

まとめ買いにしてはおかしい。つまりドイツマルクで普通に安心して買える時に

買っておこうという人が大勢いた事になります。本当にこの混み具合は尋常

ではありませんでした。クリスマス前のドイツ人がまとめ買いする時にも起こら

なかった大駐車場が満杯。レジは長蛇の列。

 

普通に買い物をしたかった人はあきらめて帰りました。

 

年が明けて元日。この日は休日です。ところが銀行では現金を機械で引き降

ろす客でこれまた長蛇の列。2日から昨日の金曜日までは銀行はまるでここは

アルゼンチンかと思われるほどの人が銀行でユーロー買いに並んでいました。

 

ドイツマルクの有効期間は228日までです。今までマルクへの執着が強かっ

たはずのドイツ人が何故このようにすぐユーローにお金を替えるのか?

 

これはドイツ人気質の現われと考えます。例えば団体旅行に行ったとします。

ホテルに泊まり翌日はバスで8時に出発の予定。私なら8時ぴったりか1分前

くらいにバスに乗り込みます。いつから待っているのかドイツ人は全員とっくに

揃っていて、私が一番最後。もちろん遅いわけではないので苦情も無く、予定

どうり観光をスタート。さて、どこかで1時間の自由行動。集合時間は1030分。

この時も同じです。私が時間一杯有効に観光して戻って来るとまた最後の一人。

 

ユーローもこの調子で行くと来週一杯で切り替え終了。何て事になり兼ねない

のがドイツです。私はまだ財布にたんまりドイツマルクがあり、いつ換えようか、

いや換えないで持っていようか、などと考えています。

どっちみち置いておくなら新札の方が良いから銀行に行って新札に代えてもら

おうか、などと考えていましたが、そんな事をしたら回りの人に白い目で見られ

そうです。いや、まず通貨がユーローとなった以上それさえ不可能な事かもし

れません。

 

31日にマルクはその効力を失います。一般ではマルクは通貨として通用しま

せん。普通銀行でも換金できません。ただ、ドイツ中央銀行ではいつでもマルク

を引き取ってくれます。(但し紙幣のみ)

 

もし読者の皆様でマルクをお持ちの方は早めに日本で他の通貨に交換する事

をお勧めいたします。

 

現在のところ、大体マルクもユーローも使えます。私の町でユーローしか使えな

いのは市バスのみ。駐車のメーターは14日まで無料。

 

好奇心旺盛な家内は銀行で並んでユーローを手に入れ早速買い物に。レジで

はほとんどの人がユーローで買い物をしていたそうです。ただし、皆どのお札が

5ユーローなのか?10セントはどれだ?てな具合ですからなかなか進まない。

 

ここでもう一つドイツ人気質のお話。家内が銀行でマルクの小銭を口座に入れに

行った時、彼女の三人前の人の所で小銭を選り分ける機械が故障。日本なら

こういう場合の対応は絶対と言って良いほど予想されており、次の対応が取れ

るようになっている。ところがここはドイツ。

 

「機械が壊れました。」でおしまい。

「すみませんが、・・・。」というのは無い。

 

当然の事のように対応もしない。銀行員に聞けば、

「私の責任ではありません。」という答えが返って来るのは明らか。

当人は重たい箱を2つ抱えたまましぶしぶ帰ったそうです。機械は23分後に

修理され、帰った人は・・・。

 

私がマフィアならここが偽札発行の最大のチャンスだとばかりに、あっちこっち

で偽札を使わせるところですが、大きな事件は無かった様です。どこかのカジノ

で偽札をまんまと小銭に替えた人がいたらしいとニュースで聞いたぐらいです。

 

偽札では昔こんな事件がありました。もちろんマフィアです。

偽のドル札を作って、ヨーロッパの国際飛行場で時を同じくして大量に他の

通貨に自動換金機械を使って換金しました。このドル札は機械が認識する

部分だけを印刷しあり、肉眼で見れば一発で偽札と分かるところ。

換金の機械の特徴を上手く見ぬいた巧妙な手口でした。

 

当分は2つの財布が必要かと思っていましたが、さすが質実剛健なドイツ人。

ほとんどの方がもうユーローに切り替えてしまったようです。

 

へそ曲がりの私はまだマルクで頑張るぞーーーーーー。

 

(ここからは現在の状況です)

 

マルクで頑張りたかった私ですが、マルクを保存する事に決定。

そうなると、マルクは使えない。従って、10日坊主となってしましまた。

現在、市場はまずユーロー。マルクなんてお金、いつの時代の通貨?

という感じです。こんなに早く通貨が変わってしまうなんて信じられません。

 

ちなみに今月の私の給料は12月の半分です。もちろん物価も半分には

なっているのですが、給料が少ないとう気はしても物が安いと言う気は

まったくしないのは・・・。(皆さんもそうですか?)

 


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